彼女は走る。全力疾走だ。次の日も走る。やはり全力疾走だ。かばんをもったまま、手を大きく振って走る。橫斷歩道も全力で駆け抜ける。中國(guó)で評(píng)判になった動(dòng)畫は女性を高い位置から見下ろす構(gòu)図だ。女性はだんだん近づいてくる。撮影場(chǎng)所は新疆ウイグル自治區(qū)のウルムチ市內(nèi)。女性の姿を毎日のように動(dòng)畫に収めていたのは、務(wù)める會(huì)社の社長(zhǎng)だった。

とにかく全力で走っている。信號(hào)は守っているようだが、中國(guó)では車が右側(cè)通行で、赤信號(hào)でも右折はできる。つまり交差點(diǎn)で橫斷歩道を渡る際にも、完全には安心できない。動(dòng)畫を見た中國(guó)人からは「危なくないのか心配になった」との聲も寄せられた。

女性はかなり若く見える。遅刻しそうになって走っているらしいとは見當(dāng)がつく。ただ、どうして毎回、毎回走っているのか。視聴者の関心は、まずこのあたりに集中した。そこでメディアが「真相解明」に乗り出した。取材に対して女性は、とにかく朝が苦手で家を出るのが遅くなってしまうと説明。幸いにも家と會(huì)社が近いので、全力疾走で遅れを取り戻しているそうだ。

すると視聴者から「うらやましい」との聲が出た。中國(guó)では都會(huì)の中心部は不動(dòng)産価格が高騰し、遠(yuǎn)く離れたマンション物件を買うしかない人が多いからだ。2000年を少し過ぎたころまでは、通勤時(shí)間が1時(shí)間程度にもなれば「遠(yuǎn)すぎる」と感じる人が多かったが、今ではすでに當(dāng)たり前という。

さらに、女性を撮影していたのは、勤務(wù)先の會(huì)社の社長(zhǎng)と分かった。社長(zhǎng)は女性の姿を眺め、撮影するために、毎日わざわざ、早めに會(huì)社に出ていたという。

この點(diǎn)については「今どきの會(huì)社なんだ」との指摘が出た。中國(guó)の會(huì)社社長(zhǎng)はかつて、今よりもずっと「威厳」があった。社員に対しても厳しく接して、細(xì)かいことも指図した。しかし現(xiàn)在では、その様相が変わりつつあるという。

優(yōu)秀な人材を維持しておくためには、給料をはずむだけでは不十分になってきた。仕事さえきちんとやっていれば、その他の事については目をつぶる場(chǎng)合が増えている。そうでないと、優(yōu)秀な社員ほど、「この會(huì)社は不愉快だ」と思って、すぐに他の會(huì)社に移ってしまうからだ。

かつてだったら、自社の職員が毎日のように、勤務(wù)開始時(shí)間にぎりぎりで駆け込んでいることを社長(zhǎng)が知れば、必ず厳しく注意したもの。今では、社長(zhǎng)と職員の関係が「緩く」なったので、社長(zhǎng)も面白がって眺めているのだ、と多くの人が感じたようだ。（翻訳?編集/如月隼人）