大串 富史 2020年10月31日(土) 13時(shí)30分
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中國(guó)は大連の日本語(yǔ)學(xué)校の中國(guó)人スタッフである20代の若い女性の先生たち?!笜S天ポイントダンス」を見(jiàn)てもらったところ、「まあまあかな。それぞれの國(guó)でそれぞれの生活や文化があるから」とのこと。
いや、僕自身はそんなに驚いてはいない。もっとも、いささか予想外ではあったが。
何が予想外だったかというと、例のTikTokの「楽天ポイントダンス」が、中國(guó)では検索に全く引っかからない。
では、どうして予想外だったのか?!阁@きの1.7億再生。TikTokで『楽天ポイントダンス』が世界的ブームになった理由…10代の心を摑む『全力』コンテンツ | Business Insider Japan」という記事を読んで、それなりに納得したからだ。
つまり上述の記事を読んで、若者というのは世界のどこにいても、「全力」コンテンツが好きなのだろう、と思った。分かりやすい話ではある。
それなら、中國(guó)の若者たちはどうだろう?やっぱり「全力」コンテンツが好きなんだろうか?
先に答えを述べてしまうと、少なくとも「楽天ポイントダンス」については、殘念ながら全然である。
最初に述べたように、オリジナルの「楽天ポイントダンス」そのものが、中國(guó)ではほとんど検索に引っかからない。だから、中國(guó)の若者たちによる「楽天ポイントダンス」など、なおさらあり得ない。
「日本楽天」とか「楽天積點(diǎn)(楽天ポイントの中國(guó)語(yǔ)訳)」までであれば検索で関連サイトがなにがしか引っかかるのだが、「楽天積點(diǎn)dance」や「楽天ポイントダンス」となると、それらしきものが全然引っかからない。
同様に、中國(guó)では例の「お買い物パンダ」(中國(guó)名は「楽天子熊」)そのものが知られていない。
いや、パンダのゆるかわキャラクターそのものは相応に知られているのだが、楽天にとって肝心かなめの「R」の文字がない。あのキャラは中國(guó)では「お買い物パンダ」ではなく、ただの「パンダ」なのである。
しかも「楽天子熊」という中國(guó)語(yǔ)は、もともとはロッテ(中國(guó)語(yǔ)は「楽天」)の「コアラのマーチ」のマーチ君を表していたから、「楽天熊貓(楽天パンダの意味)」ではそれらしきものが全く何も出てこないばかりか、「楽天子熊」で検索すると、お菓子の「コアラのマーチ」しか出てこない。
それでも負(fù)けじと検索を続けると、中國(guó)でもやっとのことでTikTokではなくbilibili(ビリビリ、中國(guó)語(yǔ)「嗶哩嗶哩」)にアップされたオリジナルビデオにたどり著く。そして、驚いた。
驚きの——再生回?cái)?shù)539回、いいね!4、お?dú)荬巳毪?3、シェア14(當(dāng)記事執(zhí)筆時(shí))。
コメントは一つだけで、「パンダのしっぽは白のほうがいいのでは(本物のパンダのしっぽは黒ではなく白なので)?もうちょっと調(diào)べなきゃ」とある。
これはどう見(jiàn)ても、「全力」への共感どころではない。
あまりに胸騒ぎがしたので、僕が所屬する中國(guó)は大連の日本語(yǔ)學(xué)校の中國(guó)人スタッフである20代の若い先生方10人(女性9人、男性1人)に、この「楽天ポイントダンス」を見(jiàn)てもらって感想を聞いてみる。
選択肢:1.面白ーい! 2.まあまあ 3.普通かなー 4.ごめん特に何も… 5.つまんないし意味不明
結(jié)果は——7人が2(2人が1で1人が3)であったのだが、一人が言う。
「動(dòng)畫(huà)は可愛(ài)くてすごいなって思うけど、ポイント広告だから、まあまあかな。(肯定も否定もしないし)それぞれの國(guó)でそれぞれの生活(や文化)があるから、自分に合ってて自分が好きならそれでいいと思う」。
このコメントの細(xì)かいニュアンスを日本人の皆さんに正確に伝えるのは、正直かなり難しい。だが、一つはっきり言えるのは、「楽天ポイントダンス」は、中國(guó)の若い人にしてみれば、刺さるところまでは程遠(yuǎn)い。
ちなみにだが、面白ーい!と答えた2人のスタッフのコメントもまた、興味深い。
「日本の広告って、ストーリーがあるから個(gè)人的に好きなんです。でも(インフルエンサーらによる「楽天ポイントダンス」は)ちょっとデジャヴかも。中國(guó)でも以前あったけど(つまり今はもうない)、ちょっと真似できないかなー、なんて。自分って靜か目なんで」。
「元?dú)菀槐敲姘驻い趣纤激い蓼工堡?、中?guó)には確かにこの手のノリはないかも。見(jiàn)るのは抵抗ないし、(インフルエンサーたちの立ち居振る舞いも)問(wèn)題ないとは思いますが、自分じゃこんな真似はできないです…。ていうか、ちょっと大げさかな、これ。見(jiàn)てすぐに、あー日本の広告ね了解、みたいな」。
おいおいお前!日本語(yǔ)學(xué)校の中國(guó)人スタッフ?10人?とやらのコメント?で、世論操作ができるなんて思うなよ!と言われるだろうか。
僕は逆に、中國(guó)に長(zhǎng)期滯在している日本人の一人として、心にストンとくるコメント-自分自身が中國(guó)で見(jiàn)聞きしている狀況と符合するコメント-を聞き、中國(guó)人と日本人は刺さり方もツボもつかみも、本當(dāng)に何もかもが全く違うのだ、と改めて得心した。
同時(shí)に、上述の記事の若きインフルエンサーたちもまた、刺さったから「楽天ポイントダンス」に飛びついたというより、単なる遊び心と露出度アップのためにそうしているに過(guò)ぎず、彼らのファンであるさらに若い世代の子供たちもまた、インフルエンサーなお兄さんお姉さんがそうしているから乗っかっているだけなのではなかろうか?と思い始めている。
つまり、「分かりやすい話」であやうく「操作」させられそうになったのは、実は僕のほうではないか?と思い直している。
もっと言えば、僕らはもしかすると比較的容易に「それぞれの國(guó)でそれぞれの生活や文化がある」ことを忘れてしまいがちなのだろう。
とはいえ、「驚きの検索結(jié)果ゼロ」には、別の理由もある。
中國(guó)?捜狐の「中國(guó)TikTokインフルエンサーランキングトップは誰(shuí)?そのトップ9強(qiáng)を列挙」という記事や、「中國(guó)で大人気!プラットフォーム別インフルエンサー15選 | まじすけ株式會(huì)社」等を參考に、そのトップ4の中國(guó)TikTokインフルエンサーの顔ぶれを見(jiàn)れば、その理由はおのずと明らかである。
トップ1:迪麗熱巴(Dilraba)-中國(guó)TikTokトップである女神。中國(guó)の女優(yōu)。フォロワー數(shù):5449.1 萬(wàn)人
トップ2:陳赫-中國(guó)の男優(yōu)?歌手?テレビキャスター。フォロワー數(shù):5269.2萬(wàn)人
トップ3:話せる貓の劉二豆-人生の辛酸甘苦を味わう二匹の貓(とその飼い主)の物語(yǔ)。フォロワー數(shù):4638.8萬(wàn)人
トップ4:一禪小和尚-世界で最も萌える子供の和尚?一禪くんの人を唸らせる訓(xùn)話。フォロワー數(shù):4638.8萬(wàn)人
余談だが、人生の辛酸甘苦やら和尚さんの訓(xùn)話やらからお分かりの通り、中國(guó)のTikTokユーザーは10代だけでも若者だけでもなく、日本で言えばLINEやTwitterに相當(dāng)する微信(WeChat)とセットとなって中國(guó)國(guó)民のそれぞれの世代に相応に浸透している。
だから、トップ4に數(shù)えられるその誰(shuí)もが、4500萬(wàn)強(qiáng)から5500萬(wàn)弱という桁外れなフォロワーを抱えている。であるのに、彼らは世界的にも日本的にもほとんど知名度がない。
ちなみに日本のTikToker第1位を誇るじゅんや/Junyaさんのフォロワー數(shù)は1580萬(wàn)人であり、世界のTikToker第1位のCharli D’Amelio(米國(guó))さんのそれは8380萬(wàn)人、第2位のAddison Rae(米國(guó))さんは5860萬(wàn)人フォロワー、第3位のZach Kingさん(米國(guó))は4890萬(wàn)人である。
つまり、もし仮に本當(dāng)に本當(dāng)のワールドワイドな「TikTokインフルエンサーランキングトップ」を選出すれば、中國(guó)勢(shì)が何人も上位に食い込むことになる。
だがそうならないのは、こちらのお國(guó)とそちらのお國(guó)(つまり日米他)との間には、ネット上の「大きくて深い裂け目」があるからに他ならない(もっともその詳細(xì)について、僕はこれ以上書(shū)くつもりはないが)。
では、中國(guó)TikTokで「楽天ポイントダンス」が全く知られていないのは、一體なぜなのか。
それはまず、「それぞれの國(guó)でそれぞれの生活や文化がある」からだ。
加えて、ネット上の「大きくて深い裂け目」もあるから、世界人口の5分の1また日本人口の10倍の人口を抱える中國(guó)の人々のもとに屆く外國(guó)からの情報(bào)には制限があり、逆もまたしかりである。
そして僕も今回、「イマドキの若い人は云々」といった日本人にとっての「分かりやすい話」だけでは、物事を正確には判斷できない、と改めて思った。
上述の記事にしても、結(jié)論として「文脈に刺さりさえすれば、良いコンテンツは時(shí)と場(chǎng)所を超え、さらに今後はますます『広告と広告でないコンテンツ』の境目が曖昧になっていく」と結(jié)んでいるのだが、そもそも日米中では「文脈」そのものが違う。中國(guó)にいて実感せざるを得ないのだが、正直日本とは全然違う。
そして「時(shí)」はともかくとして、「大きくて深い裂け目」を前に「場(chǎng)所を超え」るのは、現(xiàn)実問(wèn)題として並大抵ではない。
それ以前に、「全力」=「10代に刺さる」=「良いコンテンツ」=「広告でもOK」というのは、仮に中國(guó)を抜きにしたとしても、どの程度の普遍性なのか気になってしまう。
そう、中國(guó)TikTokで「楽天ポイントダンス」が全く知られていないのは、ネット上の「大きくて深い裂け目」からすれば、何も驚くべきことではない。
だがそれが僕にとっていささか予想外だったのは、僕が既に半分中國(guó)人のようでありながら、殘り半分がやはり日本人だから、ということにあったようだ。
すなわち、日本人ならではの思い込みである。日本人にとって「分かりやすい話」を、つい鵜呑みにしてしまった。
だからこの際、いや、そこまで言ってないですー!と言われてしまうのを覚悟で、最後に書(shū)いてしまおう。再度斷っておくが、中國(guó)人の彼女らのコメントの細(xì)かいニュアンスではない。少しはしょった意訳を、である。
「だって、広告でしょう?まあ好きにやっていただきたいんですが、正直げんなりですよ」。
■筆者プロフィール:大串 富史
本業(yè)はITなんでも屋なフリーライター。各種メディアでゴーストライターをするかたわら、中國(guó)?北京に8年間、中國(guó)?青島に3年間滯在。中國(guó)人の妻の助けと支えのもと新HSK6級(jí)を取得後は、共にネット留學(xué)を旨とする「長(zhǎng)城中國(guó)語(yǔ)」にて中國(guó)語(yǔ)また日本語(yǔ)を教えつつ日中中日翻訳にもたずさわる。中國(guó)?中國(guó)人?中國(guó)語(yǔ)學(xué)習(xí)?中國(guó)ビジネスの真相を日本に紹介するコラムを執(zhí)筆中。関連サイト「長(zhǎng)城中國(guó)語(yǔ)」はこちら
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