<米中対立と日本の戦略>「米國寄り」迫られるが、経済は「中國依存」続く

Record China    2020年8月20日(木) 6時(shí)40分

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米國と中國との対立がさらに深まってきた。世界は再び冷戦期のような陣営に二分されてしまうのか。同盟國?米國と最大の貿(mào)易?投資相手國?中國との狹間で、日本は難しい選択を迫られる。寫真は駐米中國大使館。

米國と中國との対立が、相手國の総領(lǐng)事館閉鎖合戦に発展するなど深まってきた。外交の斷絶にもつながる異例の措置である。世界は再び冷戦期のような陣営に二分されてしまうのか。

軍事面でも米中の緊張は高まるばかりだ。米軍は南シナ海に空母二隻を派遣し演習(xí)を?qū)g施。中國も対抗して同海域で訓(xùn)練を展開した。この間にアザー米厚生長(zhǎng)官が臺(tái)灣を訪問、蔡英文総統(tǒng)と會(huì)談した。中國は対抗措置として、複數(shù)の中國軍機(jī)を臺(tái)灣海峽上空の中間線を越え臺(tái)灣側(cè)に侵入させた。高速通信規(guī)格「5G」をめぐる中國ファーウェイの排除など米中の確執(zhí)は、外交、軍事、経済の各分野に広がる。

◆コロナ禍対応で明暗分かれる

このままでは従來の覇権國家と新興の國家が衝突する「トゥキディデスの罠」に突き進(jìn)むとの懸念も根強(qiáng)いが、米ソの東西両陣営が交わりを斷って鋭く対立した20世紀(jì)後半と異なり、今の米中は深い相互依存関係にあるのが米ソとの決定的な違いだ。

コロナ禍への対応で米中経済は明暗が分かれた。20年4~6月期の中國GDPは前年同期比3.2%増と先進(jìn)國に先駆けてプラス成長(zhǎng)に戻った。米國ではコロナ感染者が増え続け、4~6月期の米GDPは年率換算で前期比32.9%マイナスと、統(tǒng)計(jì)開始以來の落ち込みを記録。消費(fèi)支出も年率34.6%マイナスとなった。IMFなど有力國際機(jī)関の予測(cè)を分析すると、米中経済のGDP経済規(guī)模は25年ごろに逆転する。米國には経済覇権を握られることへの焦りもある。

トランプ政権は貿(mào)易や核軍縮、地球溫暖化問題などで「自國第一主義」を貫く。トランプ氏は11月の米大統(tǒng)領(lǐng)選に向けて「対中強(qiáng)硬策」をアピールし、バイデン民主黨候補(bǔ)に比べ劣勢(shì)とされる選挙情勢(shì)の挽回に懸命。中國も大統(tǒng)領(lǐng)選までは「我慢」を覚悟している。

世界の大半の國々にとって、米國か中國かの選択は悩ましい。米國と距離を置く國だけでなく、日本をはじめ米同盟國の多くも國際協(xié)調(diào)の枠組みに立ち戻るべきだとの考えである。グローバル化した「世界経済」を考えれば、力による対決ではなく協(xié)調(diào)による共存こそが世界の発展に繋がる。

米國は「安全保障重視」を掲げるが、中國は世界最多の人口パワーを背景に、AI(人工知能)などの分野で、すでに米國を追い越したとされる。その優(yōu)位性は「デジタル獨(dú)裁國家」とも呼べる中央集権的なデータ収集?管理システムにある。中國は中央銀行デジタル通貨の導(dǎo)入を計(jì)畫、現(xiàn)行の國際金融決済ネットワークとドル本位制度の打破を目指している。

一方、米國は安全保障の観點(diǎn)から、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)など巨大IT企業(yè)を巻き込み、個(gè)人情報(bào)管理を狙う。また民主主義十カ國(G7+韓國、インド、オーストラリア)と連攜し、中國企業(yè)を米國防産業(yè)サプライチェーンからの締め出しを狙っている。

◆中國進(jìn)出の日系企業(yè)、1萬3600社超

日本は日米同盟を基軸としながら、中國とも協(xié)調(diào)する従來方針を維持する「両にらみ」の戦略を描いてきたが、米中対立が激化する中、米國からは米寄りの立場(chǎng)を取るよう圧力をかけられている。中國は米中対立を和らげるため日本との協(xié)力強(qiáng)化を模索している。

王毅國務(wù)委員兼外相は7月末、茂木敏充外相との電話協(xié)議で「日中関係は改善の勢(shì)いを維持し著実に発展する。意見の相違を処理し、主要な力を相互利益の協(xié)力に集中すべきだ」と呼びかけ、茂木氏も「日本は両國の協(xié)力関係を進(jìn)めたい」と応じた。日本も中國との関係悪化につながらないよう腐心。悪化が止まらない日本経済の立て直しに中國との協(xié)調(diào)は欠かせないためだ。

19年の日本の対中輸出入額は33兆1357億円で、全體の21.3%を占め最大だ。帝國データバンクによると中國進(jìn)出企業(yè)は約1萬3600社超、中國関連ビジネス企業(yè)は3萬社以上。日本にとって、有力な成長(zhǎng)戦略であるインバウンド中國人訪日客へのコロナ後の期待も大きい。経団連幹部は「日本経済は人口14億人の中國市場(chǎng)なしで成り立たない」と話す。

20年7月の中國工業(yè)生産は前年同月比4.8%増。販売が好調(diào)な自動(dòng)車やスマホの生産が全體をけん引した。4カ月連続のプラスで、自動(dòng)車が27%、スマホが19%それぞれ増えた。新型コロナウイルスのまん延で日本の自動(dòng)車メーカーの業(yè)績(jī)は軒並み悪化しているが、中國市場(chǎng)は好調(diào)。日系自動(dòng)車大手4社の中國市場(chǎng)における7月の新車販売臺(tái)數(shù)はトヨタが19%増の16萬臺(tái)と3カ月連続で二桁増を記録。ホンダも6カ月ぶりに前年実績(jī)を上回り、全社がプラスを達(dá)成した。

7月の貿(mào)易統(tǒng)計(jì)(財(cái)務(wù)省発表)によると、日本全體の輸出額が前年同月比19.2%減と落ち込んだ中で、中國向け輸出は同8.2%増の1兆3290億円と7カ月ぶりにプラスに転じた。半導(dǎo)體製造裝置のほか、精製銅や自動(dòng)車が増えた。対米國の輸出額は19.5%減の1兆914億円と、12カ月連続で減少した。

中國企業(yè)は5G対応機(jī)器、高速鉄道、高圧送電線、再生可能エネルギー、デジタル決済、AIなど広範(fàn)囲にわたり世界をリードしつつある。低成長(zhǎng)に苦しむ國々にとって、中國の巨額投資や巨大市場(chǎng)は魅力的だ。

歐州各國はこの十年ほど、中國と経済的な結(jié)び付きを強(qiáng)めてきた。英國はコロナ危機(jī)後に中國の通信機(jī)器最大手のファーウェイを巡り米國に追隨する決斷を下したが、ドイツ、イタリアなどハンガリーなど大半の國は中國との経済関係維持の方針を変えていない。

◆米國企業(yè)も「中國頼み」

米紙ウォール?ストリート?ジャーナル(8月7日付)は「中國が米企業(yè)の避難所になる」と報(bào)道。米國の3大スニーカーブランドの一つであるスケッチャーズは、第2四半期全體の売上が前年同期比42%減少したが、中國では11%増と好調(diào)。LVMHルイ?ヴィトンの同期の売上は前年同期比で38%減少したが、中國では65%増になった。ナイキも5月に中國の売上が二桁増を達(dá)成した。多くの米産業(yè)?金融企業(yè)にとって中國は依然として有力な貿(mào)易投資相手である。

さらにアフリカ、中東、南米諸國の多くがファーウェイに代表される中國のハイテク製品への依存を深めている。アフリカの4G基地局の7割はファーウェイ製で、5Gへの転用を考えれば脫ファーウェイは非現(xiàn)実的。ジンバブエやベネズエラ、イランなど60カ國以上が中國と契約し、AIを使った中國流の都市監(jiān)視システムを?qū)毪工搿?/p>

中國は2050年までに米國に代わる超大國になることを目標(biāo)に掲げ、米國の警戒心に火をつけた。米國は慌てて世界の通信網(wǎng)や海底ケーブルなどから、中國の排除に動(dòng)くが手遅れの感は否めない。

中國は胡錦濤國家主席の時(shí)代(2003~2013年)までは、和諧(わかい)社會(huì)や平和的臺(tái)頭も口にしたが、習(xí)近平時(shí)代(2013年~)になって、強(qiáng)権支配と大國主義が際立っている。

日本は日米同盟を基軸としながら、中國とも経済を中心に協(xié)調(diào)する方針を維持する戦略を描いてきた。日本は國益最優(yōu)先を貫き、安全保障を依存する同盟國?米國と最大の経済貿(mào)易相手國である中國との狹間で、激動(dòng)の國際情勢(shì)を冷靜に見據(jù)え、したたかな戦略を描くべきであろう。(八牧浩行

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