臺北市長選挙がもうヒートアップ、臺灣を揺るがす“政治素人”「柯文哲現(xiàn)象」とはなにか

Record China    2014年2月23日(日) 22時6分

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臺灣の臺北市長選挙がヒートアップしている。焦點となっているのは、臺灣大學(xué)病院の外科醫(yī)、柯文哲だ。世論調(diào)査によると野黨候補としての人気はダントツのトップ。

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臺灣の臺北市長選挙がヒートアップしている。焦點となっているのは、臺灣大學(xué)病院の外科醫(yī)、柯文哲(カー?ウェンジャー)だ。世論調(diào)査によると、野黨候補としての人気はダントツのトップ。実は臺北市長選挙が行われるのは今年の12月頃でまだまだ先の話なのだが、ずぶの素人が政治の世界に亂入したことで一つの社會現(xiàn)象にまでなっている。

その他の寫真

こうした「柯文哲現(xiàn)象」については、すでに朝日新聞1月17日朝刊の記事「臺灣政界、素人の亂 臺北市長選、54歳醫(yī)師が有力」で報じられている。

臺北市市長といえば陳水扁、馬英九と現(xiàn)職、前職の総統(tǒng)を生み出した政治の要衝。醫(yī)師出身の政治素人が臺灣政界の臺風(fēng)の目となるのだろうか?

■既存の政治社會システムに対する不信感の代弁者

柯文哲は1959年生まれ。祖父は日本統(tǒng)治時代に中學(xué)校の教師をしていたが、二二八事件で拷問され、釈放はされたものの1950年に亡くなった??挛恼埭欷肭挨韦长趣扦ⅳ搿1摔胃赣Hは二二八事件受難遺族としての暗い記憶を抱えているため、息子が政治の世界へ入ることには反対しているという。

臺灣では戦後しばらく國民黨による一黨獨裁が続いたが、そうした権威主義體制がもたらした二二八事件や白色テロといった恐怖政治に対する批判として民主化運動が胎動、政治體制の中樞は外省人によって獨占されていたことへの反発から臺灣獨立の主張もここに重なった。1986年には民進黨が結(jié)成され、中臺統(tǒng)一派の泛藍陣営(國民黨や、國民黨から分裂した新黨、親民黨など)、臺灣獨立派の泛緑陣営(民進黨や李登輝を支持する臺灣団結(jié)連盟など)という二大勢力が対立する政治構(gòu)造が形作られてくる。

柯文哲は二二八事件受難遺族に生まれたという出身背景から分かるように、政治意識としては明確に泛緑陣営に立っている。入獄した陳水扁の支持者でもあるし、昨年12月に東京で講演した折には李登輝へのシンパシーを語っている。なお、この東京講演の時點ではまだ立候補の正式表明はしていないのだが、日本の選挙でよく見かける片目が空白のダルマを贈られている。

他方で、泛藍陣営と泛緑陣営の対立構(gòu)造がすでにマンネリ化して、政治的爭點を効果的に汲み上げられなくなっていることに対して國民の不満も根強い??挛恼埭蠂顸hだけでなく民進黨も含め、既存政治すべてに対して歯に衣著せぬ発言をしているため、そこが一般の人々からは受けているらしい。

2011年に臺灣大學(xué)病院でエイズ感染者の臓器を誤って移植してしまう事件が起こったとき、柯文哲も監(jiān)督責(zé)任を問われた。ところが、行政も含めたシステム全體の問題を一方的に押し付けられたことに対し彼は臆せず発言したため注目を浴びたという。いずれにせよ、既存の政治社會システムに対する不信感を彼が代弁しているとみなされているのだろう。

■最大野黨?民進黨も支援に

こうした動向を民進黨もかなり意識している?,F(xiàn)在の黨主席?蘇貞昌(スー?ジェンチャン)は獨自候補擁立にこだわっていたが、かつて総統(tǒng)選挙に立候補した経験のある有力者、蔡英文(ツァイ?インウェン)や謝長廷(シエ?チャンティン)が柯文哲を支持する意向を表明し、蘇貞昌も「柯文哲現(xiàn)象」を無視できなくなっている。民進黨は必ずしも一枚巖の政黨ではなく、有力政治家同士の足の引っ張り合いも頻繁に見られるから、そうした黨內(nèi)パワー?バランスの影響があるのかもしれない。いずれにせよ、柯文哲に対して民進黨への入黨を條件に正式な候補者とするという話も出たが、無所屬のまま民進黨は支援するという方向で落ち著きそうだ。

臺北市長は任期4年、再選は1度までしか認められていないため、現(xiàn)職の●龍斌(ハオ?ロンビン、●=赤におおざと)は出馬できない。國民黨から出る対立候補としては連勝文(リエン?ションウェン)の名前が取り沙汰されている。連戦(リエン?ジャン)元副総統(tǒng)の息子というサラブレッドである。そう言えば、●龍斌も●柏村?元行政院長の息子という世襲政治家だ。「政治素人」柯文哲の存在がいっそう引き立つ。なお、2010年に連勝文が銃撃されて負傷するという事件が起こったが、その時に救急外科醫(yī)として対応したのが柯文哲だったという因縁もある。

■柯文哲の勝算は?

柯文哲に勝ち目はあるのだろうか?臺北市長選挙の動向について考えてみるが、過去のデータや分析については小笠原欣幸(東京外國語大學(xué)、臺灣政治)「2010年臺北?新北市長選挙の考察―臺灣北部二大都市の選挙政治」を參照させていただく。

臺灣の選挙では北部は國民黨が強く、南部は民進黨が強いという色分けがくっきりと出る。臺北市に関しても、(1)外省人及びその第二世代、第三世代の比率が高い。(2)公務(wù)員?軍?教育関係者の比率が高い。(3)1人當(dāng)たりの平均所得が高い、という特徴がある。こうしたことから、國民黨は臺北市で固い基礎(chǔ)票を持っており、民進黨はもともと劣勢だと指摘される。

1994年に陳水扁が當(dāng)選できたのは、當(dāng)時の李登輝総統(tǒng)に反発して國民黨を離黨した人々が結(jié)成した「新黨」が獨自候補者を擁立し、泛藍陣営が分裂していたからである。この時以外は國民黨の候補(馬英九、●龍斌)が50%以上の得票で當(dāng)選しており、陳水扁は二期目を阻まれ、民進黨から出馬した謝長廷(2006年)や蘇貞昌(2010年)といった有力政治家も敗れている。

上記の小笠原論文では藍緑両陣営の基礎(chǔ)票を捉える指標(biāo)として臺北市議員選挙の得票率について考察されている。1994年から2010年にかけての両陣営の得票率の推移を見ると、泛藍陣営は低下傾向(60.8→54.8%)にある一方、泛緑陣営は増加傾向(30.1→39.0%)にある。トレンドとして見ると、基礎(chǔ)票のレベルで両者の差は徐々に縮まりつつあるようだ。

となれば、こうした基礎(chǔ)票を固めつつ、浮動票を取り込む戦術(shù)を効果的に実施することができれば、民進黨系の候補者にも可能性がないわけでもない。その點、柯文哲の場合には「素人」という世論受けする持ち味が武器になる。

いずれにせよ、臺北市長選挙はまだまだ先のことで、情勢も色々と変化するだろう??挛恼埭蝿贁·悉趣猡趣筏?、彼の得票率には藍緑両陣営に飽き足らぬ無黨派層の投票行動が反映されることになるように思われる。そこから、臺灣における政治社會の一定の変化を垣間見ることができるのかもしれない。

◆著者プロフィール:黒羽夏彥(くろは?なつひこ)

臺灣専門ブログ「ふぉるもさん?ぷろむなあど」、書評ブログ「ものろぎや?そりてえる」を運営。1974年生まれ。出版社勤務(wù)を経て、2014年3月より臺南の國立成功大學(xué)文學(xué)院華語中心へ留學(xué)予定。

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