中國獨(dú)自開発、中國が獨(dú)自の知的所有権を保有するOS「チャイナ?オペレーション?システム（COS）」は、中國の世界に対する挑戦なのか？それとも中國企業(yè)?研究機(jī)関による詐欺的研究費(fèi)略奪イベントなのか？

【その他の寫真】

■中國官民一體による世界への挑戦か？それとも國を食い物にした詐欺か？

2014年1月25日、中國科學(xué)院と上海聯(lián)［丹三］収網(wǎng)絡(luò)通訊技術(shù)有限公司が共同開発したオペレーションシステム?COSが発表された。Linuxをベースに開発されたこのシステムはパソコン、スマホ、タブレット、セットトップボックスなど組み込み用など幅広い用途に活用でき、しかも発表時(shí)點(diǎn)で10萬ものアプリが稼働するという、信じられないレベルの優(yōu)れものだという。

そのCOSだが発表會(huì)で用意された実機(jī)は臺灣HTCのアンドロイド攜帯Butterfly s。畫面デザインもアンドロイドをカスタマイズしたHTCのOS?Senseにそっくり。さらに中國のネット掲示板には「試作機(jī)を入手したけど、Butterfly sの箱まんまだった。箱の裏面にOSはCOSっいうシールが貼ってあったけど、剝がしたら下に「OS Sense6．0」って書いてあった」という書き込みまで登場。

「どんだけパクってんのや」「HTCが開発に協(xié)力している？」「いやいやHTCのエンジニアが外部に情報(bào)売って捕まった事件があったけど違法にソースコードを入手したのではないか」「COSってCopy Other Systemっていう意味かな」などなど疑いまくる聲が多數(shù)。

また「高速鉄道しかり、中國政府は付加価値の高い技術(shù)を掌握することを望んでいる。COSはそうした狙いのもと開発された」という、COSは海外企業(yè)に対する挑戦という筋書きで解説するメディアも少なくない。

中國政府が獨(dú)自技術(shù)の掌握を望んでいることは間違いないが、ではCOSが本當(dāng)にそうなのかと言われると疑問が殘る。海外からみると中國は官民一體のように見えるのだろうが、中國メディアではむしろ「企業(yè)が獨(dú)自技術(shù)開発と宣伝して政府から補(bǔ)助金をしぼりとろうとしている」との見方が主流のようだ。

■お上がくれる甘い汁だけが頼りです…中國國産IT技術(shù)列伝

中國メディアのひねくれた見方はゆえなきものではない。これまでにいくつもの研究費(fèi)詐欺が発覚した歴史があるがゆえだ。網(wǎng)易のコラムサイト「The Other Side」が記事「IT業(yè)界の“國産自主開発”＝助けようのない阿斗」で數(shù)々の事件をまとめている。ちなみにサブタイトルの「助け用のない阿斗」（扶不起的阿斗）は中國語の慣用表現(xiàn)でダメ人間の意。三國志の劉備の息子、阿斗（後の劉禪）に由來する言葉である。

（1）中國半導(dǎo)體産業(yè)の期待の星、漢芯

上海交通大學(xué)の陳進(jìn)（チェン?ジン）氏が開発したDSPチップ、漢芯。2003年から2005年にかけ、次々と新たなモデルが発表され、中國が半導(dǎo)體産業(yè)でも先進(jìn)レベルの製品を開発できるようになるのではとの期待が高まった。ところが2006年、ネット掲示板でそのお粗末な內(nèi)実が暴露された。実はこのDSPチップはモトローラの製品を購入したあと、刻印されたロゴを紙やすりで削り取ってその後に「漢芯」というロゴをつけただけだったという。この紙やすりテクで1億1000萬元（約18億円）の研究費(fèi)を國からゲットしている。

（2）中國獨(dú)自開発のOS、麒麟OS

中國獨(dú)自開発のコンピューターOS?麒麟。中國國防科技大學(xué)、レノボなどそうそうたる企業(yè)が共同で開発した。中國政府の重要研究プロジェクトに指定され、8000萬元（約13億円）の研究費(fèi)をゲットしている。この麒麟OSもネットユーザーの暴露で內(nèi)実が判明した。実はソースコードの大半がオープンソースOS?FreeBSDの流用。研究費(fèi)獲得の條件はコアの獨(dú)自開発だったが、これも流用であきらかに詐欺だった。

（3）中國科學(xué)院開発のCPU、龍芯

COS開発でも名前が上がっている中國のアカデミー、中國科學(xué)院。その計(jì)算機(jī)技術(shù)研究所が開発したCPUが龍芯だ。當(dāng)初、他社の知的所有権を一切侵犯していない獨(dú)自開発のCPUと宣伝されていたが、後に米ミップス?テクノロジーズのアーキテクチャと95％一致していることが判明。中國科學(xué)院はパクリを否定していたが、2006年にミップス?テクノロジースとアーキテクチャー使用許可の契約を交わした。なお龍芯は健在で、同CPUを採用したパソコンも販売されている。

（4）中科紅旗リナックスの消滅

文革京劇風(fēng)テレビCMで世界を笑わせてくれた、中國獨(dú)自開発のLinuxディストリビューション、中科紅旗リナックス。やはり中國科學(xué)院がバックについている。他社の知的所有権を侵害していたわけではないが、「主な収入は政府の研究費(fèi)」という狀況から脫することができなかった。2012年に研究費(fèi)が終了すると會(huì)社は速攻で破綻。先日、會(huì)社の完全な清算が発表された。ウインドウズ支配から脫卻するための切り札と一瞬期待されたが、使っている一般人を見たことがない。

■中國は一體ではない

とまあ、こうした數(shù)々の伝説が殘されているため、「中國人が作り上げた」「國産！自主開発！」というCOSの煽り発表會(huì)を疑わしく思う人が多いわけだ。

この「外側(cè)から見ていると中國は官民一體、上から下まで一丸となってうまいことやっている…ように見える」という問題はなにもIT業(yè)界だけにとどまらない。例えば記事「中國に外交政策はあるのか？中國をとかく強(qiáng)大に描くチャイナウォッチャーともう一つの視點(diǎn)」で取り上げた外交。中國內(nèi)部の事情を見てみると、複數(shù)のプレイヤーが勝手なことをやらかしていることも多い。

ビジネスでもそうだ。地方政府が中央政府の裏をかいてアグレッシブな開発を進(jìn)めようとしたり、他地域の企業(yè)に負(fù)けないよう地元企業(yè)に有利な産業(yè)政策や政府調(diào)達(dá)契約を作ったりというのはざらにある。

こうした狀況を考えれば、COSは「中國の世界に対する挑戦」説よりも、「お上を食い物にしようとぶちあげた」説のほうに信憑性を感じる。もっともあまりにも華麗なぶちあげをかましすぎてツッコミが殺到してしまっているため、これで研究費(fèi)獲得は難しいかもしれないが…。

◆筆者プロフィール：高口康太（たかぐち?こうた）

翻訳家、ライター。豊富な中國経験を活かし、海外の視點(diǎn)ではなく中國の論理を理解した上でその問題點(diǎn)を浮き上がらせることに定評がある。獨(dú)自の切り口で中國と新興國を読むニュースサイト「KINBRICKS NOW」を運(yùn)営。