八牧浩行 2014年1月6日(月) 8時(shí)40分
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2012年9月の日本の尖閣諸島國有化を受けた悪夢のような反日デモから1年3カ月。中國各地を現(xiàn)地取材したが、反日ムードは全く感じられず、日本企業(yè)の対中ビジネスマインドが回復(fù)。日中経済間に融和ムードさえ醸成されていた。寫真は上海の日系企業(yè)。
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2012年9月の日本の尖閣諸島國有化を受けた悪夢のような反日デモから1年3カ月。中國各地を現(xiàn)地取材したが、反日ムードは全く感じられなかった。それどころか意外にも、日本企業(yè)の対中ビジネスマインドが回復(fù)、日中経済間に融和ムードさえ醸成されていた。
【その他の寫真】
◆ユニクロ、ダイソーなど日系店舗が大賑わい
中國最大の商業(yè)都市上海市では伊勢丹、三越などのデパートやイオン、イトーヨーカ堂、ユニクロ、東急ハンズなどの店舗も活況を呈していた。昨年9月末オープンした世界最大のユニクロ店舗となる旗艦店は、家族連れや若者で連日大賑わい。午前10時(shí)の開店直前に訪れたところ、百人近い客が入り口に並んでいた。中國のユニクロ店舗數(shù)は226。14年8月期の1年間だけで80店もの大量出店を計(jì)畫、中國ビジネスは飛躍期を迎えているという。
百円ショップ?ダイソーの現(xiàn)地法人「大創(chuàng)百貨」上海店の5フロアもある大規(guī)模店舗は日用雑貨、文房具から化粧品、食品に至るまで多くの商店が所狹しと並び、地元客で大賑わいだった。王雅曇店長は「多くのお客さんが來てくれて売り上げは伸びている。日系企業(yè)ですが昨年秋の反日デモの影響は全くありません」と語っていた。日本のアニメ、キャラクター、ゲームソフトは大人気で、上海の目抜き通りにあるおもちゃ店のショーウインドーに「ドラえもん」の大きな人形が陳列されていた。
一般庶民が暮らす地區(qū)でも、野菜や肉、飲料、雑貨を売る店に交じって日系コンビニ店舗も目に付く。セブンイレブン、ファミリーマートはそれぞれ2000店前後の規(guī)模で中國に進(jìn)出?,F(xiàn)在500店舗のローソンは五年以內(nèi)に1萬店への拡大を計(jì)畫している。商品も質(zhì)量ともに日本や歐米先進(jìn)國と変わらない。食堂?レストランは外食を楽しむ人々で賑わっている。牛丼の吉野家や回転すしレストランもよく見かけた。訪れるたびに、都會(huì)の一般市民の生活水準(zhǔn)は明らかに向上していると感じる。
日本のメーカーや商社の対中進(jìn)出も回復(fù)しつつある。13年1?9月の日本の対中直接投資は6%増となり、日中関係緊迫化により激減するとの予想を覆した。政治的な対立下でも中國市場重視を変えない日本企業(yè)の姿勢が明確になった格好だ。減速したとはいえ主要國でなお斷トツの7%臺(tái)の経済成長が続く13億5千萬人の消費(fèi)市場は世界戦略に欠かせないとの見方は根強(qiáng)い。中國に進(jìn)出している日本企業(yè)約2萬社の8割以上が今後も中國消費(fèi)市場を重視しているとの調(diào)査結(jié)果もある。
中國事業(yè)の直近の売上高について進(jìn)出企業(yè)の大半が「問題発生前の水準(zhǔn)かそれ以上を確保している」とされる。13年度に中國関連の売上増を7割が見込み、増益予想も4割を上回る。設(shè)備投資を前年度から「増やす」とした企業(yè)は4割に上り、「減らす」とした企業(yè)は1割にとどまった。販売や生産?調(diào)達(dá)の拠點(diǎn)としての今後の展開について、「変更はない」が6割を占めた。販売増のため拠點(diǎn)の拡大を検討あるいは実行している企業(yè)も3割弱あった。リスクを乗り越えていく姿が浮かび上がる。
◆新日鉄住金、川重、伊藤忠…続々対中進(jìn)出
日本の企業(yè)は対中進(jìn)出を加速させている。新日鉄住金は中國で自動(dòng)車向け高級(jí)鋼板の合弁工場の新設(shè)を計(jì)畫。川崎重工業(yè)は二輪車で中國に13年8月に再進(jìn)出、同社現(xiàn)地法人を通じて、富裕層向けの大型モデルを中心に発売した。ヤクルトは中國?江蘇省無錫市に中國で4カ所目となる工場を建設(shè)し15年6月までに稼働させる。西武ホールディングスは傘下のプリンスホテルが吉林省でスキー場とホテルの運(yùn)営受託に乗り出す。14年12月にスキーリゾートを開業(yè)する予定だ。ホテル?レジャー事業(yè)の収益拡大を推進(jìn)しており、中國進(jìn)出はその目玉になるという。
伊藤忠商事は中國の日用雑貨品卸大手2社を買収。これにより2013年度の日用雑貨品取扱高は21億元(約330億円)と12年度比で約7割増える見通しで、同分野では中國最大手に浮上する。伊藤忠はすでに成都、鄭州、瀋陽など中國の13拠點(diǎn)で日用雑貨卸を展開しているが、15年には年間取扱高を35億元(約560億円)に増やす計(jì)畫だ。
丸紅も49%を出資する合弁會(huì)社?上海百紅商業(yè)貿(mào)易(上海)が日用品などの取扱品目やブランドを順次増やすほか、販売エリアも都市部から地方に広げる。地方都市でも日用品需要は旺盛で、12年度の売上高は10年前の4倍に拡大した。三菱商事も、出資する大連佳菱物流(大連)が卸事業(yè)を展開中だ。丸紅も取扱品目や販路の拡充に動(dòng)く。きめ細(xì)かな配送體制など豊富な物流ノウハウを持つ日本の商社の事業(yè)拡大は「中國流通業(yè)の効率化にもつながる」と中國政府も期待している。
中國の自動(dòng)車市場は世界の自動(dòng)車販売臺(tái)數(shù)の4分の1を占め、2013年に2150萬臺(tái)に達(dá)した。數(shù)年以內(nèi)に3000萬臺(tái)を突破するとの予測もあり、自動(dòng)車メーカーや関連メーカーにとって、何としても落とせない市場だ。世界の自動(dòng)車メーカーは、この世界最大の市場で「2015年以降」と見られる本格的な「環(huán)境対応車」「電動(dòng)自動(dòng)車」時(shí)代をにらんで動(dòng)き出している。
◆トヨタ、ソニーが中國重視戦略
トヨタ自動(dòng)車は13年11月、中國江蘇省常熟にトヨタ自動(dòng)車研究開発センター(中國)をに開設(shè)。3年11月に完成した。テストコースも備えた大規(guī)模施設(shè)でハイブリッド車向け電池製造會(huì)社も設(shè)立。インバーターなど中核部品の現(xiàn)地調(diào)達(dá)も進(jìn)め、中國で値ごろ感のあるHVの開発を進(jìn)める?!?/p>
ソニーの平井一夫社長は13年11月、上海市內(nèi)で記者會(huì)見し、中國など新興國市場での14年度の売り上げを11年度に比べて40%増大させる意欲的な計(jì)畫を明らかにした?!钢袊先彰驻葋Kぶ世界3大市場の一つ」と述べ、今後も中國での需要獲得に注力する考えを強(qiáng)調(diào)した。上海のソニー店舗は目抜き通りにあり多くの中國人客が詰めかけていた。スマートフォンなどデジタル機(jī)器をはじめ、音楽や映畫、金融など各事業(yè)の総合力を生かし、さらなる浸透を図る。13年度の中國市場での売り上げが前年度比2ケタ増になるという。
◆日本企業(yè)の進(jìn)出に期待
中國が上海に自由貿(mào)易試験區(qū)(特區(qū))を昨年9月末に設(shè)立、多くの日系銀行?企業(yè)が著目、期待が盛り上がっている。この試験區(qū)では稅制や規(guī)制が緩和され、企業(yè)の創(chuàng)意工夫が可能となる。既に三菱東京UFJ銀行と三井住友銀行、みずほコーポレート銀行は同試験區(qū)に拠點(diǎn)を開設(shè)。試験區(qū)內(nèi)では人民元決済など金融関連の規(guī)制が一部緩和される見通しで、日系企業(yè)の進(jìn)出も見込まれるため、顧客へのサービス體制を整える。今後、こうした試験區(qū)は深セン、天津、西安、重慶などでも計(jì)畫されており、日本企業(yè)は大きな役割を擔(dān)うことが期待されている。
2010年以降、所得水準(zhǔn)の上昇に伴い中國消費(fèi)市場が急拡大し、高級(jí)品だった日本製品を買える購買層が急増。中國は「世界の工場」から「世界最大の消費(fèi)市場」へと大きく変貌した。人口減少により日本國內(nèi)市場が縮小する中、日本企業(yè)はしたたかに可能性を求めて対中ビジネスを加速している。「グローバル化が進(jìn)む中で収益が期待できるところに進(jìn)出せざるを得ない。中國の富裕層や中間層は既に3億人以上に達(dá)し、20年には6億人に達(dá)する。隣接する世界第2の経済大國は市場として魅力的だ」とあるメーカー首脳は語る。日中の政治分野は首脳會(huì)談も開かれず冷え込んだままだが、経済分野は熱気を帯びている。日本政府関係者は「日中は経済や文化、観光面での交流は順調(diào)。日本の立場はかなり理解してもらえている」と語る。中國側(cè)も日本との経済などの交流は進(jìn)展させたい意向で、「新たな政冷経熱時(shí)代」が到來したと言えよう。(Record China主筆?八牧浩行)
■筆者プロフィール:八牧浩行
1971年時(shí)事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務(wù)取締役編集局長等を歴任。この間、財(cái)界、大蔵省、日銀キャップを務(wù)めたほか、歐州、米國、アフリカ、中東、アジア諸國を取材。英國?サッチャー首相、中國?李鵬首相をはじめ多くの首脳と會(huì)見。東京都日中友好協(xié)會(huì)特任顧問。時(shí)事総合研究所客員研究員。著?共著に「中國危機(jī)ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外國為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。
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八牧浩行
2014/1/4
2014/1/1
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