Record China 2013年11月28日(木) 18時14分
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27日、中國の都市化で起きていることを分かりやすくまとめてみようと思います。とくにここでは都市化で起こる実物的変化と貨幣的変化の両面を合わせて考えることを主眼とします。寫真は農(nóng)村部の労働者。
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2013年11月27日、中國の都市化で起きていることを分かりやすくまとめてみようと思います。とくにここでは都市化で起こる実物的変化と貨幣的変化の両面を合わせて考えることを主眼とします。(文:岡本信広)
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▼都市化のメリット
2012年12月に開催された中央経済工作會議で、李克強(リー?カーチアン)は「新型都市化」を打ち出しました。都市化を強調(diào)した背景には中國経済の構(gòu)造変化の必要性があります。投資主導で成長している中國経済を消費主導型に変更するには、都市化が有効と考えられるからです。都市化によって消費主體である都市住民を増加させることが可能だからです。
その他にも都市化は持続的経済成長に有益です。都市経済學の文獻で(例えばグレイザー『都市は人類最高の発明である』)も、都市化はGDPの成長、技術(shù)の革新、エネルギー資源の節(jié)約、環(huán)境保護に有益であることを指摘しています。
▼都市建設とその問題點
都市に対抗する概念は農(nóng)村です。都市化ということは農(nóng)村でなくなること、すなわち第二次産業(yè)、第三次産業(yè)中心の地域経済をつくるということです。農(nóng)業(yè)をしなくなるため、人々はビルに住み、工場やオフィスに働きにいくようになります。職住接近する方が便利であるため、人は集まり都市を形成していきます。
中國は農(nóng)村工業(yè)化という方法で経済発展してきたために他國と違って都市化が遅れました。農(nóng)村工業(yè)化は農(nóng)村の郷鎮(zhèn)企業(yè)が第二次産業(yè)、第三次産業(yè)の主體となって農(nóng)民の雇用を吸収し、都市に人が流れないようにするというものでした。したがって中國は「都市化なき経済成長」をしてきました。
それでも、深センや広州などの珠江デルタ地帯、上海や南京などの長江デルタ地帯には仕事を求めて人が流入してきましたし、経済特區(qū)や開発區(qū)では急速に都市化が行われてきました。つまり、多くの企業(yè)と労働者を受け入れるために“街”がつくられてきました。
街をつくるためには農(nóng)村地帯の土地を買い上げ、住宅や工業(yè)団地(開発區(qū))を造成していく必要があります。そこで政府は、農(nóng)村から土地を買い上げ急ピッチで街をつくっていきました。中國の街をつくるという都市化における問題はよく指摘されるように以下の點があります。
(1)土地制度の問題
農(nóng)村の土地は集団所有(基層政府管理)、都市の土地は國有となっています。都市化のために農(nóng)地を接収しマンションや開発區(qū)を整備する場合は一旦國有地に変えてから開発を行います。手続きが煩雑になっているのは、中國全土の農(nóng)地を減らさないようにするためです。耕地18億ムー(約1億2000萬ヘクタール)を維持するという最低ラインがあるので農(nóng)村の亂開発を防いでいるとともに、この土地制度の二元化によって都市化が抑えられていたということがあります。
(2)土地買収の問題
土地買収とマンションや工業(yè)団地建設?販売は地方政府にとって金を生む打出の小槌となりました。都市化は財政難に苦しむ地方政府にとって財源確保の手段ともなります。これにより農(nóng)民から土地を強制収容することも発生し、烏坎事件(役人が農(nóng)民に無斷で土地の売買を行った)のように農(nóng)民と基層政府とのあつれきを生むことになります。
▼都市化の資金はどこから調(diào)達するのか?
現(xiàn)在のところ中國の都市化は街をつくるというインフラ面での整備が中心です。この意味で経済構(gòu)造を消費主導型に転換したいという意図がありながらもまだ投資主導型の都市化が行われていることになります。インフラ建設の投資資金はどこから流れてくるのでしょうか。
上でも述べたように補償を少なくして土地を収容し、不動産物件にして販売するというキャピタルゲイン的な手法によってインフラ建設資金を調(diào)達する方法があります。もう一方で、民間資金を活用して開発區(qū)が生み出すキャッシュ?フローを証券化する方法もあります。
中國では正規(guī)の金融システムが規(guī)制によってがんじがらめになっています。銀行の利子は低く抑えられているために家計は銀行にお金を預けません。また銀行は國有銀行が主體であり、貸出も國有企業(yè)に向かいます。
そこで地方政府は融資平臺(プラットフォーム)と呼ばれる地方政府主體の國有開発事業(yè)體を立ち上げます。地方政府の信用をもとに國有銀行融資を受けてその資金でインフラ建設を行います。土地を擔保にした融資の拡大を引き起こし、「土弊」(土地が貨幣化し信用バブルを生む現(xiàn)象)を各地に生み出しました。
融資平臺を経由した地方政府への債務が増加してくると、中央政府から融資の制限がかかります。今度は融資平臺はマンション、地下鉄などの都市インフラ、開発區(qū)等の開発において社債を発行します。都市インフラが生み出すキャッシュ?フローを返済原資として証券化が行われることとなります。
これがシャドーバンキング、信託銀行による「理財商品」の開発につながります。銀行よりも利子率が高いため、家計資金が理財商品に流入し、地方のインフラ建設を支えるようになりました。すなわち民間資金を活用したインフラ建設です。
▼貨幣面の課題
都市化に伴う貨幣面での問題は以下のようになります。
(1)不動産バブルの問題
都市化という開発期待は土地需要を高めます。土地を開発すればお金になる、という期待は土地バブルを発生させやすいのです。土地が開発されマンション群が立ち並び、多くの人が投資目的で購入することがあったとしても、実際に人はほとんど住んでいない「鬼城」(ゴーストタウン)になってしまう現(xiàn)象も発生しています。不動産価格が上昇していても実需が追いついておらず、もし何かのきっかけで融資をした銀行が債権回収に動けば、不動産の投げ売りが始まり、バブルが崩壊する危険さえあります。
(2)地方債務の問題
インフラ建設のための資金調(diào)達は國民からの先借りという性質(zhì)を持ちます。銀行融資によって融資平臺の債務が増加する、あるいは理財商品を通じて家計が都市インフラの証券を保有する、どちらにおいてもインフラ建設が一旦ストップする、あるいは過剰供給になって開発區(qū)に誰も入居しないというようなことが発生すると、キャッシュ?フローが止まります。
もしそうなると、銀行の債権、個人が所有した証券の価値がなくなることになります。銀行は不良債権を抱えることとなり、家計は大きな損失を抱えます。銀行は最終的には公的資金の注入で救われる可能性がありますが、それも家計の稅金負擔によって賄われます。どちらにせよ、インフラ建設に必要な資金は家計が負擔しており、都市化の失敗のツケは家計に回されることになってしまいます。
▼消費拡大策としての都市化、課題は「人間の都市化」
現(xiàn)在の都市化はインフラ建設という供給面に偏っています。そもそも中國経済の成長は投資が主體となっています。この経済成長は「需要の先食い」であり、需要が追いつかないことが判明すると経済成長は急落する可能性さえあります。
中國政府もこの問題を十分に認識しており、従って、都市化による経済構(gòu)造の転換を狙っているわけです。都市化によって都市の雇用場所が増加し都市住民が増えます。都市住民の購買力が向上し、財を購入するのみならずレジャーなどの都市型サービスの消費が伸びることが期待されます。これにより國內(nèi)消費主導型経済への転換を図ることが可能になります。
しかし問題もあります。農(nóng)民が都市住民になれないといういわゆる戸籍問題です。戸籍制度により都市で働く農(nóng)民の雇用機會が限定されている、都市では農(nóng)民の子どもの教育機會がない、失業(yè)保険、醫(yī)療保険や年金などの社會保障がない、などの制度的差別は、農(nóng)民を消費を牽引する経済主體へと転換することを不可能にしています。
今回の三中全會でも農(nóng)民の都市住民化が觸れられましたが,制度の改革がインフラ建設ではなく、「本當の都市住民をどのようにつくるのか」つまり「以人為本」の都市づくりが中國都市化の本當の課題だといえます。
▼筆者プロフィール:岡本信広
大東文化大學國際関係學部教授。1967年徳島県生まれ。著書に『中國?奇跡的発展の「原則」』アジア経済研究所,『中國の地域経済?空間構(gòu)造と相互依存』日本評論社がある。
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