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1月20日、國家統(tǒng)計局の馬建堂(マー?ジエンタン)局長が2013年の経済成長率を中心に記者會見を行いました。毎年お決まりとなっているのが、統(tǒng)計の信頼性に関する質(zhì)問。また格差をはかる指標(biāo)であるジニ係數(shù)の正確性についても質(zhì)問が出ました。
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1月20日、國家統(tǒng)計局の馬建堂(マー?ジエンタン)局長が2013年の経済成長率を中心に記者會見を行いました。
【その他の寫真】
毎年お決まりとなっているのが、統(tǒng)計の信頼性に関する質(zhì)問。また格差をはかる指標(biāo)であるジニ係數(shù)の正確性についても質(zhì)問がでました。この問題を題材に中國経済の數(shù)字と、そのつきあい方を考えてみたいと思います。
1.ジニ係數(shù)は信頼できる?
鳳凰TV(フェニックステレビ)のレポーターが昨年から発表するようになったジニ係數(shù)について一部専門家の推計(注)よりも過小評価されていないか、とツッコみました。
馬建堂は答えます。
「(國內(nèi)の)一部の専門家や世界銀行による推計と大きくは離れていない、ジニ係數(shù)は統(tǒng)計データというよりも統(tǒng)計データから推計される數(shù)値である、その數(shù)値は基礎(chǔ)データに依存する。全體として統(tǒng)計局が推計した0.473は中國の実情に適合している」(要旨)と。
そして、ジニ係數(shù)を計算するためのサンプル調(diào)査も詳しく解説します。曰く、重要なのはサンプル數(shù)とサンプル分布と代表性、そしてサンプル自體の信頼性。統(tǒng)計局では、40萬戸のサンプル(16萬は國家レベルのサンプル、24萬戸が地方サンプル)を取っていること、第6次人口センサスから科學(xué)的に抽出していること、各サンプルに日ごと月ごとに記帳してもらっていること、を強(qiáng)調(diào)しています。
続けて馬局長は
「いずれにせよ、0.473というジニ係數(shù)は低くはないし、國際的には所得再分配に改善の余地が多いのは事実である。私たちは所得再分配への改革に力をいれるべきだ」
としています。
2.中國統(tǒng)計の読み方
この馬建堂の記者會見のやりとりから以下の二つの事実を指摘しておきたいと思います。
まず1點目。國家統(tǒng)計局のアクセスできる一次データは大量であり、そのため他の國內(nèi)外の研究機(jī)関よりも有利な立場にあるという點です。
ジニ係數(shù)の解説でも觸れられているように、國家統(tǒng)計局は40萬戸のサンプルを持っています。西南財経大學(xué)が自分たちの調(diào)査データから推計してジニ係數(shù)が公式數(shù)値よりも大きいことを示して話題をさらいましたが、サンプル數(shù)という點では國家統(tǒng)計局にはかないません。その他の數(shù)値についても、圧倒的に大量なデータを背景にもっています。
2點目。數(shù)値が正確ということよりも、その數(shù)値をどう解釈するかが重要です。たしかに中國のジニ係數(shù)が信じられないという人もいるかもしれません。でも信じられなくても、國際的に警戒レベル、0.4より高いのはほぼ間違いないでしょう。となると、數(shù)値が0.49であろうが、0.45であろうが大きな意味はなく、馬建堂が指摘するように所得再分配をやらないといけないという結(jié)論について多くの人が一致するところではないでしょうか。數(shù)値の小數(shù)點以下すべて正確であるというよりも、一般性をもつ解釈を?qū)Г訾工长趣匾胜瑜Δ怂激い蓼埂?/p>
3.中國統(tǒng)計をどう利用すべきか?
中國統(tǒng)計に対する信頼性はいろいろ議論されるところです。毎年、統(tǒng)計年鑑を見てみると、各地域のGDPの合計は全國よりも10%程度大きくなります。毎度のことですが、中國のGDP(全國と各地方)が発表されるたびに、地方政府の水増し!とか信頼性が問題!と記事がでます。(このネタは毎年の恒例行事になっているので、正直GDP以外のネタで統(tǒng)計の信頼性と地方政府の水増しの事例を報道してもらいたいぐらいです。)
古いところではロウスキーのエネルギーとGDP統(tǒng)計の議論(Rawski2001)から最近では地域のGDPで星野さんの議論(Hoshino2011)などがあり、學(xué)問分野でも中國統(tǒng)計の信頼性は議論されているのは事実なので、信頼性をある程度加味しながら中國統(tǒng)計は見ていかないといけないと思います。
中國のミクロ、マクロ統(tǒng)計を組み合わせて作成される中國の産業(yè)連関表と20年つきあって得た、中國統(tǒng)計の付き合い方について私見を3つほど紹介します。
まず、正確性を割り引く、ということ。中國の2013年GDPが56兆9000億元と発表されました。さまざまな數(shù)値を推計し、積み上げてGDP統(tǒng)計ができますが、その推計過程においては56兆8000億元になる可能性も57兆元になる可能性もあります。この積み上げ過程で政治的な思惑が働く可能性があるのかもしれませんし、ないかもしれません。このあたりは統(tǒng)計の外部利用者にはわからないところです。
100%正しいとするのではなく、95%の確率で確からしいと考えて利用しましょうということです。例えば、1000回GDPの推計作業(yè)が行われるとして、950回以上はほぼ56兆9000億元前後になる(平均値)とします。まれに間違いが発生する、あるいは政治的な介入があるがその確率は非常に小さい(5%以下)と考えるわけです。このように正確性を5%割り引いて考えてみようと。100%正しいというのではなく95%ぐらいの正確性を感覚として持つことだと思います。
なぜ5%かって?とくに根拠はありませんが、統(tǒng)計局が公式に世界に発信するわけですから、本當(dāng)は99%以上の確信は持っているかもしれません。でも、利用者側(cè)としてもう少し割り引いて考える、つまり社會統(tǒng)計的に一般にこれだけあれば有意だろうとみられる5%水準(zhǔn)を採用しているというふうに考えています。
次は、比率を利用する、ということです。統(tǒng)計數(shù)値そのままだと不安だという場合、相対化すると見えてくるものがありますし、変化をとらえることが可能になります。
昨年より増えたか減ったか、その比率をみてみると今まで上昇傾向にあったのが減少に転じたりします。ずっと上昇しているというのならとくに問題はありませんが、傾向(トレンド)に変化が出た場合、背景として何かそれを説明できる出來事や裏付けがあるかどうか、なければ統(tǒng)計數(shù)値に疑いがでるということになります。
リーマンショックという明らかな事件があれば、貿(mào)易の伸び率が減少あるいはマイナスになるのは自然なことと解釈できますが、何もないのにトレンドが変わるというのは數(shù)値に注意ということです。
時間軸(過去と現(xiàn)在)、空間軸(沿海と內(nèi)陸)、相対の軸(都市と農(nóng)村)を用いた比率を利用することによって、數(shù)値の「傾向(トレンド)」に気をつければ、データの絶対値に左右されない使い方が可能です。
最後に、もっとプラクティカルなことをいえば、信頼性のあるようにいじる、ということがあげられます。信頼性が高い數(shù)値をコントロールトータル、つまりこの數(shù)値を基本として他數(shù)値を調(diào)整するということです。
一般に、有名なところでは貿(mào)易統(tǒng)計、政府財政(関稅など)のような報告統(tǒng)計は全數(shù)調(diào)査なので信頼されますし、中國の場合地方統(tǒng)計局よりも國家統(tǒng)計局の方が物?財?人の面で統(tǒng)計作業(yè)に有利なので、國家統(tǒng)計局が発表するものをコントロールトータルにします。
例えば、GDPであれば國家の數(shù)値をコントロールトータルとして、各地域のGDPを參考情報にして、各地域のシェアで按分して利用するという方法です。信頼できる(と思われる)數(shù)値に基準(zhǔn)をおいて、ちょっと計算しなおして利用する、こういう方法もあります。
私たちはただ単に中國統(tǒng)計の信頼性について盲目的に批判、あるいは不安を持っていたりします。でも現(xiàn)場の統(tǒng)計局の人たちは優(yōu)秀です。海外との統(tǒng)計機(jī)関(日本では経済産業(yè)省や內(nèi)閣府統(tǒng)計局など)での研修や相互交流を通じて、統(tǒng)計手法を改善してきました。國際的にも國連が推奨するSNA基準(zhǔn)に従ってすでに20年以上になり、ノウハウも蓄積してきています。
GDPとかジニ係數(shù)とか政治的に利用されやすい數(shù)値は発表前にトップによる「意向」が働く可能性は無視できないとは思いますが、批判するだけでなく、また無批判に利用するだけでもなく、適度な距離をおいて、中國の統(tǒng)計とつきあっていく必要があるといえます。
<參考文獻(xiàn)>
Hoshino,M.(2011)‘Measurement of GDP per capita and Regional Disparity in China 1979-2009’,RIEB Discussion Paper Series,DP2011-17,Kobe University
Rawski,T.G.(2001)‘What is happening to China’s GDP statistics?’China Economic Review, 12(4) pp.347-354
◆筆者プロフィール:岡本信広(おかもと?のぶひろ)
大東文化大學(xué)國際関係學(xué)部教授。1967年徳島県生まれ。著書に『中國?奇跡的発展の「原則」』アジア経済研究所、『中國の地域経済?空間構(gòu)造と相互依存』日本評論社がある。
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