八牧浩行 2014年3月6日(木) 5時58分
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政変で親歐米派の暫定政権ができたウクライナが揺れている。最悪のシナリオとみられていた軍事衝突はいったん回避される見通しとなったが、ロシアは軍事介入の構えを崩していない。資料寫真。
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政変で親歐米派の暫定政権ができたウクライナが揺れている。ウクライナとの國境付近で実施されていたロシアの軍事演習の參加部隊に撤収命令が発せられたこともあり、最悪のシナリオとみられていた軍事衝突はいったん回避される見通しとなったが、ロシアは軍事介入の構えを依然崩していない。
【その他の寫真】
ロシアのプーチン大統(tǒng)領はウクライナ南部クリミア半島への軍事展開を正當化。これに対しオバマ米大統(tǒng)領は「ロシアの行動が國際法に違反している。誰もだまされない」と批判。雙方とも強硬姿勢を崩しておらず、米ロによる「新冷戦」時代に突入したとの見方も出ている。
プーチン大統(tǒng)領は「ロシア市民が生命の危険にさらされている」などとして、ロシア議會の上院にウクライナ領內にロシア軍を展開するための同意を求め、上院はこれを全會一致で承認した。
ロシアの黒海艦隊が駐留し、ロシア系住民も多いクリミア半島ではすでにロシア軍とみられる武裝部隊が展開し、現地を掌握しつつある。ロシアとつながりが深いウクライナの東部地域などでも今後、「ロシア系住民の擁護」を理由にロシア軍が介入する懸念が出ている。
日米歐など主要7カ國(G7)と歐州連合(EU)の首脳はロシアの軍事介入を非難する共同聲明を発表した。ウクライナを巡る國際的緊張がやや和らいだものの、米ロ関係は最悪の狀態(tài)に陥っている。ロシアのソチで開かれるG8準備會合への出席については、參加國の溫度差が浮かび上がっている。
日本の外交は、北方領土返還を念頭に置いた親ロ路線と、安倍晉三首相の靖國神社參拝や河野談話再検証など米國が主導した「戦後レジューム」からの脫卻方針を背景に微妙な狀況にある米國との関係を重視する路線との間で、どちらにも配慮せざるを得ないのが実情。外交の優(yōu)先順位が問われ、いわば「踏み絵」を迫られた格好である。
ウクライナをめぐる米ロ冷戦を背景に、日米間に吹いている微妙な「隙間風」は、日本と尖閣諸島問題を巡って冷え込んだ関係にある中國にとっては好都合ともいえる。米ロ両國とも新興大國?中國の支持を求めているからだ。
ロシア政府によると、プーチン大統(tǒng)領が4日ウクライナ情勢をめぐり、中國の習近平國家主席と電話で協議。両首脳は「緊張が緩和し、クリミア半島やウクライナ東部のロシア系住民に対し安全保障を提供すること」への期待を表明したという。オバマ大統(tǒng)領も3月下旬に予定されている習主席との首脳會談で中國の支持を取り付けるとみられる。中國としても、米中「新型大國関係」の実現に向け米國との融和路線を取らざるを得ないのが実情だ。
新型大國関係は習近平?中國國家主席が昨年6月の米中首脳會談で唱えた、米中のG2による太平洋分割論。米中両國が衝突を避け雙方の核心的利益を尊重、ウインウインの関係を構築し、アジア太平洋地域を米中の2大國で共同管理しようという構想。オバマ大統(tǒng)領側近のライス大統(tǒng)領補佐官(國家安全保障擔當)は「中國に関しては、われわれは新型大國関係を機能させるよう目指す」と明言している。(Record China主筆?八牧浩行)
■筆者プロフィール:八牧浩行
1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、歐州、米國、アフリカ、中東、アジア諸國を取材。英國?サッチャー首相、中國?李鵬首相をはじめ多くの首脳と會見。東京都日中友好協會特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著?共著に「中國危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外國為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。
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