2013年10月15日、中國(guó)國(guó)務(wù)院は『生産能力過(guò)剰という矛盾の解消に関する指導(dǎo)意見』を提出しました。鉄鋼、セメント、電解アルミニウム、ガラス板、船舶業(yè)の生産能力が過(guò)剰で稼働率はいずれも70％代前半にとどまっているとして、生産能力の淘汰が必要だと指摘しています。

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簡(jiǎn)単にまとめると、「おらが街にも産業(yè)を」「投資すればGDPが増えるべ」という動(dòng)機(jī)に突き動(dòng)かされた地方政府によるチキンレース的投資の結(jié)果、需要をはるかに上回る生産能力が生み出されたというもの。その結(jié)果、過(guò)當(dāng)競(jìng)爭(zhēng)となりどこの企業(yè)も業(yè)績(jī)が悪化するわ、むちゃな投資がこげつくわ、と大変な問題となっているのです。一時(shí)は太陽(yáng)光パネル世界最大手だった中國(guó)サンテックの破綻はその象徴です。

中國(guó)政府は本腰を入れてこの問題に取り組み始めたようですが、その中で河北省には過(guò)大すぎる任務(wù)が背負(fù)わされています。その背景には、単なる経済的判斷ではなく、周永康（ジョウ?ヨンカン）一派潰しという政治的判斷のにおいも漂います。

■過(guò)大な課題に顔面蒼白の河北省

生産能力過(guò)剰はさまざまな分野にまん延しているわけですが、その中でも特にやり玉に挙げられているのが鉄鋼業(yè)。実は數(shù)年前にも生産能力過(guò)剰解消の指導(dǎo)を受けていたのですが、中古設(shè)備の改修などの名目でさらに生産能力を拡大させるなどの裏技を駆使。狀態(tài)をさらに悪化させていました。というわけで、今回は今後5年間に8000萬(wàn)トン以上の削減という厳しい課題を突き付けられています。

中でも全體のノルマの75％、6000萬(wàn)トン削減を押し付けられた河北省は顔面蒼白（そうはく）。12年連続で生産量中國(guó)國(guó)內(nèi)トップとはいえ、生産量は昨年度で約2．86億トンですから、20%以上の削減になります。とはいえ、黨中央の號(hào)令ですから従わないわけにはいきません?！敢磺肖卫碛嗓蚓芙~する」と意気も高らかに宣言。唐山、邯鄲、石家莊の主要三都市を中心に6000萬(wàn)トンの削減に著手しました（新華社、10月29日）。

■河北省のカミカゼ式生産能力淘汰

記事にも「鉄鋼は河北省の看板産業(yè)」とあるように、省內(nèi)には下請(qǐng)け、孫請(qǐng)けまで考えると相當(dāng)數(shù)の人間が鉄鋼産業(yè)で食っているはずなのですが、「一切の理由を拒絶する」と宣言しており、その辺りは無(wú)視する構(gòu)え（新華社、12月17日）。

「これほど多くの削減は経済に対して大きな損害となる。例えば、60萬(wàn)人もの配置転換と、社會(huì)保障養(yǎng)老金が毎年130億元余（約2200億円）が必要で、直接、間接稅収557億元（約9600億円）に影響する」と勇ましい。なお10月の記事では40萬(wàn)人、370億元（約6400億円）という數(shù)字でしたので大きく上振れしております。

それもそのはず河北省ではなぜか國(guó)務(wù)院要求を大幅に超える1億トン削減の大目標(biāo)を立てています。なぜいきなり言われた以上のことをやり出したのか。

その背景を読み解くカギの一つに政績(jī)があります。生産能力過(guò)剰の解消は今後、政績(jī)に組み込まれることが決まったのです。中國(guó)の地方官僚といえば、8％成長(zhǎng)という目標(biāo)をぶら下げられたら10％成長(zhǎng)してみせるというモーレツ指導(dǎo)者ばかり。削減が業(yè)績(jī)になると言われたらやはり目標(biāo)以上に削りたくなってしまう側(cè)面がありそうです。

また計(jì)算の結(jié)果、當(dāng)初予想よりも影響が大きかったことも上振れ要因になったのではないかと思いますが、この雇用減、稅収減をどう穴埋めするかの具體策については一切觸れられていません。河北省のトップたる周本順（ジョウ?ベンシュン）書記は「経済失速は二の次」「GDPを犠牲にしてもこの件をしっかりやらねば」と明言。生産量削減はやり遂げるが、その結(jié)果どうなるかは取りあえずわからんという豪快な態(tài)度が印象的です。

■経済的判斷なのか、政治的イジメなのか

生産能力過(guò)剰は中國(guó)経済の大きな問題の一つ。取り組みは必要不可欠ですが、しかしなぜ河北省にこれほどの課題が押しつけられたのか。その背景には政治的判斷のにおいがします。

というのも河北省は習(xí)近平（シー?ジンピン）に目を付けられた地域なのです。7月には黨幹部の自己批判、幹部同士の相互批判を大々的に行う民主生活會(huì)のキャンペーンが展開されましたが、その嚆矢（こうし）となった河北省では、なんと習(xí)近平が4日間も居座り、幹部たちの自己批判、相互批判を監(jiān)督しています。10月には大気汚染問題で、河北省首脳陣を叱責(zé)しています。

この背景として考えられるのが周本順?河北省黨委書記の派閥です。周本順は現(xiàn)在、逮捕間近と噂されている前中國(guó)共産黨政治局常務(wù)委員?周永康（ジョウ?ヨンカン）の元秘書。周永康の側(cè)近たちが次々と逮捕されているなか、周本順には無(wú)理難題のイジメが降りかかってくる…と見えてしまうのは仕方がないところでしょう。

この宿題をこなさないとまた難癖をつけられるとなれば、周もGDPを捨ててもやらなければいけないのでしょうが、殘るのは大量の廃爐と失業(yè)者ということになります。

繰り返しになりますが、生産能力過(guò)剰の解消はきわめて重要な課題です。とはいえ、雇用を奪うという意味でリスクがあるのも確か。お上の大號(hào)令でキャンペーン的にことを進(jìn)めれば、大躍進(jìn)のような悲慘な歴史の二の舞ともなりかねません。

◆執(zhí)筆者プロフィール：水彩畫（すいさいが）

中國(guó)政治ウォッチャー。ブログ「中國(guó)という隣人」を運(yùn)営。葬式ウォッチなどクラシカル?スタイルの中國(guó)政治ウォッチを続けて、はや＊年。不透明な中國(guó)政治を読み解こうと悪戦苦闘中。