2013年11月12日、財(cái)新網(wǎng)は記事「中國(guó)、間もなく“単獨(dú)”世帯の二人目出産を解禁」を報(bào)じた?！皡g獨(dú)”とは「両親のうち片方が一人っ子（獨(dú)生子）」の意?！鸽p獨(dú)」、つまり両親ともに一人っ子の場(chǎng)合、2人目までの出産が許されるという現(xiàn)在の規(guī)制が緩和されるという內(nèi)容だ。三中全會(huì)閉幕後間もなく関連政策が発表されると「権威のある人物」が明かしたと報(bào)じている。

【その他の寫真】

ところがしばらくしてこの記事は削除され、代わりに人民網(wǎng)が記事「衛(wèi)生?計(jì)畫生育委員會(huì)：単獨(dú)世帯2人目出産省察の発表時(shí)期はいまだ不確定」を掲載した。単獨(dú)世帯の解禁について検討していること自體は認(rèn)めたものの、中國(guó)共産黨中央による検討作業(yè)中で、いまだに最終的な政策案も決定していないという。

▼「誤報(bào)」なのか、それとも瀬戸際で潰されたのか

実はこの手の「誤報(bào)」はこれまでに何度かあった。今年8月にも政策立案に関わっている中國(guó)人民大學(xué)社會(huì)?人口學(xué)院の●振武（ディー?ジェンウー、●＝羽の下に隹）教授が「2013年末にも単獨(dú)世帯の2人目出産が解禁される」と発言、話題となったが後に當(dāng)局が否定している。

やるやる詐欺的な印象が強(qiáng)いが、実際のところ、一人っ子政策緩和の検討は最終段階まで進(jìn)んでいるのだろう。中國(guó)の少子高齢化は世界最速ペースで進(jìn)んでいるほか、教育費(fèi)の増加、女性の高學(xué)歴化、晩婚化などの影響で緩和したとしても、出生率は極端に増加しないことはほぼ確実視されている?，F(xiàn)行の一人っ子政策はもはや時(shí)代にマッチしていないのだ。

調(diào)査報(bào)道で知られる財(cái)新網(wǎng)が報(bào)じた「三中全會(huì)後間もなく発表と権威ある人物がコメント」という內(nèi)容がまったくの的外れだったとは考えにくい。むしろ規(guī)制緩和をめぐる綱引きが続くなか、強(qiáng)力な抵抗により三中全會(huì)直後の発表が見送られたとみるべきではないか。もちろん近い將來に緩和される可能性は殘っているが、一人っ子政策関連部局は「政策にいささかも揺るぎなし」と怪気炎を上げており、そうたやすい話ではない。

▼玉蟲色の三中全會(huì)コミュニケにみる中國(guó)改革の困難さ

大膽な改革が期待されていた三中全會(huì)だが、閉幕後に発表されたコミュニケを見る限り、具體的な改革案は打ち出されず肩透かし感が強(qiáng)い。そればかりか改革派、保守派雙方に目配りした結(jié)果、玉蟲色の表現(xiàn)になっている部分もある。例えば次の一節(jié)だ。

「公有制経済と非公有制経済はともに社會(huì)主義市場(chǎng)経済の重要な一部であり、我が國(guó)の経済社會(huì)発展の重要な基盤である。必ずやいささかも動(dòng)揺することなく、しっかりと公有制経済を発展させ、公有制の主體的な地位を堅(jiān)持し、國(guó)有経済の主導(dǎo)的力を発揮。國(guó)有経済の活力、支配力、影響力を高め続けなければならない。

また必ずやいささかも動(dòng)揺することなく、非公有経済の発展を奨勵(lì)し、支持し、導(dǎo)くことで、非公有制経済の活力と創(chuàng)造力を活発化させなければならない。財(cái)産権保護(hù)制度を整備し、混合所有制を積極的に発展させ、國(guó)有企業(yè)の近代的企業(yè)制度整備を推進(jìn)し、非公有制経済の健康的発展を支持しなければならない?！?/p>

李克強(qiáng)（リー?カーチアン）首相が就任以來出してきたメッセージは政府関與の縮小と市場(chǎng)化の推進(jìn)だったが、結(jié)局のところは國(guó)有企業(yè)（公有制経済）の重要性を堅(jiān)持する文言が織り込まれた。一応、民間企業(yè)（非公有制経済）についても觸れられているが、期待されていた?jī)?nèi)容にはほど遠(yuǎn)い。それどころか10年前、第16期三中全會(huì)のコミュニケと比べても後退している感すらある。

一人っ子政策にせよ、あるいは経済改革にせよ、やるべき道筋はかなりはっきりとしているのに、結(jié)局抵抗に潰されてなかなか実現(xiàn)できない。三中全會(huì)を受けて導(dǎo)入される個(gè)々の法律、政策で改革が進(jìn)められる可能性もあるが、コミュニケの肩透かし感を見るにそれも難しいのではないか。

一人っ子政策緩和の「誤報(bào)」は、中國(guó)の改革全體に通底する困難さを改めて示すものとなった。

■筆者プロフィール：高口康太（たかぐち?こうた）

翻訳家、ライター。豊富な中國(guó)経験を活かし、海外の視點(diǎn)ではなく中國(guó)の論理を理解した上でその問題點(diǎn)を浮き上がらせることに定評(píng)がある。獨(dú)自の切り口で中國(guó)と新興國(guó)を読むニュースサイト「KINBRICKS NOW」を運(yùn)営。