安倍首相の靖國參拝に対するベトナム人の反応=「ファシスト日本」と歴史的バランス感覚

Record China    2014年1月19日(日) 8時35分

拡大

歴史的立場は中韓にも近いはずのベトナム、今回の安倍首相靖國神社參拝をどう受け止めているのでしょうか?

(1 / 2 枚)

12月26日、日本の安倍首相が靖國神社を參拝し、それに中國、韓國、さらに今回はアメリカ大使館も「失望」との言葉を使ってその行為への遺憾の意を表したことが話題となっています。

その他の寫真

実はと言いますか、ベトナムだって第2次世界大戦においては日本に占領(lǐng)された歴史のある國、ベトナムの獨立は実は「日本から」の獨立だったという経緯もあり、ベトナムの歴史教科書ではその時代の日本を「ファシスト日本」として厳しく書いています。歴史的立場は中韓にも近いはずのベトナム、今回の安倍首相靖國神社參拝をどう受け止めているのでしょうか?

■國際的パワーゲーム…メディアの報道

まずはメディア。一言でいえば「客観?冷靜」です。26日11時半過ぎ(日本時間)の首相參拝が報じられるとすぐに、主に海外通信社記事の転電という形式で報じました。その後も続々と報道は続きますが、基本的に「日本はこう言っている、中韓は不満がありこう言っている、アメリカ大使館はこう言った。背景には日中関係が最近悪く…」という事実を伝えるだけの冷靜なもの。

特に怒りや不満を感じさせるというよりは、本當に第三者的な記事に終始しています。27日の新聞では前日にカンボジアのフン?セン首相が訪越したこともあってあまり大きな扱いではありません。わが愛読紙TuoiTreも紙面を割いています。靖國は國際面の半分程度と言ったところでしょうか。

ただし南シナ海の領(lǐng)土問題も抱えているベトナムでは、中國の影響力拡大を好まない風(fēng)潮が強く、メディアも「出過ぎた中國はけしからん!」的な記事が大好きです。靖國神社參拝の問題も日本の問題行動という報道ではなく、「東アジアでの覇権を巡る戦場の一つ」という國際的パワーゲームという視點から描いているようです。

ちなみに27日付TuoiTreですが、國際面を一枚めくると「中國國境地域のベトナム労働者が中國に出稼ぎに行って、とんでもない目にあってる」といった現(xiàn)象の大きな特集でした。これはこれで興味深いですね。

■様子見…政府の反応

そして政府。うーん、「様子見」でしょうか。ほとんど反応はありません。ベトナム外務(wù)省のウェブサイトに行って「何か聲明とか出してるかな」と見てみると、靖國については何もなし。3日前に終わっている天皇誕生日への祝賀メッセージを今頃出していて、二重の脫力感を體験したところです。

「中國を恐れるベトナムは日本との接近を望んでいる」というよく言われる見立ては間違いではありませんが、「ベトナムは中國嫌い、親日」という単純な見方でベトナム外交を見るのは正しくないと思います。ベトナムは常に「現(xiàn)実的全方位外交」ですので、靖國問題には無反応を決め込んだ…というのがもっとも現(xiàn)実的な解釈かと。

■靖國なにそれ…ベトナム人の反応

最後に、そして最も重要なベトナムの一般市民の反応ですが…、基本は「特になし」(笑)。そもそも靖國神社を巡る議論自體を知っている人は極少數(shù)です。知っている人にとっても大多數(shù)は「ああ、中國ともめているあれね」くらいの認識でしかありません。関心のある人は、先ほどのメディアのところで書いたような東アジアの「三國大戦」の中のワンシーンとして見ることが多く、あまり中韓のような當事者感覚は感じられません。

日本との間で歴史問題でもめることがない理由は、第2次大戦後にもフランス、アメリカ、そして中國、さらにはカンボジアと數(shù)々の辛い歴史を経験し、さらには中國とは領(lǐng)土問題など現(xiàn)実的な危機を有しているからと言われます。

ベトナム人の歴史観については以前にも書きましたが、柔らかい対応を重んじて過去にこだわらない傾向はあります。ただ、それは日本側(cè)が過去に対して無知でいいという免罪符ではないですし、まだ「ファシスト日本」をリアルに體験した人、地域もあります。外交的に言っても、無條件に日本についてくるほどナイーブでもないでしょう。

靖國參拝を巡る無反応は単に興味関心がないというだけではなく、戦爭の歴史を渡り歩いてきたDNAがもたらすバランス感覚なのかもしれません。

◆筆者プロフィール:いまじゅん

ハノイ在住のベトナムウォッチャー。ブログ「ハノイで考えたこと」作者。中國在住も長かったため、ベトナムから見た中國、中國とベトナム比較といった視點にも注目。個人的には湘南ベルマーレの熱烈サポーターということから、サブトピックとしてはアジア?ベトナムサッカーにも関心大。

この記事のコメントを見る

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China?記事へのご意見?お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業(yè)務(wù)提攜

Record Chinaへの業(yè)務(wù)提攜に関するお問い合わせはこちら

業(yè)務(wù)提攜