高野悠介 2020年5月24日(日) 14時50分
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中國には金融界の景色を変える切り込み隊長的存在がある。その1つはアリババグループの金融會社、アント?フィナンシャルである。寫真は支付寶。
日本の銀行界に、あまりよいニュースはない。人員削減や支店閉鎖、採用抑制、システム統(tǒng)合に多大の労力、年功序列とエリート銀行員の終焉など、未來指向感は何もない。それどころか、時代の波に揉まれ、沈沒寸前に見える。中國でも國有四大銀行など、従來型金融機関は、似たもの同士のようだ。しかし、中國には、金融界の景色を変える切り込み隊長的存在がある。その1つはアリババグループの金融會社、アント?フィナンシャル(螞蟻金服)である。
■國有四大銀行並み企業(yè)価値
アント?フィナンシャルの企業(yè)価値は、1500億ドルとも2000億ドルともされている。未上場のため調(diào)査機関によって差が出る。アリババ本體は上場企業(yè)のためはっきりしていて、5中國企業(yè)ナンバーワンの5345億ドル(5月8日時點)である。
2位はテンセントで5141億ドル、アント?フィナンシャルの価値は、IT界では2社に次ぐ堂々の3位だ。國有四大銀行(工商、建設、農(nóng)業(yè)、中國)の中でも3位に入る。そして活動の革新性、先進性では四大銀行の比ではない。
アント?フィナンシャルの源流は、アリババの支付寶である。2004年、ネット通販勃興期に、買い手が商品を確認するまで、売り手に支払い猶予する資金プールとして始まった。
転機となったのは2009年、雙11(11月11日獨身の日セール)開始により、急速にデジタル化が進展したこと、2013年、MMFの「余額寶」、小口金融商品の「花唄」を発売、いずれも驚愕の大成功を収めたことだ。正式に別會社として獨立したのはその翌年2014年である。
■決済(モバイル)
アント?フィナンシャルにとって、金融の本質(zhì)とは、顧客とシチュエーション、技術と資金の融合にある。そして3大業(yè)務とは、1決済、2デジタル金融、3技術研究開発と輸出である。以下、分析してみよう。
決済(モバイル)では、支付寶の國內(nèi)決済業(yè)務をしっかり固め、海外業(yè)務を開拓する方針だ。國內(nèi)決済ではO2Oを推進していく?!拔磥磲t(yī)院”“未來公共交通”“未來商圏”“全民WiFi計畫”等、シチュエーション丸ごと支付寶に取り込む戦略だ。モバイル決済市場規(guī)模は毎年20%前後、安定して増加、シェアは微信支付と2分だが、2016年以來、50%臺後半をしっかり維持している。
海外決済では、グローカル化(世界普遍化と地域限定化)を目指す。加盟店を増やすだけでなく、これまでに韓國、インド、タイ、フィリピン等10カ國の電子マネー?ウォレットと提攜した。こちらでは決済システム互換の実現(xiàn)を目指していく。
■デジタル金融
金融部門では2017年までに、さまざまなライセンスを獲得し終えた。これで5部門を網(wǎng)羅する獨自のエコシステムを構(gòu)築できた。システムのメンバーは、筆頭株主となった投資信託の天弘基金(持株51%)、保険の國泰産険(51%)網(wǎng)商銀行(30%)、その他、投信販売の數(shù)米基金網(wǎng)、投融資情報の網(wǎng)金社に出資している。5部門とは
1.決済(支付寶)
2.財産管理(余額寶)
3.融資(花唄、借唄)
4.保険(相互寶)
5.信用スコア(芝麻信用)
そして2018年以降、攻勢をかけた結(jié)果、2019年9月、支付寶のユーザーは9億人に達した。そして1~5のうち、3種類以上使用している人は10人中8人、5種類すべて使用している人も10人中4人に増えている。
■技術研究開発と輸出
研究対象は“BASIC”である。Blockchain、AI、Security、IoT、Cloud computingの頭文字を取ったものだ。
ブロックチェーンを見て行こう。同技術の研究開発と輸出は、デジタル金融から、デジタル経済への過程そのものであるという。すでにアント?フィナンシャルは、分散型臺帳技術を用いた、各シーンにおけるソリューションを準備している。
金融-応用金融技術、デジタル資産管理、海外送金
生活-スマート不動産賃貸、電子醫(yī)療カルテ、スピード醫(yī)療保険、電子処方箋、電子版権
小売-電子トレーサビリティ、コモディティ商品のデータに基づく流通
実用-電子ID認証、営業(yè)のデジタル化、営業(yè)協(xié)力、リスクコントロール、電子契約管理
等を推進、システムを開放しつつ、輸出も行う。世界のスタンダードを狙うのだ。
■まとめ
アント?フィナンシャルは、すでにアリババの財布を、はるかに超えた存在だ。投資戦略をも擔うため、実質(zhì)的なグループの司令塔かも知れない。従來型金融機関は、提攜を求め、國有四大銀行から、中小金融機関まで、門前に列をなしている。
これだけのビジョンと気迫を備えた金融機構(gòu)は、日本にはなさそうだ。日本企業(yè)の巨額の內(nèi)部留保や、個人預金は狙われる存在である。日本人はもっと金融リテラシーを高めないかぎり、近いうちに成すすべがなくなってしまうだろう。
■筆者プロフィール:高野悠介
1956年生まれ、早稲田大學教育學部卒。ユニー株(現(xiàn)パンパシフィック)青島事務所長、上海事務所長を歴任、中國貿(mào)易の経験は四半世紀以上?,F(xiàn)在は中國人妻と愛知県駐在。最先端のOMO、共同購入、ライブEコマースなど、中國最新のB2Cビジネスと中國人家族について、ディ-プな情報を提供。著書:2001年「繊維王國上?!箹|京図書出版會、2004年「新?繊維王國青島」東京図書出版會、2007年「中國の人々の中で」新風舎、2014年「中國の一族の中で」Amazon Kindle。
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