2013年1月24日、中國(guó)事情に詳しい関志雄?野村資本市場(chǎng)研究所シニアフェローは「中國(guó)経済の現(xiàn)狀と課題」をテーマに日本記者クラブで記者會(huì)見(jiàn)。中國(guó)経済は「體制移行の罠」に陥る恐れがあり、潛在成長(zhǎng)率下落や住宅バブルの懸念が強(qiáng)い、との見(jiàn)解を明らかにした。発言要旨は次の通り。

【その他の寫(xiě)真】

中國(guó)において、「ルイスの転換點(diǎn)」（安価な余剰労働力が枯渇して、賃金上昇が引き起こされること）の到來(lái)を受けて、労働力が過(guò)剰から不足に転換した結(jié)果、潛在成長(zhǎng)率が大幅に低下している。景気過(guò)熱の現(xiàn)狀から判斷して、中國(guó)の潛在成長(zhǎng)率は、既に現(xiàn)在の実績(jī)値の名目GDP経済成長(zhǎng)率7．7％（2013年速報(bào)）を大きく下回る7％程度に急落しているとみられる。したがって7．7％の成長(zhǎng)率はむしろ好景気を意味する。失業(yè)よりも景気過(guò)熱が懸念され、政府のマクロ政策のスタンスも慎重にならざるを得ない。

今後の中國(guó)経済の発展は、産業(yè)構(gòu)造も含めた経済構(gòu)造の転換が実現(xiàn)できるかどうかにかかっている。構(gòu)造転換が実現(xiàn)できずに従來(lái)型の成長(zhǎng)パターンを続けるならば経済成長(zhǎng)は失速する可能性が高くなる。

住宅価格はバブルの様相。標(biāo)準(zhǔn)住宅（70平方メートル）の販売価格は、家計(jì)の平均所得比で、北京が22倍、上海が16倍に達(dá)し、マイホームの夢(mèng)が遠(yuǎn)のいてしまう庶民の間で不満が高まっている。住宅バブルがさらに膨張すれば、それが崩壊するときに、銀行部門やマクロ経済が大きな打撃を受けることも懸念されている。2010年以降、中國(guó)政府は（1）融資規(guī)制、購(gòu)入制限、不動(dòng)産関連稅制の強(qiáng)化など関連需要抑制策、（2）低所得者向け住宅の建設(shè)など供給拡大策―などの対策を講じている。これらが奏功するかがカギとなる。

市場(chǎng)競(jìng)爭(zhēng)が激しさを増す中で、銀行は気勢(shì)を回避するために従來(lái)の貸し出しに代わる融資の手法として、シャドーバンキング（影の銀行）を活用。その規(guī)模は2013年3月末に、約17兆元（約272兆円）と推計(jì)される。ただ、（1）従來(lái)の銀行の貸出と比べまだ小さい、（2）銀行の財(cái)務(wù)狀況が良好で、シャドーバンキング関連業(yè)務(wù)から損失が発生しても自己資本や貸倒引當(dāng)金で対応可能、（3）大半の銀行は國(guó)有であり、萬(wàn)が一の場(chǎng)合でも政府に支援してもらえる、（4）資本移動(dòng)が制限されており、人民元は投機(jī)の対象になりにくい――などの理由から、米國(guó)で起きたサブプライム?ローン問(wèn)題と異なり、システミックリスク（金融システム全體を麻痺させるような危機(jī)）につながる懸念は少ない。

中國(guó)経済は、賃金上昇に伴う輸出競(jìng)爭(zhēng)力低下や経済構(gòu)造転換の遅れなどにより先進(jìn)國(guó)になる前に失速する「中所得の罠」と、政府の役割転換や國(guó)有企業(yè)改革の遅れなどによる「體制移行の罠」の2つの難題に直面している。2012年に1人當(dāng)たりの年間所得は約6000ドル（約63萬(wàn)円）に達(dá)し、急拡大しており、數(shù)年で1萬(wàn)ドル（約104萬(wàn)円）を超えると予想される。イノベーションを通じた生産性の上昇もあり、「中心國(guó)の罠」はクリアできそうだ。

土地などの重要な資源のコントロールと基幹産業(yè)の國(guó)有企業(yè)による獨(dú)占が続き、政府の介入色が強(qiáng)い。國(guó)有企業(yè)の民営化をはじめとする市場(chǎng)経済拡大が急務(wù)だが、ソ連東歐の體制崩壊の前例の教訓(xùn)から中國(guó)政府は急進(jìn)的な改革に慎重で、漸進(jìn)的なものにとどまっている。また、経済関係の法律が十分整備されていない上に、信用と取引秩序の基盤が不備で、このままでは「體制移行の罠」に陥る恐れがある。

昨年秋の三中全會(huì)で、財(cái)政稅制改革や都市?農(nóng)村政策、自由貿(mào)易試験區(qū)の拡大、社會(huì)保障拡充、一人っ子政策見(jiàn)直しなどが打ち出された。これらは西側(cè)の経済社會(huì)制度である「ワシントンコンセンサス」を思わせる改革案であり、実行されるかが注目點(diǎn)である。（取材?編集/HY）