2014年3月13日午前、中國(guó)の全國(guó)人民代表大會(huì)（全人代）閉幕後、李克強(qiáng)首相が記者會(huì)見(jiàn)を行った。この會(huì)見(jiàn)で周永康に関する質(zhì)問(wèn)を許すか否か、そして許した場(chǎng)合に、李克強(qiáng)がどのように回答するか、世界中のチャイナ?ウォッチャーが固唾を呑んで見(jiàn)守っていた。

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しかし、3月2日に開(kāi)かれた全國(guó)政治協(xié)商會(huì)議の報(bào)道官による記者會(huì)見(jiàn)のときと違い、「周永康」という人名はストレートには出なかった。

理由は二つある。

一つは全人代開(kāi)幕直前の3月1日、雲(yún)南省昆明市で起きた無(wú)差別殺傷事件の犯人が、すべては明らかになっておらず、中國(guó)當(dāng)局側(cè)が新疆ウィグル自治區(qū)の分離獨(dú)立派によるテロ事件と片づけたままになっていることがあるだろう。これに関しては本當(dāng)にウィグル獨(dú)立派によるテロなのか疑問(wèn)視する見(jiàn)方が少なくない。少數(shù)民族が多く、どちらかと言えば弱者が多い昆明にテロを仕掛けて、いかなる獨(dú)立聲明を表現(xiàn)し得たのかという見(jiàn)方だ。昆明といえば反射的に連想するのは薄熙來(lái)の父、薄一波の「軍事拠點(diǎn)」であった第14軍団だろう。

まるでそれを認(rèn)めたかのように中共中央紀(jì)律検査委員會(huì)は3月9日、雲(yún)南省の沈培平副省長(zhǎng)を拘束し取り調(diào)べ（雙規(guī)）に入った。3月9日といえば、全人代開(kāi)催中の真っただ中だ。それでも江沢民の息が掛かっていた沈培平を拘束したことは、関係者を驚かせた。

おまけに3月5日の李克強(qiáng)が政府活動(dòng)報(bào)告を行った際の昆明無(wú)差別殺傷事件に関する部分では「新疆分離獨(dú)立派」という言葉を使わなかったということも注目に値する。

もう一つの理由は、3月8日に消息不明となったマレーシア航空の旅客機(jī)のゆくえが、未だにつかめないままになっていることだ。

いずれも中國(guó)人民の生命に関わる深刻な問(wèn)題であるにもかかわらず、中央テレビ局CCTVのトップニュースは、もっぱら開(kāi)催中の全人代を扱ってきた。

習(xí)近平は一連の「してはならない」條例の中で、「（中央テレビ局における）報(bào)道は、情報(bào)の重要性によって決めるべきで、形どおりの黨指導(dǎo)層の報(bào)道ばかりをしてはならない」という趣旨のことを盛り込んでいる?！?/p>

しかし実際は、多くの人命の安否に関する情報(bào)よりも、政治問(wèn)題ばかりを優(yōu)先したとして、人民は大きな不満を抱いてきた。

このような狀況の中で、さらに周永康失腳に関する正式の公布などをしたら、人心の安定に動(dòng)揺を來(lái)し、黨と政府への不満はさらに増すだろうことを計(jì)算したためだと思う。

もとより、腐敗官僚をどこまで逮捕していくのか、人民は習(xí)近平の決意のほどに関心を寄せていた。習(xí)近平政権は?！父瘮·驌錅绀筏胜堡欷?、黨が滅び、國(guó)が滅ぶ」とか「いかなる高い官位にあった者でも、黨紀(jì)律に違反すれば容赦はしない」あるいは「法の前で人は平等だ」と叫んできた。だから周永康がかつて中共中央政治局常務(wù)委員であったとしても「手は緩めない」という事実を人民に見(jiàn)せなければならない。

この板挾みが、全人代閉幕後の李克強(qiáng)による記者會(huì)見(jiàn)に如実に表れている。

◆みんな、分かっている

実は記者會(huì)見(jiàn)場(chǎng)の記者からの3番目の質(zhì)問(wèn)に、中國(guó)共産黨の機(jī)関紙である「人民日?qǐng)?bào)」の記者の質(zhì)問(wèn)を許している。

彼は反腐敗運(yùn)動(dòng)に関して質(zhì)問(wèn)した。

そして李克強(qiáng)は「官位の高低に関わらず、黨規(guī)約を犯した者はすべて厳しく裁く」「法律は人の前に平等である」「今後も一貫して反腐敗を貫徹していく」という言葉を用いて回答した。これは明らかに「周永康といえども手は緩めない」ということを示唆している。

この含意に留めて、人心掌握に苦慮している姿が印象的だった。

全國(guó)政治協(xié)商會(huì)議のスポークスマン?呂新華のように「あなた、分かっていますよね」という「迂闊な」言葉はさすがに使わなかったものの、「みんな、分かっている」のである。

（＜遠(yuǎn)藤譽(yù)が斬る＞第23回）

遠(yuǎn)藤譽(yù)（えんどう?ほまれ）

筑波大學(xué)名譽(yù)教授、東京福祉大學(xué)國(guó)際交流センター長(zhǎng)。1941年に中國(guó)で生まれ、53年、日本帰國(guó)。著書に『ネット大國(guó)中國(guó)―言論をめぐる攻防』『チャイナ?ナイン―中國(guó)を動(dòng) かす9人の男たち』『チャイナ?ジャッジ毛沢東になれなかった男』『チャイナ?ギャップ―噛み合わない日中の歯車』、『●（上下を縦に重ねる）子チャーズ―中國(guó)建國(guó)の殘火』『完全解読「中國(guó)外交戦略」の狙い』、『中國(guó)人が選んだワースト中國(guó)人番付』（4月1日発売）など多數(shù)。