日本と中國は、ともに電信3大キャリアの時代が続いた。それが両國とも、ほぼ時を同じくして第4キャリアが登場してきた。ともに政策的な期待を背負(fù)っているが、その役割には、大きな違いがあるようだ。日中の第4キャリアと5G時代を少しのぞいてみよう。

■日本の第4キャリア?楽天

政策目標(biāo)達(dá)成へ期待のかかる楽天、スタートは遅れたが今のところ好評。

日本では菅內(nèi)閣の誕生以來、攜帯料金の引き下げが內(nèi)政の目玉となっている。攜帯3大キャリアNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの料金が高すぎるから、下げろというのだ。そのため第4キャリアとして參入した楽天による価格破壊に、期待が集まっている。

楽天は先進(jìn)の「完全仮想化」回線設(shè)備を採用するため、3大キャリアよりシンプルな基地局構(gòu)成で済み、建設(shè)、運(yùn)用コストが安いという。理論上、低料金で済むはずだ。実際當(dāng)初予定の半年遅れとなった2020年4月の本格スタートでは、「Rakuten UN-LMIT」を2980円、しかも初年度無料を打ち出した。6月末の調(diào)査では、80％のユーザーが満足と答えている。まずまずの滑り出しといえそうだ。

■中國の第4キャリア?中國広電

第4キャリア中國広電は、特別な使命を帯びていた。

中國も昨年まで3大キャリア體制だった。中國移動、中國電信、中國聯(lián)通の3社を電信「三大運(yùn)営商」と呼んでいた。中國の都市を歩けば、必ず3社の看板に遭遇する。

中國の三大運(yùn)営商は、同一ルーツの國有企業(yè)である。1998年に郵政から通信を分離、さらに翌99年に通信を、移動、電信、聯(lián)通の3社に分割し、それぞれ固定電話、移動電話、インターネット網(wǎng)などの業(yè)務(wù)を受け持たせた。固定電話は、電信と聯(lián)通の2社に割り當(dāng)てたため、中國移動は身が軽い分、有利だった?，F(xiàn)在のモバイル契約數(shù)は、圧倒的なトップである。20年続いたその體制に、昨年、中國広播電視網(wǎng)絡(luò)（中國広電）が加わった。

中國広電は4Gの実質(zhì)初年度である2014年に設(shè)立された。財(cái)政部（財(cái)務(wù)省相當(dāng)）の出資による新しい國有企業(yè)だ。使命は“三網(wǎng)融合”の推進(jìn)にある。三網(wǎng)融合とは、電信網(wǎng)、コンピューターネットワーク、有線テレビ網(wǎng)の3つを、物理的に“合一”することである。より優(yōu)秀な統(tǒng)一通信網(wǎng)を建設(shè)したいようだが、果して何の目的だろうか。

ただし統(tǒng)一は、市場を主體として行われるという。その手始めとして中國政府は昨年6月、中國広電に5G営業(yè)許可を交付した。第4キャリア誕生である。最後発の弱小キャリアの一方、三網(wǎng)融合の“推進(jìn)主體”である。やがて巨大な三大運(yùn)営商を、意のままに動かすのかもしれない。同じ第4キャリアでも、日本の楽天とは、全く別モノであった。

■オールチャイナで推進(jìn)

中國広電、オールチャイナの子會社を設(shè)立し、本格稼働へ

9月下旬、注目の記事が出た。それによると、3大キャリアは、既存の全國ネットを生かし、順調(diào)に5G基地局を建設(shè)中だ。この1年で50萬局を突破している。しかし、第4キャリア中國広電だけは、実際の動きが見えなかった。

ところがここへ來て、動き出した。9月末、子會社の「中國広電網(wǎng)絡(luò)股份有限公司」を設(shè)立し、同社が広電の全國展開プロセスを擔(dān)うことがわかった。広電網(wǎng)絡(luò)の株主構(gòu)成は、広電51％、次の2位株主には、世界一の発送電會社?國家電網(wǎng)と、IT巨頭?アリババが、9．9％で並んでいる。4位以下には、各地方の電信関連會社がズラリと名を連ねている。オールチャイナで第4キャリアを支える體制だ。三網(wǎng)融合の第一歩を踏み出したのだろうか。

また中國移動と、5G設(shè)備の共同建設(shè)、シェアについて協(xié)議中と報(bào)道された。まだ実質(zhì)的進(jìn)展はなく、中國移動の董事長は、具體化するのはは來年だろう、と発言している。突き放したようにも聞こえ、天下の中國移動としては、內(nèi)心面白くないのかも知れない。

■勢いづく中國の5Gだが…

中國の5Gは、勢いがついている。ハードウエアでは他を寄せ付けない。

9月末の「中國互聯(lián)網(wǎng)発展?fàn)顩r報(bào)告」によると、現(xiàn)在毎週1萬5000カ所の5G基地局が建設(shè)されている。年末には60萬を超え、地方都市までカバーできそうだ。応用研究も進(jìn)み“5G＋工業(yè)インターネット”の新プロジェクトは600を超えた。

またCounterpoint Researchの最新レポートでは、7月の世界5G端末のうち79％は中國から出荷されていた。5Gスマホのシェアは、ファーウェイ、シャオミ、OPPO、VIVOの中國4社で80％を超え、2020年の出荷量は1億4000萬臺に達(dá)するという。大した勢いだが、iPhoneの5Gがこれからであることや、米中対立によるファーウェイの苦境など、まだ不確定要素ばかりである。

運(yùn)営面では、4大キャリア體制が、ようやく形を表した。ネットメディアは5G“四國混戦”、で、新しい競爭が始まるとしつつ、広電の未來については、明言を避けている。結(jié)局、いずれも國有企業(yè)で、政府の采配により、どのように展開するかわからないからだろう。広電は予定どおり、三網(wǎng)融合の主體となるのかどうか。

日本は5Gの展開で遅れたが、楽天は9月末、5Gの2980円プランを発表した。3大キャリアは9000～1萬円以上だ。価格破壊者として、期待された役割を果たすつもりのようだ。それぞれ政策課題を擔(dān)う日中の第4キャリアだが、日本は民間の爭い、中國は政府內(nèi)の爭いのようである。

■筆者プロフィール：高野悠介

1956年生まれ、早稲田大學(xué)教育學(xué)部卒。ユニー株（現(xiàn)パンパシフィック）青島事務(wù)所長、上海事務(wù)所長を歴任、中國貿(mào)易の経験は四半世紀(jì)以上?，F(xiàn)在は中國人妻と愛知県駐在。最先端のOMO、共同購入、ライブEコマースなど、中國最新のB2Cビジネスと中國人家族について、ディ－プな情報(bào)を提供。著書：2001年「繊維王國上?！箹|京図書出版會、2004年「新?繊維王國青島」東京図書出版會、2007年「中國の人々の中で」新風(fēng)舎、2014年「中國の一族の中で」Amazon Kindle。