元中國(guó)共産黨政治局常務(wù)委員、周永康が拘束されたとのニュースが流れています。中國(guó)では権力闘爭(zhēng)で敗れた大物官僚がちょくちょく汚職名目で逮捕されているわけですが、中國(guó)共産黨の最高指導(dǎo)陣、政治局常務(wù)委員の経験者は安全圏と見(jiàn)なされてきました。もし周が失腳すれば、天安門(mén)事件の趙紫陽(yáng)以來(lái)となります。周は薄熙來(lái)と深いつながりがあるだけに、「天安門(mén)以來(lái)最大の政治事件」と呼ばれてきた薄熙來(lái)事件は周の失腳によって本當(dāng)の幕引きを迎えることになるでしょう。（文：高口康太）

【その他の寫(xiě)真】

さて、その周の容疑ですが、臺(tái)灣や香港のメディアは習(xí)近平打倒のために反日デモを展開(kāi)した、暗殺しようとした、クーデターを畫(huà)策したなどなど、とても信じられないような話を流しています。

そうしたなか、香港誌?亜州週刊が海外メディアの報(bào)道を検証した、かなり確度が高い記事を出しています。2012年3月のクーデター騒ぎについても極めて説得力のある情報(bào)を公開(kāi)しているなど、現(xiàn)時(shí)點(diǎn)では一番信頼の置ける記事と言えるでしょう。ざっくりとご紹介したいと思います。

▼周永康失墜の內(nèi)情、習(xí)近平の“虎狩り”は驚きの展開(kāi)に（亜州週刊、2013年12月22日號(hào)）

數(shù)々の情報(bào)源が認(rèn)めているとおり、かつて200萬(wàn)人近い武裝警官、警察、司法関係者を率い栄華を極めた前中國(guó)共産黨政法委員會(huì)書(shū)記?周永康は今、急速に失墜している。かつて手に染めた犯罪行為は詳しく調(diào)査され、「刑は政治局常務(wù)委員に上らず」の慣例も打ち破られようとしている。周の後ろ盾と目されてきた江沢民、曾慶紅もすでに一線を引いているという。

周永康を取り調(diào)べる「二號(hào)専案」調(diào)査グループは今まさに周永康の取り調(diào)べを進(jìn)めており、家族や側(cè)近もみな拘束された。一部海外メディアは先週末に真?zhèn)尾幻鳏韦丹蓼钉蓼蕘宦劋蛄鳏筏俊Ｖ肖摔现埭瑥帳榷咀⑸浃橇?xí)近平を暗殺しようとしたとの報(bào)道もあった。しかし中國(guó)共産黨高官はこの伝聞を否定している。ある高位の職にある情報(bào)筋によると、12月11日時(shí)點(diǎn)の情報(bào)として取り調(diào)べは事実だと認(rèn)めたものの、政変や暗殺のうわさは否定している。この消息筋によると、習(xí)近平はすでに周永康を司法で裁くことを決定したという。

▼拘束公告文案はいまだ検討中

高官の狀況に詳しい消息筋によると、12月10日時(shí)點(diǎn)で中國(guó)共産黨はまだ司?庁級(jí)には周永康に関する通達(dá)を出していないという?！袱饯欷嗓长恧考?jí)にもまだ通達(dá)されていない。公告をどうまとめるかはまだ検討中だ」という。ある北京の官僚によると、司級(jí)まで通達(dá)されれば、現(xiàn)在の中國(guó)においては全國(guó)に公表されたも同じだという（情報(bào)の流出は防げないとの意）。

「二號(hào)専案」と呼ばれるこの事件?，F(xiàn)在は違法行為、紀(jì)律違反行為の黒幕である周永康の取り調(diào)べが進(jìn)められている。習(xí)近平は総書(shū)記就任後すぐに「虎狩り」を決意した。そして今、まさに虎は檻へと追い込まれた。

▼妻殺害容疑は確認(rèn)されず

別の消息筋によると、周永康は確かに薄熙來(lái)を持ち上げ、自らが院政をしく考えを持っていたという。しかしクーデター、毒注射による暗殺といった伝聞は誇張されすぎで事実とは異なると指摘した。また妻殺しのうわさもあるが、これも當(dāng)局は確認(rèn)できていないという。息子の周寒が父と決裂し重慶市で本屋を営んでいるとのうわさもあったが、これも不正確で、現(xiàn)在は石油系國(guó)有企業(yè)に身を置いている。

ただし周永康が盜聴を仕掛けていたことは確認(rèn)された。ある重慶市の情報(bào)源によると、胡錦濤體制において周永康は他の上級(jí)指導(dǎo)者を盜聴していたという。ちなみに薄熙來(lái)の右腕、王立軍も上級(jí)指導(dǎo)者の盜聴を?qū)g施しており、その報(bào)告は周に伝えられていたが、王もまた周の盜聴の事実を知っていたという。

周永康と薄熙來(lái)の事件は中國(guó)共産黨內(nèi)部に激烈な政治抗?fàn)帳颏猡郡椁工猡韦趣胜盲?。ある北京市の海外メディア関係者によると、2012年9月、すなわち習(xí)近平が総書(shū)記に就任する十八大（中國(guó)共産黨第18期黨大會(huì)）の2カ月前のこと、習(xí)近平が2週間にわたり姿を消した時(shí)期があった。休養(yǎng)、全面改革プランの起草と公表されていたが、実際には権力闘爭(zhēng)の手段としての休暇であった。習(xí)が中國(guó)共産黨の核心的権力を掌握することを保障せよ、さもなくば総書(shū)記には就任しないと江沢民、胡錦濤に迫るためのものだったのだ。江沢民、曾慶紅は周の支持者だったが、最終的には一線を引くことを決意した。今年7月、江沢民は訪中したキッシンジャー元國(guó)務(wù)長(zhǎng)官と會(huì)見(jiàn)、習(xí)近平を絶賛している。

▼周永康の家族、側(cè)近を拘束

李春城、蔣潔敏など多くの配下、側(cè)近はすでに雙規(guī)（黨紀(jì)律部局による拘束、取り調(diào)べ）された。家族も取り調(diào)べを受けているが、唯一、次男の周寒だけは拘束されていないという。周寒は中國(guó)石油に身を置き、父との関係も少なかった。長(zhǎng)男の周濱とその妻は帰國(guó)、拘束され取り調(diào)べを受けている。博訊網(wǎng)によると、周永康の兄弟姉妹も取り調(diào)べを受けている。當(dāng)局が兄弟姉妹のオフィスを捜索したところ、數(shù)億元もの現(xiàn)金、預(yù)金通帳を発見(jiàn)したという。彼らは周永康による売官や収賄の仲介人となっていた。

2012年3月15日、薄熙來(lái)の雙規(guī)が発表された。その4日後の19日、北京には「中南海クーデター」のうわさが流れた。多くの著名ネットユーザーが北京と中南海の異常を伝え、大量の軍用車(chē)両であふれ返り、警備が強(qiáng)化されたことを伝えている。當(dāng)時(shí)流行した筋書(shū)きとは、周永康が武裝警官を動(dòng)員し中南海を包囲、クーデターを畫(huà)策したが、胡錦濤が掌握した三十八軍の前に企みは敗れたというものだった。

消息筋によると、19日には確かに衝突があったが、それはクーデターではなく、薄熙來(lái)の“お財(cái)布”、大連実徳グループの徐明會(huì)長(zhǎng)の身柄を奪うものだったという。薄熙來(lái)の雙規(guī)後、周永康は配下の警察に徐明の身柄を確保するよう命じた。中央紀(jì)律委員會(huì)がその身柄を引き渡すよう要求したが、周の意を受けた警察は拒否。すると紀(jì)律委員會(huì)側(cè)は周の長(zhǎng)男、周濱の汚職の資料を武器に身柄の引き渡しを迫った。周は武裝警察に命じて徐明の身柄を移そうとしたが、紀(jì)律委員會(huì)側(cè)も兵力を集め、徐の身柄を奪うチャンスを狙った。この一觸即発の事態(tài)に驚いた中國(guó)共産黨指導(dǎo)部は不測(cè)の事態(tài)を避けるため、中央弁公庁に命じて中央警衛(wèi)局を動(dòng)員させ、中南海の警備を固めた。かくして武裝警察と警察、中央紀(jì)律委員會(huì)、中央警衛(wèi)局は緊迫の一夜を過(guò)ごし、さまざまなうわさが流れることとなった。

消息筋によると、19日の事件後、周永康は全國(guó)200萬(wàn)人の武裝警察の指揮権を剝奪された。また習(xí)近平は政法委員會(huì)の権力削減を決定。十八大後には政法委員會(huì)書(shū)記は政治局常務(wù)委員のポストから格下げされた。また三中全會(huì)で発足が決まった國(guó)家安全委員會(huì)の管轄下に入ることが決まり、習(xí)近平は警察権力を掌握することとなった。

▼谷開(kāi)來(lái)が供述、周永康との関係

薄熙來(lái)、王立軍、谷開(kāi)來(lái)が主役となった重慶政治ショー。なかでも薄熙來(lái)の後半はそのクライマックスとなった。裁判最終日、薄熙來(lái)は自ら谷と王の“関係”を口にし、全國(guó)の観衆(zhòng)を驚愕させた。

その谷だが、王立軍とだけではなく、周永康とも“関係”していたのだろうか？北京の消息筋によると、調(diào)査グループ內(nèi)部の重慶市関係者が次のように話しているという。薄熙來(lái)、王立軍の事件に関する調(diào)査はほぼ終わった今年初頭、谷は周永康との関係があったことを認(rèn)めたという。「谷は軽微な精神障害でしたが、周永康との関係についての発言は事実です」と話している。また匿名の消息筋は「谷が本當(dāng)にそう言ったのかどうかははっきりしない。窮地を抜け出るために周永康を巻き込もうとしたのではないか」と話している。ただし谷と周の“関係”については、谷の発言以外では確認(rèn)が取れていない。

◆筆者プロフィール：高口康太（たかぐち?こうた）

翻訳家、ライター。豊富な中國(guó)経験を活かし、海外の視點(diǎn)ではなく中國(guó)の論理を理解した上でその問(wèn)題點(diǎn)を浮き上がらせることに定評(píng)がある。獨(dú)自の切り口で中國(guó)と新興國(guó)を読むニュースサイト「KINBRICKS NOW」を運(yùn)営。