<コロナ危機>習(xí)政権への権力集中、初動の遅れ招く=國民は「義」重視、監(jiān)視社會の効用も―宮本元中國大使

Record China    2020年3月22日(日) 6時50分

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宮本雄二?元駐中國大使が、新型コロナウイルスと中國に関して日本記者クラブで會見。武漢で初期の実態(tài)が隠蔽されたのは、習(xí)政権への権力集中で自分の責(zé)任で対応する力が弱まったためと強調(diào)した。寫真は記者會見。

元駐中國大使の宮本雄二?日本日中関係學(xué)會會長がこのほど、「新型コロナウイルス激震中の中國と世界」と題して日本記者クラブで會見した。武漢での初期の実態(tài)が隠蔽されたことについて、中國政府の習(xí)近平政権で権力の集中が進んだことで、現(xiàn)場が自分の責(zé)任で対応する力が弱まったことが背景にあると強調(diào)した。

2006年から10年まで駐中國大使を務(wù)めるなど3回にわたって北京に駐在した宮本氏は「中國の國家組織の基本はトップの指示を末端まで速やかに浸透させること」と指摘。この傾向が「習(xí)近平體制になって強まり、上からの指示がないと動かず、下から(情報が)上がることが、うまく機能しない組織の弱點を露呈した」と分析した。

◆感染防止より「政治」優(yōu)先

前回の感染癥SARS(重癥急性呼吸器癥候群)の時は、全く準(zhǔn)備がなくて政権交代の混亂期だったので大騒動となった。宮本元大使は「今回はその経験があり、體制も整えた後に、また同じことが起きただけに、中國にとって深刻な問題」とし、中國の組織の限界を示したと分析した。

全國人民代表大會は、新型コロナウイルス感染が大変な狀況になっていると開けないので、武漢市、湖北省の當(dāng)局者は「大したことではない」と隠蔽せざるを得なかったとされる。その結(jié)果、感染が拡大。1月下旬からは春節(jié)の休みとなり、武漢市長が認(rèn)めたように人口の半分近い約500萬人が市外に出て、中國全土や海外に移動したので、パンデミック(世界的大流行)を生むことになったという。

その上で、同氏は「中國では、(トランプ政権下の)米中経済戦爭が大きな試練だったが、動揺はあまりなかった。ハイテク分野での摩擦が続いてもITを駆使して管理社會を推進。思い描いた方向に進んでいくかに見えた」と想定內(nèi)の出來事と説明した。ところが交通の要衝の1100萬人都市?武漢発の「新型コロナウイルスは想定外であり、生命安全の問題にかかわるもので、國民の許容は難しく、強権で容易に納得させられる分野ではない」と強調(diào)した。

宮本氏によると、習(xí)政権は國民世論の動向に気を使い、これまで大多數(shù)の國民がノーと言うようなことはやっていない?!浮盒窑护时O(jiān)視社會』と言われるほどIT管理社會を許容しているが、安心?安全という利益確保が前提。國民の利益に反したことにはノーを突き付ける」と明かした。

新型コロナウイリスが世界中に拡散する中で、その根源の中國では強権政策や監(jiān)視システムの駆使により感染者が激減。習(xí)近平主席が武漢入りし「戦いに斷固として勝利する」と宣言するまでに至った。中國政府は3月中旬に國內(nèi)の感染ピークは過ぎたと宣言し、イラクやイラン、イタリアなど歐州諸國への醫(yī)療活動に協(xié)力し始めた。習(xí)氏は共産黨の理論誌に寄稿し、新型コロナウイルスが「どこから來て、どこに向かったのかを明確にしなければならない」と主張?!缸苑证郡沥膝Εぅ毳箳埳ⅳ蜻Wらせるために貢獻しており、世界は感謝すべきだ」と発信。さらに中國政府幹部はコロナの発生源は米軍から持ち込まれたという異説まで流し、米側(cè)から猛抗議を受けた。

◆IT?顔認(rèn)証が威力

公正な投票で選ばれていない中國指導(dǎo)部は、世界的な危機がきっかけで共産黨政権の基盤を保てなくなることに不安を抱いているが、1990年代末のアジア通貨危機、2008年のリーマン?ショック危機などをバネに進化を遂げて発展してきた。今回のショックは中國発なので経済社會への影響は甚大であり乗り切れるか不安視され、1~2月の主要経済指標(biāo)はマイナスに沈んだ。ところが3月に入って中國での感染者が激減し、大半の業(yè)種で営業(yè)が再開され、街に繰り出す人が増え、北京、上海などの大都市では「反動消費」とのスローガンが踴る。

上から命じる感染封じ込めのフェーズに入ると、中國は「上意下達(dá)」の強みを発揮。ITによる「監(jiān)視社會」もあって感染拡大を急速に止めることが可能になったとされる。今の中國は「顔認(rèn)証」システムにより、誰がどこで、いつ何をしたか、まで記録に殘る。感染者との接觸なども分かるので、感染ルートの解明も容易になった。今後は経済への影響をどの程度抑制できるかがカギになる。金融?財政措置を総動員してV字回復(fù)を目指す。

政治的な自由の制限や監(jiān)視社會を許容してきた中國民も、共産黨政権が自分たちの生活を守れないと感じたら、一黨支配の正當(dāng)性にノーを突き付ける。だからこそ、習(xí)政権は內(nèi)外へのプロパガンダに必死で、コロナ危機への対応に総力を挙げざるを得ない。

◆國民の信任のカギは経済

宮本元大使によると、一般國民の価値観は「義」。孔子の「仁」にも通じる。「義」のために おかしいというのは中國の國民の考え方であり、庶民の微信(ウィーチャット)などSNS上の情報は生命線であり、無闇に遮斷するのは許されない。一方で、人権、民主、ウイグル、チベットや香港の民主主義などは共感を呼ばないという。

武漢の深刻な事態(tài)を昨年12月末に伝えようとした李文亮醫(yī)師が自らもウイルスに感染。2月に肺炎で亡くなったことも衝撃的だった。彼は醫(yī)療関係者ら多數(shù)が參加するグループチャットで危険性を訴えたが問題視され、処分の対象になってしまった。この醫(yī)師が死去した日の夜、武漢市民は様々な形で一斉に追悼の意を表明。醫(yī)師をたたえる言葉が數(shù)多く交流サイト上に発せられ、「人災(zāi)」への批判も込められていた。不満の高まりに危機感を抱いた中央政権は國家監(jiān)察委員會のチームを急きょ、武漢入りさせ、李醫(yī)師の告発を闇に葬った責(zé)任を追及。一転して英雄扱いを認(rèn)めざるを得なかった。

中國國民は「共産黨政権が自分たちの生活を守れないと判斷したら、一黨支配の正當(dāng)性にノーを突き付ける」という。習(xí)政権は內(nèi)外へのアピールに懸命で、新型コロナウイリス危機への対応に総力を挙げている。

宮本元大使は、共産黨政権が國民の信任をつなぎとめることできるかは、「経済への影響をどの程度にとどめることができるかにかかっている」とし、今後の注目點として(1)軍拡路線の修正は可能か(2)「一帯一路」による展開で世界と協(xié)調(diào)できるか(3)米國との「競爭と協(xié)力」を勝ち取るか―などを列挙した。(八牧浩行

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