先日、中國(guó)の官製ニュースサイトがチベット亡命政府の國(guó)歌を流すという痛恨のミスを犯してしまった。ネット検閲にもチベット人は駆り出されているだろうが、主な擔(dān)當(dāng)者は漢民族ということでチェックしきれなかったのではないか。この事件が象徴的だが、言葉の違いはネット検閲を困難にする大きな要因となっている。

【その他の寫(xiě)真】

だが、検閲事業(yè)に多額の資金が投じられている中國(guó)、ITの力でこの障害を乗り越えようとしている。2013年11月20日の香港英字紙サウス?チャイナ?モーニング?ポストは、清華大學(xué)を中心とした研究グループが少數(shù)民族言語(yǔ)の監(jiān)視システムを開(kāi)発したと報(bào)じた。

▼畫(huà)像化されたテキストも音聲通話も少數(shù)民族言語(yǔ)も

ネット検閲で重要となるのが畫(huà)像化された文章の読み取り。検閲を避けるべくネットではこうした手法を使った情報(bào)のやりとりが増えているという。記事では具體的に指摘されていないが、中國(guó)のマイクロブログで多用されている長(zhǎng)微博を指すものと思われる。140文字の字?jǐn)?shù)制限を超える長(zhǎng)文を畫(huà)像化して添付することで、マイクロブログに長(zhǎng)文を書(shū)き込むというツールだ。

現(xiàn)在、中國(guó)はさまざまな検閲システムと數(shù)十萬(wàn)人規(guī)模のスタッフで検閲をおこない、畫(huà)像化された文章にも対応している。ただしここで問(wèn)題となるのが言葉の壁だ。少數(shù)民族言語(yǔ)で書(shū)かれた文章には従來(lái)のシステム、手法では対応しきれないという。

そこで開(kāi)発されたのが新たなシステム。このシステムを使うことで、チベット語(yǔ)、ウイグル語(yǔ)など中國(guó)の主要な少數(shù)民族言語(yǔ)をすべてカバーするばかりか、アラビア語(yǔ)、日本語(yǔ)のチェックも可能。一般的なウェブのテキストだけではなく、畫(huà)像に加工された文章、さらには音聲通話の監(jiān)視も可能になるという。この新システムは新疆ウイグル自治區(qū)、チベット自治區(qū)ですでに使用されている。

▼「快適な検閲環(huán)境」

中國(guó)のネット検閲はスマート化しつつある。以前は黨大會(huì)など重要なイベントがある時(shí)にはグループチャットで畫(huà)像の共有ができなくなるなどの締め付けが頻繁に行われていたが、先日の三中全會(huì)ではそうした大規(guī)模な規(guī)制は行われていないようだ。マイクロブログの検閲でもアカウントの削除という強(qiáng)硬手段だけではなく、一定期間の発言禁止、書(shū)き込みがフォロワーから見(jiàn)えなくなる（書(shū)き込み主自身は発言できているつもりだが、誰(shuí)も読むことはできない）といった“ソフト”な手段が導(dǎo)入された。

つまり、反體制的な話題に興味のない一般人にとっては、ネットライフに不便が生じない「快適な検閲環(huán)境」が用意されつつある。

こうした面で遅れをとっていたのが少數(shù)民族地域。チベットや新疆では一部地域の通信手段を完全封鎖するという荒技も珍しくない。サウス?チャイナ?モーニング?ポストが紹介した新システムが宣伝しているほどの精度を持っているかは疑問(wèn)だが、今後もさらなるバージョンアップを重ねることで検閲すべき情報(bào)の絞り込みができるようになれば、政治的問(wèn)題に無(wú)関心な少數(shù)民族にとっては「快適な検閲環(huán)境」が提供されるようになるのではないか。

▼筆者プロフィール：高口康太（たかぐち?こうた）

翻訳家、ライター。豊富な中國(guó)経験を活かし、海外の視點(diǎn)ではなく中國(guó)の論理を理解した上でその問(wèn)題點(diǎn)を浮き上がらせることに定評(píng)がある。獨(dú)自の切り口で中國(guó)と新興國(guó)を読むニュースサイト「KINBRICKS NOW」を運(yùn)営。