宇宙開発競(jìng)爭(zhēng)といえばかつての冷戦時(shí)代は米ソ二大國(guó)がしのぎを削っていたが、今、中國(guó)が主役の座に躍り出た。 有人深海探査も積極的に推進(jìn)、この分野でも覇権を握ろうとしている。

【その他の寫真】

2013年12月15日、中國(guó)の月探査機(jī)「嫦娥（じょうが）3號(hào)」が月面に軟著陸し、搭載していた無人探査車「玉兎（ぎょくと）號(hào)」による活動(dòng)が始まった。無人探査機(jī)による月面著陸に成功したのは、舊ソ連と米國(guó)に続いて世界で3番目。実に37年ぶり。中國(guó)は宇宙開発大國(guó)をアピールして國(guó)威発揚(yáng)を図るとともに、月の資源獲得を視野に宇宙権益を確保する狙いがある。

探査車は、レーダーや撮影裝置を備えており、約3カ月間、地球からの遠(yuǎn)隔操作で月面を走行しながら月の地形や地質(zhì)構(gòu)造のデータを収集する。4臺(tái)のカメラを備え、ロボットアームによる月面掘削も可能という。嫦娥3號(hào)は著陸地點(diǎn)で約1年間にわたり、宇宙観測(cè)を続ける。

◆37年ぶりの月面軟著陸

宇宙開発で大きく先行していた米國(guó)、ロシア両國(guó)は財(cái)政難や優(yōu)先順位の変更などで大きく後退。米國(guó)の宇宙開発ではNASA（米航空宇宙局）のスペースシャトル計(jì)畫はすでに終了しており、スペースX社など民間企業(yè)の比重が増しているのが実情だ。

中國(guó)は2020年をめどに有人宇宙ステーション建設(shè)計(jì)畫を推進(jìn)。少なくとも國(guó)家主導(dǎo)の宇宙開発分野では中國(guó)がトップに立つ可能性が大きい。中國(guó)がこの間に宇宙開発に費(fèi)やした費(fèi)用は500億元（約8000億円）に達(dá)する。內(nèi)陸部の酒泉衛(wèi)星発射センター（甘粛省）などに続く発射センターとして、南シナ海に面した海南島にケネディ宇宙センターをモデルにした新施設(shè)も完成させた。中國(guó)科學(xué)技術(shù)部（?。?、歐州連合（EU）、歐州宇宙機(jī)関（ESA）は12年夏に北京で行われた「中國(guó)?歐州宇宙科學(xué)技術(shù)協(xié)力対話」で、宇宙科學(xué)技術(shù)協(xié)力をめぐる中國(guó)と歐州の対話メカニズムをスタートさせることを決定した。

貧困層が依然多い中國(guó)では、「宇宙開発事業(yè)に金を使い過ぎだ」との批判がネット世論を中心に飛び交っており、中國(guó)の指導(dǎo)者は國(guó)民に、宇宙開発への中央政府の巨額の支出を正當(dāng)化する必要に迫られている。それでも宇宙開発は國(guó)家の威信を高揚(yáng)させ、技術(shù)力が向上するとの見方も根強(qiáng)く、「今やらなければ中國(guó)は將來、宇宙の支配権を失うことになる」と開発を支持する意見も多い。

中國(guó)は今回の探査機(jī)月面著陸に続いて、2020年にも米國(guó)に続く有人月面著陸を計(jì)畫している。さらに30年以降には長(zhǎng)期の有人滯在を可能にする月面基地を建設(shè)する構(gòu)想を立案している。中國(guó)が月面著陸にこだわるのは、核融合反応から未來エネルギーを取得しようという國(guó)家計(jì)畫を推進(jìn)するためである。

現(xiàn)行の原子力発電はウランの核分裂反応を利用したもので、壽命が半永久的な放射性廃棄物を排出し、処理が非常に困難。これに対し月に豊富にあるヘリウム3を使用した核融合反応は、有害な廃棄物をほとんど出さない。もちろん溫室効果ガスの発生もないため、環(huán)境問題が深刻化している中國(guó)にとっては理想の未來型エネルギーとなる。

地球の上空には磁気圏があり、宇宙線の直接の侵入を防ぎ人體を守っているが、ヘリウム3は磁場(chǎng)に妨げられて、地球上にはほとんど存在しない。核融合爐の技術(shù)はまだ確立されていないが、將來可能となる見通しで、中國(guó)政府は2017年までにヘリウム3の採(cǎi)取を目指している。このほかウラン、チタンなど、地球では希少な資源が大量に眠っているとされる。

◆未確定の宇宙資源利用ルール

2011年9月に発表された「中國(guó)の平和発展」と題された白書は、「中國(guó)は人口が多く、基盤がぜい弱で、世界人口の20％に相當(dāng)する國(guó)民を世界のわずか7．9％の耕地と6．5％の淡水資源で養(yǎng)っている。経済発展の成果は13億人の國(guó)民によって享受されていなければならないはずだが、常に多くの庶民の生存とニーズを満たすような発展は困難を極めている」と指摘。中國(guó)はエネルギー源を求め長(zhǎng)期的なプロジェクトとして宇宙への進(jìn)出を狙っていることが分かる。

宇宙開発の憲法ともいえる「宇宙條約」では、月を含めた天體には領(lǐng)有権を主張できないが、資源の利用についての規(guī)定はあいまいだ。月の資源の所有を禁じた「月協(xié)定」が1984年に発効したが、日本をはじめ、宇宙活動(dòng)を展開する國(guó)々の多くは批準(zhǔn)せず、実効性はない。中國(guó)の資源調(diào)査は、月の資源利用のルール作りを主導(dǎo)する意図もあるとみられる。今後、このままでは月の資源をめぐって激しい奪い合いになるのは必至。中國(guó)がその権益を國(guó)際ルールができる前に確保しようとする強(qiáng)い意思も見え隠れする。

◆7000メートルの有人深海探査に成功

宇宙と並んで深海もエネルギー鉱物資源の寶庫(kù)である。12年6月には、中國(guó)の有人深海潛水艇「蛟龍?zhí)枴工蕙辚ⅴ屎悉嗡?000メートルに到達(dá)した。有人深海潛水艇での大規(guī)模な潛水実験に成功したのは米國(guó)、フランス、ロシア、日本に次いで5カ國(guó)目。作業(yè)用の有人潛水艇としては世界記録となった。

中國(guó)の有人宇宙船と有人深海潛水艇には多くの軍事的な用途もあると見られている。両分野とも、いつの間にか世界のトップクラスに躍り出た。軍事にも転用可能とされ、世界各國(guó)からは「情報(bào)開示が進(jìn)んでおらず脅威だ」との聲が高まっている。

中國(guó)國(guó)防部は「中國(guó)は一貫して、宇宙の軍事化に反対しており、宇宙の軍拡競(jìng)爭(zhēng)には參加しない」と反論?！钢袊?guó)の宇宙事業(yè)の目的は、宇宙の平和利用のためであり、文明の促進(jìn)、人類の幸福のためである。また、國(guó)の経済発展や、科學(xué)技術(shù)、安全保障などのニーズを満たすためでもある」と「平和利用」を強(qiáng)調(diào)するが、世界各國(guó)の不安はなかなか消えない。

また、有人潛水調(diào)査船「蛟龍?zhí)枴工摔膜い皮狻ⅰ干詈￥慰茖W(xué)研究と海洋環(huán)境保護(hù)のために研究開発されたもので、海洋に対する認(rèn)識(shí)や平和的な利用に積極的な役割を果たす」と説明しているが、情報(bào)の開示は少ない。（Record China主筆?八牧浩行）

■筆者プロフィール：八牧浩行

1971年時(shí)事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長(zhǎng)、常務(wù)取締役編集局長(zhǎng)等を歴任。この間、財(cái)界、大蔵省、日銀キャップを務(wù)めたほか、歐州、米國(guó)、アフリカ、中東、アジア諸國(guó)を取材。英國(guó)?サッチャー首相、中國(guó)?李鵬首相をはじめ多くの首脳と會(huì)見。東京都日中友好協(xié)會(huì)特任顧問。時(shí)事総合研究所客員研究員。著?共著に「中國(guó)危機(jī)ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外國(guó)為替ハンドブック」など。趣味はマラソン（フルマラソン12回完走＝東京マラソン4回）、ヴァイオリン演奏。