Record China 2020年6月12日(金) 7時20分
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中國の新型コロナウイルスとの壯絶な闘いをまとめ、「新型コロナVS中國14億人」を出版したジャーナリスト?浦上早苗氏にインタビューした。
「新型コロナVS中國14億人」(小學館新書)が6月3日に出版された。著者は中國情報に詳しいジャーナリストの浦上早苗氏だ。浦上氏は同書の中で中國の最先端技術を駆使した取り組みを紹介?!杆饯郡沥弦姢à胜い趣长恧瞧黏长盲皮い胫袊芜M化から、眼を背けるべきではない。日本が『コロナ後』の世界でどうポジションを築くかを考える上でも」と説いている。このほどレコードチャイナのインタビューに応じ、中國の新型コロナウイルス対応の実態(tài)を語った。
◆同書の反響はいかがですか?
まだ発売數(shù)日なので多くの人から感想を聞けているわけではないですが、「感染癥対策だけでなく、考え方の違いやスピード感など、さまざまな角度から日本と中國の違いを考えさせられる」「1つ1つのステージを、日本と比較しながら読むことができる」との言葉をいただいています。
本の帯から「テクノロジー本」との印象を受ける人が多いようですが、中國のカルチャーと企業(yè)の取り組み、そして日中の間でジレンマに陥る人々の生活を描いた內(nèi)容です。私自身は日本を考えるためのコンテンツとも思っています。
◆同書では中國のコロナ対応についてかなり深くまで切り込んでいますね。中國で一応の収束を見てから間もないですが、なぜ短期間にこれほど取材できたのでしょうか?
日本で感染者が出たと発表された1月16日から、中國メディアを注視していました。春節(jié)(舊正月)を控え私も中國人と食事をすることが多かったのですが、新型コロナの話題を出すと、當時は中國の人も「武漢の話だから」と他人事でした。しかしその後、事態(tài)が急展開し2月末までは朝から晩まで新型コロナの中國の狀況を調(diào)べ、主だった事象を日本語に訳してツイートしていました。
かなり危機感があったので、私は1月27日以降、會食などもほぼキャンセルして自宅にいました。起きて中國ニュースをチェックし、寢る前にもチェックする、そんな生活でした。だから、〇月〇日に何が起きた、というのはほとんど暗記しています(笑)。
中國人には隨時取材していましたが、書籍の出版が決まった3月下旬、さまざまなルートで現(xiàn)地の日本人にコンタクトし、集中的に取材しました。日本の読者に説得力を持って読んでもらうためには、日本人の視點も不可欠だと思ったからです。幸い、コンタクトした人全員が「何らかの記録を殘したい」「日本では報道されていない、自分が経験したことを伝えたい」と考えており、快く取材に応じてくださり、畫像や映像もたくさん提供していただきました。
◆取材中に一番印象に殘ったエピソードは何ですか?
色々な人から聞いたことが、「中國人は國をあてにしない」という言葉です。ある中國人に「日本政府は何でもお金をくれてすばらしいですね」と言われました。確かに経済補償などは、中國は日本に比べて少ないです。一方で、「國をあてにしない」から、早期から企業(yè)や個人のグループが國民のためにさまざまなサービスを開発し、生み出しました。厳しい言い方ですが、日本は政府は「日本人の民度の高さ」に頼りすぎ、國民は政府頼みのようにも感じます。本書にも書きましたが、日本企業(yè)の駐在員は、「本社が政府の勧告でしか判斷できない」と愚癡をこぼしていました。
もう1つは、中國の大規(guī)模なPCR検査體制ですね。締め切り後で本には入れられなかったのですが、書籍に登場する中國?広東省在住の谷村さん(仮名)が5月下旬、「熱が出たので念のためPCR検査受けます」と話していて、「念のために受けられるんだ」と驚きました。日本では検査體制に課題があるため、私は4月下旬に38度臺の熱が4日続きましたが、ただ家で寢ているだけでした。結局その後も10日ほど微熱が続きました。不安でしたが、どうしようもありませんでした。
◆中國の新型コロナウイルス対策の核心と言えるものは何ですか?
鍾南山氏の受け売りですが、「徹底的な外出制限?外出自粛」でしょうか。2月に內(nèi)モンゴル自治區(qū)に住む中國人を取材し、「新型コロナの疑いがあるときはどういう手順になるの?」と聞いたら、「分かりません」と言われました。その理由は「家から出なければ安全なので、ニュースをあまり見なくなった」というものでした。日本人は怖いと言いながら出勤したり、買い物に出かけたりする、そうせざるを得ない人が多かったので、中國がこの數(shù)年で進めて來たキャッシュレス化や出前アプリが、こういう形で役に立つんだなあとも何度も思いました。日本でも4月に緊急事態(tài)宣言が出ましたが、飲食店、宿泊業(yè)界は3月から既に客足に影響が出ていました。経済への影響を考えて様子見が続いたわけですが、影響を最小限にとどめるために、初期段階で「短期決戦」を選んだほうがよかったのではないかと今も思います。
中國の感染源の追跡もすさまじいものがありますが、クラスターが発生したときに「彼氏」「部下」など感染者の人間関係まで公表されてしまうのを見ると、それは自分だったら嫌だなと思いましたね(笑)。クラスターの相関図がドラマの登場人物相関図みたいに見えて、いろいろ想像してしまうこともありました。
◆中國では「海外の國は中國の経験に學ぶべき」という聲もあったようですが、體制や國情が異なると難しいですよね。中國の対策を取り入れることが難しい最大のポイントはどこだとお考えでしょうか?
先にも述べましたが、(中國の対策は)プライバシーが赤裸々に出てしまうことですね。本書でも紹介しましたが、當局が「〇〇スーパーの野菜売り場で15秒(感染者の)近くにいて感染した」とか、「隣人とマスクをつけずに2分間おしゃべりして感染した」と発表するので、日本には「おてんとうさまが見ている」という言葉がありますが、中國はカメラやスマホのGPSにチェックされているんだと改めて感じました。あそこまで公表されると、怖くて家でじっとするしかないです。
また、感染の可能性を隠した人、マスクを高額転売した人、このあたりはすぐに逮捕されて、判決も既に出ています。日本のECサイトが醫(yī)療物資の転売をなかなか規(guī)制しなかった時にはいらいらしましたが、中國でコロナ関連の逮捕が相次いでいるのを見ると、議論や法整備を経ないのは問題だと強く思いました。中國は最初の対応が悪くて國際的な非難を受けたこともあり、途中からはやりすぎ感がちょくちょく見られました。
◆日本よりも早く感染拡大に歯止めをかけた中國を取材した経験から、今後日本に住む人々の生活にはどのような変化が起こると考えますか?
先日、武漢全市民の検査が終わり、無癥狀感染者300人が確認されました。おそらく日本にも隠れ感染者が相當數(shù)いて、検査體制とワクチンがないことには、地雷原の上で生活するようなものだと思います。
私は今回のコロナウイルスは、國や企業(yè)、個人のこれまでの取り組みや対応力を測る「中間テスト」だと思っています。日本と中國だけでなく、どの國でもその國の良い面が感染を抑え、悪い面が感染を拡大させました。企業(yè)や個人も同じです。早く変化に対応できたケースもあれば、時も思考も止まったままのケースもあると思います。中間テストは抜き打ちのように行われましたが、「期末テスト」に相當する第2波は秋冬に來ると言われ、今回よりは時間が與えられています。
中國EC大手のアリババや京東商城は2003年のSARSの逆風を乗り越え、追い風に変えました。第2波を防御するだけではなく、そこで変革、飛躍しなければならない。中國にとっても日本にとっても、変わるための巨大なチャンスであり、変われなかったら國としての危機に瀕すると考えています。(取材/毛利)
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