<コラム>香港、直面していた感染爆発の危機(jī)ひとまず回避

野上和月    2020年4月23日(木) 22時20分

拡大

香港は、新型コロナウイルスの新たな感染者が4月12日から10日間連続で1けたで推移している。

(1 / 6 枚)

香港は、新型コロナウイルス(COVID-19)の新たな感染者が4月12日から10日間連続で1けたで推移している。20日には約1カ月半ぶりにゼロにもなった。3月に入って感染者の急増で直面していた感染爆発の危機(jī)は、ひとまず回避したといえる。世界有數(shù)の過密都市でありながら、ロックダウン(都市封鎖)せず、経済活動を維持しつつ、この危機(jī)をしのいだ勝因は何だろうか?

その他の寫真

香港では3月に入り、歐米など世界各地での感染拡大とともに感染者が急増。中國で新型コロナが猛威を振るっていた年初から2月末までは95人だった感染者が、4月21日現(xiàn)在1029人(死亡者は4人)と一気に増えた。感染者の6割余りに渡航歴があり、約400人が英國留學(xué)の若者だ。休みはもっぱら海外旅行、子息は英語圏へ留學(xué)させる家庭が多く、中國本土からの第一波の次は、香港人がウイルスを持ち込む第二波が押し寄せたのだ。

香港人の帰國ラッシュを受けて香港政府は3月19日から、水際対策を強化。外國人客も含めて入境者全員に14日間の強制検疫を課した。自宅やホテル、検疫センターでの隔離期間中は外出禁止。位置を確認(rèn)できるリストバンドの裝著を義務(wù)付け、検疫官が監(jiān)視にあたる。違反したら罰金と禁錮刑だ。その後も、香港住民以外の空路での入境は原則禁止、歐米からの入境者には全員ウイルス検査を?qū)g施するなど、対策を強めていった。

市內(nèi)では複數(shù)のバーで集団感染が起こりだした。3月27日に新たな感染者が過去最高の65人(累計519人)に達(dá)すると、政府は、ゲームセンターやジム、映畫館などの娯楽施設(shè)に対して翌夕からの一時閉鎖を義務(wù)付けた。飲食店には、客席を通常の半分までに減らし、1テーブルは4人まで。テーブルは1.5メートル間隔とし、來店客の體溫検査と手の消毒も義務(wù)付けた。さらに、公共の場で集まる際は4人までという“4人までルール”を?qū)搿¥蓼?、カラオケボックスや美容サロンでも複數(shù)の感染者が出るや、バー同様に一時閉鎖の対象に加えた。過密化防止のこれらの措置も、違反すれば、客も店も罰金や禁錮刑だ。

一方、市民の高い危機(jī)意識も見逃せない。香港で初の感染者が出た日から街はマスク姿一色と化した?!弗蕙攻盲仁窒搐?、外出を控え、人混みを避けることが最大の防御」を心がけ、“4人までルール”もしっかり守っている。毎日テレビ中継される、政府當(dāng)局の専門醫(yī)による定例記者會見で最新狀況を把握し、感染経路や住んでいるマンション名、立ち寄った場所、移動手段などの感染者情報をリスク要因として注意を払う。店の従業(yè)員に感染者が出ると14日間閉店し、濃厚接觸者も14日間の隔離生活を送る。とにかく地道な作業(yè)を徹底的に、我慢強く繰り返している。

企業(yè)は春節(jié)休暇以降、公務(wù)員の在宅勤務(wù)に倣って、ずっと在宅勤務(wù)や時差出勤を続けているところが少なくない。學(xué)校は休校。街の至る所に消毒液が設(shè)置され、どのビルも清掃員が一気に増えた。外出時のマスク著用や公衆(zhòng)衛(wèi)生、社會的距離の確保を呼び掛けるポスターやテレビCMも山ほど見る。

新たな感染者の減少は帰國のピークが過ぎたことが一因だが、香港人の友人らは、この危機(jī)を回避できた一番の理由に、「SARS(重癥急性呼吸器癥候群)の経験」をあげる。當(dāng)時は政府の初動の遅れや、社會全體の危機(jī)意識や衛(wèi)生観念の低さが、多くの感染者や死者を招いた。あの苦い経験を通して、大切な命を守るためには、強い危機(jī)意識とスピード感ある対応が重要だと學(xué)んだ。その教訓(xùn)が生かされているからだという。當(dāng)時を経験した私も、そう感じている。

政府は、一連の過密化防止措置は、一部を除き5月7日まで延長することを決め、「引き続き気を緩めないで」と呼びかけている。SARSは気溫の上昇とともに収束を迎えたが、このウイルスは暑さにも強い。世界では依然、厳しい狀況が続いており油斷は禁物だ。とはいえ、第一波に続き、第二波もこうして抑え込んだことは、政府も市民も大きな自信となったに違いない。(了)

■筆者プロフィール:野上和月

1995年から香港在住。日本で産業(yè)経済紙記者、香港で在港邦人向け出版社の副編集長を経て、金融機(jī)関に勤務(wù)。1987年に中國と香港を旅行し、西洋文化と中國文化が共存する香港の魅力に取りつかれ、中國返還を見たくて來港した。新聞や雑誌に香港に関するコラムを執(zhí)筆。読売新聞の衛(wèi)星版(アジア圏向け紙面)では約20年間、寫真付きコラムを掲載した。2022年に電子書籍「香港街角ノート 日常から見つめた返還後25年の記録」(幻冬舎ルネッサンス刊)を出版。

ブログ:香港時間
インスタグラム:香港悠悠(ユーザー名)fudaole89

この記事のコメントを見る

noteに華流エンタメ情報を配信中!詳しくはこちら

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China?記事へのご意見?お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業(yè)務(wù)提攜

Record Chinaへの業(yè)務(wù)提攜に関するお問い合わせはこちら

業(yè)務(wù)提攜