2013年3月8日、全人代開催の一環(huán)として、中國の王毅外相が記者會見を行った。記者からの質(zhì)問に対し、王毅外相は「領(lǐng)土問題と歴史問題に関しては妥協(xié)の余地はまったくない」と斷言した上で、2015年にモスクワで行うことになっている「反ファシズム戦勝70周年記念」に中國が參加することを再度強(qiáng)調(diào)した。

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また、李克強(qiáng)首相が3月5日の政治活動報告で使った「第二次世界大戦後の國際秩序を亂してはならない」という言葉を引用して、日本を牽制。それにしても政府の政治活動報告で中國首相が歴史問題に觸れること自體、非常に稀だ。

では中國の対日強(qiáng)硬路線の狙いはどこにあるのか。

それは「日米分?jǐn)唷工趣いσ稽cで焦點を結(jié)んでいる。

2013年10月9日の本コラム「＜遠(yuǎn)藤譽が斬る＞中國はなぜ日中首脳會談を拒否するのか？―「強(qiáng)気」を支える米重大リポートを暴く」（第3回）で述べたように、領(lǐng)土問題に関しては「アメリカはどちらの側(cè)にも立たない」とオバマ大統(tǒng)領(lǐng)も高らかに宣言している。中國は米側(cè)のこの立場を最大限に利用し、「米中は同じ立場にある」ことを強(qiáng)調(diào)してきた。

そこに昨年12月26日の安倍首相の靖國神社參拝を受けて米側(cè)が「失望」の意を表したものだから、中國はこれを「最大の好カード」と受け止めて、またもや「米中は同じ立場にある」と全世界に向けて宣伝し始めた?！笐獒嶂刃颏騺yす」という懸念において、米中は一致するというメッセージを発し続けたのである。

その手法として世界各國にある中國大使館の特命全権大使と當(dāng)該國との対談を英語で行い、それをインターネットにアップして世界に発信し、國際世論形成に注力した。

韓國に関しては、樸槿恵（パク?クネ）大統(tǒng)領(lǐng)自身の媚中外交により「日韓」および「米韓」関係の絆は薄らいでいる。樸槿恵自身は、親日であった父親の関係から、自分が自國において親日と罵られないようにするため、保身のために必死で反日の姿勢を強(qiáng)調(diào)している。中國にとって、これほどありがたいことはない。中國の方から何もしなくても、「日韓分?jǐn)唷工驑汩葠{の方からやってくれているのだから。これにより「日米」の間に隙間風(fēng)が吹くことを中國は願っている。

臺灣に関しては、2014年2月、1949年の中國建國以來初めての、中臺最高級レベル?yún)f(xié)議が南京市で開かれた。昨年10月6日、インドネシアのバリで、APEC（アジア太平洋経済協(xié)力）首脳會議が開かれた前日、中國の習(xí)近平國家主席は臺灣の蕭萬長前副総統(tǒng)と會談している。そのとき習(xí)近平は溢れんばかりの笑みを振りまいて蕭萬長と握手し、「両岸問題を後の世代に殘したくない」として、あたかも習(xí)近平政権內(nèi)に両岸（中臺）統(tǒng)一を成し遂げるような発言をした。

10月10日には、今度は臺灣の馬英九が「両岸は二つの國といった國際関係ではない」と呼応している。習(xí)近平と馬英九との會談が、今年中には何らかの形で持たれるであろうことが考えられる。

それというのも、2013年4月に「日臺漁業(yè)取り決め」が締結(jié)されたことを受けて、尖閣問題に関して日臺が協(xié)力的な方向で接近するのではないかとの懸念を中國は抱いており、これを阻止するためだ。ここでは「日臺」を分?jǐn)啶丹护?、「米臺」との距離を遠(yuǎn)ざけることにより、結(jié)果的に「日米」の間に楔を入れることを狙いの一つとしている。

一方、北方領(lǐng)土問題を解決するには、今ほど絶好のチャンスはないため、安倍首相はロシアのプーチン大統(tǒng)領(lǐng)と會談を重ねて良好な関係を築いてきたが、習(xí)近平はそれを上回る回數(shù)、プーチンと會談している。習(xí)近平とプーチンの仲は離れそうにない。

そこに湧いてきたウクライナ問題。

プーチンが軍事介入すればオバマが黙っておらず、日米同盟により日本は米國に付くしかない。せっかく築いてきたプーチンとの仲は消えるだけでなく、集団的自衛(wèi)権が成立すればロシアと戦わなければならない事態(tài)となる。

この事態(tài)を敏感に感じ取った北朝鮮は日本に接近し、日朝赤十字會談が3月3日に中國の瀋陽で開催された。

日本を巡るこういった國際環(huán)境の中で、王毅外相が敢えて來年モスクワで開催される「反ファシスト戦勝70周年記念」を強(qiáng)調(diào)したのは、日本が米ロの板挾みになっていることを見透かしているからであろう。

（なお、ここに述べた內(nèi)容の一部は、4月1日に小學(xué)館から出版される『中國人が選んだワースト中國人番付』で詳述した。）

（＜遠(yuǎn)藤譽が斬る＞第22回）

遠(yuǎn)藤譽（えんどう?ほまれ）

筑波大學(xué)名譽教授、東京福祉大學(xué)國際交流センター長。1941年に中國で生まれ、53年、日本帰國。著書に『ネット大國中國―言論をめぐる攻防』『チャイナ?ナイン―中國を動 かす9人の男たち』『チャイナ?ジャッジ毛沢東になれなかった男』『チャイナ?ギャップ―噛み合わない日中の歯車』、『●（上下を縦に重ねる）子チャーズ―中國建國の殘火』『完全解読「中國外交戦略」の狙い』など多數(shù)。