八牧浩行 2014年2月19日(水) 7時30分
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米國と中國による「新しい大國関係」推進(jìn)へオバマ政権が軸足を置き始めたとの見方が拡がっている。3月の米中首脳會談で新たな方向が協(xié)議される見通しで、世界中の耳目が注がれている。寫真は米議事堂、バイデン米副大統(tǒng)領(lǐng)と習(xí)近平中國國家主席(13年12月4日)。
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米國と中國による「新しい大國関係」推進(jìn)へ、オバマ政権が軸足を置き始めたとの見方が拡がっている。3月下旬の米中首脳會談で新たな方向が協(xié)議される見通しで、世界中の耳目が注がれている。
【その他の寫真】
バイデン副大統(tǒng)領(lǐng)と習(xí)近平中國國家主席は昨年12月4日の會談で、米中両國の「新しい大國関係」について協(xié)議。バイデン氏は「米中関係は21世紀(jì)で最も重要な2國間関係であり、この2國は信頼と積極的な意志に基づいて行動しなければならない」と言明。これに対し習(xí)主席は、「世界平和と安定、人類の発展と進(jìn)歩に向け、米中対話と協(xié)力が両國の唯一の選択であり、互いに衝突せず、対抗しない『ウィンウィン関係』を構(gòu)築したい」と応じた。
これに先立つ昨年11月20日に、スーザン?ライス大統(tǒng)領(lǐng)補(bǔ)佐官(國家安全保障擔(dān)當(dāng))が「アジアにおける米國の將來」と題して講演し、「中國に関しては、われわれは新型大國関係を機(jī)能させるよう目指す」と明言した。これはオバマ大統(tǒng)領(lǐng)が指示して発言させたとされ、日本政府関係者は少なからぬ衝撃を受けた。
◆「アジア重視」は「中國重視」
新型大國論は習(xí)近平?中國國家主席が昨年6月の米中首脳會談で唱えた、米中のG2による太平洋分割論である。その內(nèi)容は米中両國が衝突を避け、雙方の核心的利益を尊重し、ウインウインの関係を構(gòu)築しようというもの。アジア太平洋地域を米中の2大國で共同管理しようという構(gòu)想で、ライス氏は訪米した岸田文男外相に対しても「米中間の一定の協(xié)力」推進(jìn)に理解を要請している。
日本では米國の「アジア重視」表明や米軍の「太平洋回帰」を「対中包囲網(wǎng)の一環(huán)」と捉える向きが多いが、米政府は「対中封じ込めは行わない」と明言。米國にとって最大の課題は米政府債務(wù)16.6兆ドル(約1600兆円)、経常赤字4865億ドル=12年(約49兆円)の縮減であり、破綻を避けるためには、軍事費(fèi)の削減と、世界最大の中國消費(fèi)市場の取り込みが不可欠。これに加えて、中國は米國債を1兆3200億ドル(約140兆円)も保有、外貨準(zhǔn)備も3兆8000億ドル(約390兆円)と世界最大である。米國の「アジア重視」は「中國重視」と置き換えても過言ではないほどだ。
さらに、日本にとって見過ごせない情報も浮上している。支持率の低迷に悩むオバマ大統(tǒng)領(lǐng)は11月4日の中間選挙を控えて、何とか點(diǎn)數(shù)を稼ぎたいのが本音。米國民の多くは中國を「東洋一の大國」「5000年の歴史國家」として畏敬しており、その中國との関係強(qiáng)化は大統(tǒng)領(lǐng)の人気回復(fù)につながる。1972年2月のニクソン大統(tǒng)領(lǐng)の電撃的訪中はその典型。キッシンジャー補(bǔ)佐官の隠密外交により日本は米中頭越し首脳會談を出し抜かれた苦い経験がある。
3月24日からオランダで開かれる核安全保障サミットで、オバマ大統(tǒng)領(lǐng)と習(xí)近平主席が會談する予定で、この場で、昨年6月の米中首脳會談で習(xí)主席が提案した新型大國論についてオバマ大統(tǒng)領(lǐng)が回答する番でもある。4月に予定されている、オバマ大統(tǒng)領(lǐng)の日韓などアジア歴訪を前に、建設(shè)的な互恵関係が打ち出される見通しだ。
米テキサスA&M大學(xué)のクリストファー?レイン教授が最近発表した「パックス?アメリカーナの終焉後に來るべき世界像」と題した論文は米國內(nèi)に臺頭しつつある考え方として注目に値する。同論文は、衰退しつつある覇権國家?米國は今後、第一次大戦が勃発した1914年以前の覇権國家?英國と似たような立場に置かれることになると指摘?,F(xiàn)在中國から挑戦を受けている米國は、戦爭を選んだ英國の誤りを繰り返すべきでなく、中國と戦爭しないために、中國を東アジアの地域覇権國として認(rèn)めるよう提言している。具體的に(1)アジアに展開する米軍を段階的に撤兵する、(2)朝鮮半島、臺灣、尖閣諸島で紛爭が起きても軍事的に関與しない―というものだ。
◆厭戦気分で段階的撤退論に支持
「オフショア?バランシング」戦略と名付けられたこの戦略は、米國に安全保障を依存する日本にとっては見過ごせない內(nèi)容。ところがイラク、アフガン戦爭で疲弊し厭戦気分が漂い、膨大な財政赤字と貿(mào)易赤字にあえでいる米國で支持を得つつあるという。
米國は、中國をアジア太平洋地域の安全保障にも積極的に関與させようという作戦に転じ、中國もこれを受け入れている。今年2月にタイで行われた東南アジア最大級の多國間合同軍事演習(xí)「コブラゴールド」に中國軍が初めて參加し、世界の軍事関係者の耳目を集めた。
さらに、今夏に米ハワイ周辺海域で行われる「環(huán)太平洋合同演習(xí)(リムパック)」に初めて中國人民解放軍が參加する。米國、日本、オーストラリアや韓國など10カ國以上が參加し、人員約2萬人と艦艇約30隻、航空機(jī)も100機(jī)以上が終結(jié)する大規(guī)模演習(xí)だ。北大西洋條約機(jī)構(gòu)(NATO)のラスムセン事務(wù)総長も、「中國を脅威とは見なさず、中國と組織的、恒常的な対話の枠組みをつくることが重要。対話の枠組みづくりを探りたい」と明言している。
韓國の樸槿恵大統(tǒng)領(lǐng)が、中國に急接近し、臺灣の馬英九政権も中國との閣僚級対話に踏み切った。これらは中國の覇権的秩序に參入する胎動とも言え、今後の展開から目を離せない。米國は経済再興と軍事費(fèi)削減の2大命題克服へ背水の陣。米中首脳會談は今年中に3月の會談も含め4回開催される見込みで、大きな「地殻変動」が起こりそうだ。(Record China主筆?八牧浩行)
■筆者プロフィール:八牧浩行
1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務(wù)取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務(wù)めたほか、歐州、米國、アフリカ、中東、アジア諸國を取材。英國?サッチャー首相、中國?李鵬首相をはじめ多くの首脳と會見。東京都日中友好協(xié)會特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著?共著に「中國危機(jī)ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外國為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。
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