<コラム>2020年の雙11、越境Eコマース輸出入とも急拡大、やはりアリババが市場をリード

高野悠介    2020年11月27日(金) 21時40分

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中國の雙11(11月11日)獨(dú)身の日セールは、今年も成功裏に終わった。日本メディアは、盛況の理由を、海外で爆買いできない分を消費(fèi)した、海外商品の売り上げでは日本が5年連続1位となった、などと伝えた。

中國の雙11(11月11日)獨(dú)身の日セールは、今年も成功裏に終わった。日本メディアは、盛況の理由を、海外で爆買いできない分を消費(fèi)した、海外商品の売り上げでは日本が5年連続1位となった、などと伝えた。どうやら越境Eコマースは大きく伸びた。その辺りの事情と今後について、アリババの動きを中心に探ってみよう。

■2020年、雙11データ

ネット通販2トップで12兆円を売り上げる。

雙11の指標(biāo)となるアリババのGMV(成約総額)は4982億元(7兆9000億円)だった。昨年の2684億元の2倍近いが、統(tǒng)計(jì)期間を変更したため、実質(zhì)の伸び率は26%という。ネット通販2位の京東は2715億元(4兆3000億円)、昨年は2044億元、伸び率は33%だった。

アリババの雙11GMVは、日本最大の小売業(yè)、イオンの年間売上8兆5182億円(2019年2月期)に迫る勢いだ。

越境Eコマースの全國データは出ていないが、広東省がデータを発表している。それによれば11月1日~11日8時までの輸入金額は28億2000萬元、80.6%の伸び、輸出は57億1000萬元、152.8%の伸びだった。輸入は化粧品、スキンケア用品、ベビー用品が多かった。広東省の稅関は越境Eコマースの激増を見越し、通関システムをアップデートしていた。

■1.5億人が利用する越境Eコマース

調(diào)査機(jī)関iiMediaによる越境Eコマースデータ。

2019年、越境Eコマースを利用して海外商品を購入した中國ユーザーは1億5400萬人である。2016年は4100萬人、この4年で約4倍に増加した。2019年の売上規(guī)模は2兆6400萬元、2016年は1兆2900萬元で、こちらは4年間で2倍に。2020年はコロナ禍の影響を考慮し、2兆7700萬元、4.9%の微増を見込んでいたが、雙11の成功により、達(dá)成は間違いなさそうだ。

iiMediaのアナリストは、政府の越境Eコマースサポート政策が、コロナ渦からの復(fù)活だけでなく、従來型貿(mào)易の変革とアップグレードの推進(jìn)力になっていると指摘した。オンラインの力が、ブランドと消費(fèi)者、雙方の変革を加速したのだ。

2020年は、技術(shù)革新が進(jìn)んだことから、海外企業(yè)や中小企業(yè)の越境Eコマース參入障壁が下がり、雙11に新たな血を注入した。アリババの「天貓國際」は、2600の海外新ブランドが參加、120萬の新商品を発売した。その効果はてきめんで、11月1日~11日12時までのGMVは、前年比47.3%増となった。そのうち180の海外ブランドが1000萬元以上、816の海外海外ブランドが100萬元以上を売り上げた。

輸入元國家トップ10は、日本、米國、韓國、オーストラリア、ドイツ、英國、ニュージーランド、フランス、イタリアの順だった。

■トップ10入り日本ブランド

商品部門別ランキングに掲載された日本ブランドは以下の通り。

化粧品8位…資生堂

レディースファッション1位…ユニクロ

メンズファッション1位…ユニクロ

インナーウェア2位‥ユニクロ

生活家電10位…パナソニック

デジタル機(jī)器8位…ソニー

時計(jì)眼鏡1位…カシオ、7位…シチズン

廚房衛(wèi)生用品3位…パナソニック、7位…TOTO

自動車4位…広汽本田(ホンダ

ユニクロの強(qiáng)さが際立っている。今や雙11を代表するブランドだ。

■第3回國際進(jìn)口博覧會(輸入博

中國は2018年から雙11に合わせ、上海で輸入博を開催している。

2020年は64カ國、674社が出展した。今年は海外勢の訪問が限られた分、情報(bào)発信を強(qiáng)化した。例えば、全盛を誇る直播電商(ライブコマース)のデモンストレーションを行った。アリババの「淘寶直播」で活躍する李佳[王奇]、微亞が、それぞれ中央電視臺CCTVの人気キャスターと登場、それぞれイタリア會場、歐州4國會場から直播ライブを行った。國策となった輸入拡大のため、使える広告資源はすべて使う、いかにも中國らしいパフォーマンスだった。

■速売通(Ali Express)

ここまでは、中國國內(nèi)販売、つまり輸入の話であった。今度は輸出である。広東省のデータでは、輸入の2倍も伸びている。これら海外販売を擔(dān)うのが速売通だ。

速売通は2010年に設(shè)立された、アリババのグローバル小売プラットフォームである。顧客とバイヤーは1億5000萬人、220カ國に存在している。商品カテゴリーは、衣料品、靴?服飾、美容?健康、家電、自動車など30に拡大し、今やアマゾン、Ebay、Wishと並び、世界4大英語プラットフォームの1つとされる。18言語に対応、ロシアとスペインでは、國內(nèi)最大のネット通販になった。日本語版もある。なお中國から出荷される小口貨物は、90%以上郵便小包である。

速売通の雙11も盛況だった。參加企業(yè)數(shù)は30%、商品數(shù)は60%増加した。2000社近い企業(yè)が、1時間で昨年1日分のGMVをたたき出した。ブラジル市場では6時間、韓國市場では7時間、スペイン、フランス市場では12時間で昨年1日分GMVを達(dá)成した。

■まとめ

中國は、國を挙げて越境Eコマースに取り組んでいる。全國に105カ所の越境電商総合試験區(qū)があり、伝統(tǒng)的貨物貿(mào)易から、少量多頻度貿(mào)易への転換を研究中だ。これもアリババが杭州からスタートさせたものだ。中小企業(yè)をサポートするアリババのプラットフォームが、國策にまで昇華した形といってもよい。中國はどこを取っても、やはり中心はアリババである。やがて世界貿(mào)易の中心となることまで、視界に入れているのかも知れない。

■筆者プロフィール:高野悠介

1956年生まれ、早稲田大學(xué)教育學(xué)部卒。ユニー株(現(xiàn)パンパシフィック)青島事務(wù)所長、上海事務(wù)所長を歴任、中國貿(mào)易の経験は四半世紀(jì)以上。現(xiàn)在は中國人妻と愛知県駐在。最先端のOMO、共同購入、ライブEコマースなど、中國最新のB2Cビジネスと中國人家族について、ディ-プな情報(bào)を提供。著書:2001年「繊維王國上海」東京図書出版會、2004年「新?繊維王國青島」東京図書出版會、2007年「中國の人々の中で」新風(fēng)舎、2014年「中國の一族の中で」Amazon Kindle。

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