失腳した薄熙來(lái)（ボー?シーライ）が名譽(yù)主席を務(wù)める至憲黨の成立が2013年11月9日に報(bào)じられ、ちょっとした話題となった。

【その他の寫真】

発起人は北京経済管理幹部學(xué)院の王錚副（ワン?ジョンフー）教授。2012年には呉邦國(guó)全人代委員長(zhǎng)（當(dāng)時(shí)）に、「法に基づき薄熙來(lái)との面會(huì)を求める」との書簡(jiǎn)を送り、拘束された経歴もあるという。ばりばりの薄熙來(lái)支持者、左派のイデオロギーなのかとおもいきや、そうじゃないというのが面白い。

12日付ロイターは「左派のほとんどは新黨を知らず」「（薄熙來(lái)）元書記の著名な支持者らは、至憲黨に參加しておらず、興味もほとんどないとしている」と報(bào)じた。

実際、至憲黨の綱要や王錚副教授の主張を見ると、薄熙來(lái)や左派とはあまり親和性がなさそうだ。11日付BBC中國(guó)語(yǔ)版に掲載された王副教授のインタビューを見ると、至憲黨という名前は憲法こそ至高無(wú)上の存在という意味だと話しており、中國(guó)共産黨に憲法遵守を訴えている。新政黨の設(shè)立も憲法に則ったもの。一方で共産黨が唯一の執(zhí)政黨と憲法に明記されているので政権は狙わないともコメントしている。

また薄熙來(lái)との面會(huì)を求めた時(shí)も「面會(huì)は法に認(rèn)められた権利」と主張している。つまり、憲政と法治こそ王教授の求めるものであり、普遍的価値を重視する右派に近いような気もするのだが…。

王教授によると、憲法には中國(guó)の政治制度は社會(huì)主義と規(guī)定されており、社會(huì)主義の本願(yuàn)は共同富裕。なのでそれを重慶で行った薄熙來(lái)はえらいというロジック。薄熙來(lái)は一方で「打黒」（汚職官僚?マフィア撲滅）の名の下、一般企業(yè)家を拘束しては財(cái)産を沒(méi)収していたのだが、それはいいのだろうか。

至憲黨はこのまま誰(shuí)にも相手されることなく忘れ去られる可能性が高いが、それはそれとして法治と憲政の左派、「中國(guó)共産黨は憲法どおりに社會(huì)主義しろ！」という主張はなかなか興味深い。

現(xiàn)在、習(xí)近平が推進(jìn)する左派的政治キャンペーンでは、憲政は中國(guó)を転覆させる西側(cè)の陰謀ということになっている。右派＝憲政推し、左派＝その反対という構(gòu)図ができていたのだが、憲法遵守左派という新たなポジションが生まれるのならば、至憲黨は十二分に役目を果たしたのではないか。

▼中國(guó)義勇軍を結(jié)成、監(jiān)獄から薄熙來(lái)を救出せよ

この至憲黨絡(luò)みではもう一つ、ちょっと話題になったトピックがある?！钢袊?guó)至憲黨、軍事委員會(huì)主席第1號(hào)令を発布」というのがそれだ。

中國(guó)義勇軍を組織。天下の豪傑を集めて突撃隊(duì)を結(jié)成し、監(jiān)獄から薄熙來(lái)を救出せよ。ついでに我が黨の幹部である王立軍（ワン?リージュン）、徐明（シュー?ミン）、谷開來(lái)（グー?カイライ）らも助けよう。參加者には賞金を與える。

支払いは徐明の擔(dān)當(dāng)。海外からの參加者には米ドルで支払い、薄瓜瓜（ボー?グアグア）が擔(dān)當(dāng)する?，F(xiàn)在、毛新宇（マオ?シンユー）少將を中國(guó)義勇軍の司令に任命。周永康（ジョウ?ヨンカン）を軍事情報(bào)局大將局長(zhǎng)に任命する。

監(jiān)獄を襲撃して薄熙來(lái)を助け出せ、というなかなか楽しい提案だが、これは100％のネタ記事だろう。至憲黨軍事委員會(huì)主席?劉剛（リウ?ガン）の名前で出された文章だが、この劉剛という人物は天安門事件の學(xué)生関係者。1996年に米國(guó)に亡命している。中國(guó)ジャスミン革命の黒幕の一人を名乗り、ネットで中國(guó)をおちょくる文章を量産しているようだ。「私は壁と卵のどちらかに與するならば卵を選ぶ。今の弱者は共産黨だ。共産黨にアドバイスしたい」といった村上春樹ネタをまじえた文章には笑わせてもらった。

というわけで今回もはやりのネタを使ったジョークをぶっ込んできたわけだが、「憲政と法治を掲げる人物が薄熙來(lái)新黨成立を宣言」という元ネタのレベルが高く、いまいち見劣りすることは間違いない。

▼筆者プロフィール：高口康太（たかぐち?こうた）

翻訳家、ライター。豊富な中國(guó)経験を活かし、海外の視點(diǎn)ではなく中國(guó)の論理を理解した上でその問(wèn)題點(diǎn)を浮き上がらせることに定評(píng)がある。獨(dú)自の切り口で中國(guó)と新興國(guó)を読むニュースサイト「KINBRICKS NOW」を運(yùn)営。