松野豊 2020年11月1日(日) 14時(shí)50分
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習(xí)近平政権の成立は2012年である。中國の政権は通常、成立後第三回目に開かれる共産黨中央委員會(huì)全體會(huì)議において、當(dāng)該政権の中長期的な國家運(yùn)営の基本方針が決められる。寫真は天安門。
習(xí)近平政権の成立は2012年である。中國の政権は通常、成立後第三回目に開かれる共産黨中央委員會(huì)全體會(huì)議(以下;三中全會(huì))において、當(dāng)該政権の中長期的な國家運(yùn)営の基本方針が決められる。
2013年11月に開催された三中全會(huì)において習(xí)近平政権は、「改革を全面的に深化させるための若干の重要問題に関する中央委員會(huì)の決定」というものを採択した。これは「國家ガバナンス改革」と呼ぶことができ、國家の政治、経済、産業(yè)、社會(huì)の本格的な構(gòu)造改革のプランを提示したものであった。
習(xí)近平改革がそれまでの政権と違う點(diǎn)を挙げるとすると、まず國家主席と首相がともに清華大學(xué)と北京大學(xué)の博士號(hào)を取得しているいわゆるインテリであることだ。そのため政権運(yùn)営は比較的組織的に秩序だって行われている。つまりこの國家ガバナンス改革では、従來のようなスローガン中心ではなく、改革の具體的な工程表や責(zé)任者などに関する膨大なドキュメントも準(zhǔn)備されており、いわゆるPDCA(仮説検証)が回るようになっている。そのため、現(xiàn)時(shí)點(diǎn)で全部が実行されているとは言えないが、どの項(xiàng)目もある程度は進(jìn)捗してきている。
清華大學(xué)社會(huì)科學(xué)學(xué)院政治學(xué)部長の張小勁教授は、この習(xí)近平改革で示された膨大なドキュメントを分析し、改革內(nèi)容が大きく336項(xiàng)目からなることを示した。そしてこれらの改革は大きくは「政府と社會(huì)」と「政府と市場」の2つの軸で理解することができることも示した(図1)。
出所) 清華大學(xué)政治學(xué)部長?張小勁教授(清華大學(xué)?野村総研中國研究センター小討論會(huì))
當(dāng)時(shí)の日本のメディア報(bào)道では、このうち「政府と市場」の関係が大きく取り上げられた。つまり中國は今後、より市場経済化が進(jìn)むという意味だ。図中に下線を引いた項(xiàng)目は筆者が注目したものである。すなわち、國有企業(yè)のガバナンス適正化、より公平で透明な市場開放、市場による価格設(shè)定メカニズムなどである。現(xiàn)在の概括的な評(píng)価でいえば、「政府と市場」に示された改革項(xiàng)目のうち國有企業(yè)改革以外は、かなり実行されてきたと言えそうだ。
もうひとつの「政府と市場」の関係については、當(dāng)時(shí)のメディアでもほとんど取り上げられなかった。筆者は、一言でいえば政府が何でも主導(dǎo)するのではなく國民主導(dǎo)でも問題解決ができるようにするという文脈だと理解している。いわゆる公民社會(huì)の確立である。
事実、この改革提示後、広東省などでNGO、NPOの組織化が実験的に許容されていったが、結(jié)果はうまくいかなかったようだ。ここでは詳しくは延べないが、共産黨の統(tǒng)治方式と民主化につながる公民社會(huì)化政策の間には大きな溝があったということだろう。
しかし他の改革項(xiàng)目を今眺めると、重要な改革項(xiàng)目が示されていることがわかる。「醫(yī)療衛(wèi)生體制改革」は、2003年のSARS(重癥急性呼吸器癥候群)の教訓(xùn)から列挙されたのだが、再び本年の新型コロナ感染問題が起こったことをみれば、結(jié)果的には改革が不十分だったのだといえる。
また「収入分配構(gòu)造の是正」という改革項(xiàng)目は、當(dāng)時(shí)から中國の內(nèi)需拡大の阻害要因であったため列挙されたのであるが、最近の米中貿(mào)易摩擦とコロナ問題の相乗効果で露呈した産業(yè)の國內(nèi)循環(huán)円滑化政策の中で、再び大きく取り上げる必要が出てきた。
つまり、2013年當(dāng)時(shí)の國家ガバナンス改革では、2020年の現(xiàn)在の苦境につながるものを的確に指摘していたということだ。もし當(dāng)時(shí)示された改革プランがしっかり実行されてきていたたなら、現(xiàn)在のコロナ感染拡大防止も雙循環(huán)政策も必要にはならなかったと言えば言い過ぎだろうか。
2013年の國家ガバナンス改革は、現(xiàn)在は中國でも言及されることがなくなったが、改めて見直してみる必要がありそうだ。図1に示された改革項(xiàng)目は、社會(huì)主義市場経済という世界でも例のないメカニズムを指向する中國にとっても、また周辺で少なからず影響を受ける日本にとっても再認(rèn)識(shí)していく必要があるものだ。
次回以降は習(xí)近平政権の改革として、2014年の「新常態(tài)」、2015年の「供給側(cè)構(gòu)造改革」などを順次取り上げていく。
■筆者プロフィール:松野豊
大阪市生まれ。京都大學(xué)大學(xué)院衛(wèi)生工學(xué)課程修了後、1981年野村総合研究所入社。環(huán)境政策研究や企業(yè)の技術(shù)戦略、経営システムのコンサルティングに従事。2002年、同社の中國上海法人を設(shè)立し、05年まで総経理(社長)。07年、北京の清華大學(xué)に同社との共同研究センターを設(shè)立して理事?副センター長。 14年間の中國駐在を終えて18年に帰國、日中産業(yè)研究院を設(shè)立し代表取締役(院長)。清華大學(xué)招請(qǐng)専門家、上海交通大學(xué)客員研究員を兼務(wù)。中國の改革?産業(yè)政策等の研究を行い、日中で講演活動(dòng)やメディアでの記事執(zhí)筆を行っている。主な著書は、『參考と転換-中日産業(yè)政策比較研究』(清華大學(xué)出版社)、『2020年の中國』(東洋経済新報(bào)社)など。
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