八牧浩行 2021年11月11日(木) 8時20分
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米中対立にもかかわらず米國企業(yè)の対中貿(mào)易投資が急拡大。中國國際輸入博覧會で目立ったのは米國の出展企業(yè)で熱気に包まれた。「対中デカップリング」は失敗に終わったと見られている。寫真は國際輸入博覧會(上海)
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米中対立にもかかわらず米國企業(yè)の対中貿(mào)易投資は急拡大している。中國?上海で11月5日から開催された「中國國際輸入博覧會(輸入博)」では世界最大の中國市場の成長を取り込もうと多くの外國企業(yè)が最新の商品や技術(shù)を披露した。特に目立ったのは米國の出展企業(yè)で、過去最多となり熱気に包まれた。トランプ政権から続く米國の「対中デカップリング(切り離し)」は完全に失敗に終わったと見られている。米中の各レベルの対話が増えており、米中関係が改善に向かう兆しが出始めている。
【その他の寫真】
◆中國輸入博に賭ける米企業(yè)の熱気
輸入博は、米中対立の激化を背景に、中國の市場開放姿勢をアピールするイベントとして2018年に始まり、今回で4回目。米國の企業(yè)や団體の參加數(shù)は200超で過去最多となった。
ゼネラル?モーターズ(GM)、マイクロソフト、アップル、ナイキをはじめ従來からの進(jìn)出企業(yè)の多くは派手な巨大ディスプレイで會場を圧倒。メガ企業(yè)のアマゾンなど初出展の企業(yè)も目立ち、米中対立が続く中でも中國市場のビジネスチャンスを重視する姿勢が鮮明だった。中國稅関総署によると、中國の最大の貿(mào)易相手國である米國との輸出入額は1~9月で5431億ドル(約62兆円)と、前年同期から約35%増えた。中國の対米黒字は過去最高を更新するなど、米中間の貿(mào)易は拡大を続けている。
同署発表の2021年10月の貿(mào)易統(tǒng)計によると、全體の輸出は前年同月比27%増の3002億ドル(約34兆円)だった。品目別では、パソコンと衣類がそれぞれ前年同月より2割増え、9月から伸びを拡大させた。輸入は20%増の2156億ドルだった。品目では、天然ガスが2.4倍、原油が6割それぞれ増えた。最大の輸入品目である半導(dǎo)體は1割超増加した。
輸出から輸入を差し引いた貿(mào)易黒字は845億ドルで、5割近くも増えた。新型コロナウイルスがまん延する前の19年10月と比べると、輸出は41%、輸入は26%それぞれ増大している。
◆世界貿(mào)易に占めるシェア、米國を凌駕
中國が世界貿(mào)易機(jī)関(WTO)に加盟して、12月で20年を迎える。この間に貿(mào)易総額は9倍に拡大し、世界貿(mào)易に占めるシェアは01年の4%から20年には13%に達(dá)し、13年には米國を追い抜き、日本を含む多くの國にとって最大の貿(mào)易相手國になった。5日に上海市で開いたハイレベルフォーラムでは習(xí)氏の盟友、王岐山國家副主席が「中國は引き続き高水準(zhǔn)の対外開放を広げていく」とアピールした。
中國は安い人件費を武器に「世界の工場」として輸出を急拡大する一方、段階的な関稅の引き下げで輸入も増やした。國連貿(mào)易開発會議(UNCTAD)によると、20年の輸出は2001年の9.7倍、輸入は同8.4倍となった。
貿(mào)易総額は同じ期間に9.1倍に膨らみ、2.8倍だった世界貿(mào)易の拡大ペースを大きく上回った。輸出品目をみると、加盟當(dāng)初は労働集約的な衣料品などが主力だったが、最近ではパソコンやスマートフォンの出荷も伸びている。
米國がインド太平洋地域での自由貿(mào)易協(xié)定(FTA)の枠組みに慎重な姿勢をとる中で、中國は積極的な參加を志向。東アジア包括的経済連攜(RCEP)は22年1月の発効が決まった。今年9月には自由化の水準(zhǔn)がより高い環(huán)太平洋経済連攜協(xié)定(TPP)への加盟も申請した。
◆テスラの急成長、中國市場が支える
米電気自動車(EV)大手、テスラは中國市場で成功した米企業(yè)の典型と言える。2021年7~9月期決算は売上高と利益がともに過去最高を更新し、時価総額は1兆ドル(約110兆円)を突破。その驚異的な成長は中國事業(yè)が支えている。
1~9月のテスラの中國販売臺數(shù)は前年同期実績の約3.5倍に拡大。テスラの中國の販売臺數(shù)は4~6月から米國を安定的に上回るようになり、7~9月には全體の50%に達(dá)した。2年前に稼働した上海工場の生産臺數(shù)は米國工場を上回った。中國からテスラや中國企業(yè)がEVを世界中に輸出し急増している。時価総額で世界1、2位のマイクロソフトとアップルは中國事業(yè)のウエイトが大きいが、テスラも2社の中國重視戦略を追いかけている。
人口14億人を擁する世界最大の消費市場を摑もうと米企業(yè)は必死である。中國の通信機(jī)器大手、ファーウェイと半導(dǎo)體メーカーの中芯國際集成電路製造(SMIC)が米國の事実上の禁輸リストに指定されているにもかかわらず、米國內(nèi)の両社のサプライヤーがかなりの額の製品?技術(shù)の輸出許可を取得していた事実が判明した。昨年11月から今年4月までの期間に、ファーウェイ向けの計610億ドル(約7兆円)の製品?技術(shù)の販売について計113件の輸出許可が付與され、SMICには420億ドル近い製品?技術(shù)を販売するために188件の許可が與えられた。許可は4年間有効で、SMICの米サプライヤーによる輸出許可申請の90%強(qiáng)が承認(rèn)され、ファーウェイの米サプライヤーによる申請は89%に許可が下りたという。
脫炭素で、中國は脫炭素(カーボンニュートラル)を今世紀(jì)中頃までに実施すると宣言しているが、米企業(yè)は保有ライセンスを前面に、中國企業(yè)への売り込みに血道をあげている。米國金融業(yè)界は中國で日本より多くのビジネス上の特権を持ちさらに拡大している。米中間の官民やの対話?交流は頻繁に行われており、中國に行くと米國人や米ブランドショップが目立ち、GMなどアメリカ車の多さに驚く。
◆米國のしたたか戦略、日本企業(yè)「はしご外される」懸念も
米中の先端技術(shù)を中心とした覇権爭いは熾烈を極めている。一方で、米國內(nèi)では最近の経済安全保障に名を借りた対中強(qiáng)硬策への批判も経済金融界を中心に根強(qiáng)い。米シンクタンク幹部は「トランプ政権以來の保護(hù)主義政策は結(jié)果的に世界最大の消費市場?中國でのビジネスチャンスを奪い、米國の経済力を衰退させる」と警鐘を鳴らす。相互依存が深まる米中経済において、政府主導(dǎo)のデカップリング(対中切り離し)は失敗に終わったと見られている。
ウォール街や米産業(yè)界にとってビジネス上の中國の重要性はむしろ増している。米政府は中國とのビジネスをやめるよう圧力をかけておらず、前述のファーウェイなどへの輸出を容認(rèn)するケースも散見される。グローバルな市場経済下で、成長の機(jī)會を求める米経済界が中國市場を重視するのは當(dāng)然と言える。中國政府による市場開放のチャンスを米企業(yè)がつかまなければ、歐州や他の地域の企業(yè)に橫取りされるとの懸念も根強(qiáng)い。
この図式は日本の経済界にとっても同様である。経団連幹部は「日本は米國の戦略に巻き込まれ、はしごを外された『悪い夢』から早く目覚め、米中を巻き込んだ経済貿(mào)易のルールつくりに少しでも多く関與すべきだ」と訴えている。
米國では対中貿(mào)易規(guī)制の長期化により中國からの輸入品に高い関稅がかけられているためクリスマス商戦を前に物価が上昇、消費者の不満が高まっている。中國との投資や貿(mào)易取引が多大な米金融経済界や農(nóng)業(yè)界から米中対立の緩和を求めるロビー活動も活発化している。
こうした中、バイデン大統(tǒng)領(lǐng)が求める形で、米中が外交関係の修復(fù)に動き出した。表向きの激しい対立姿勢とは裏腹に、米中の各レベルの対話が増加傾向にあり、米中関係が改善に向かう兆しが顕著である。米中両政府は10日、英北部グラスゴーで開かれている國連気候変動?xùn)樈Mみ條約第26回締約國會議(COP26)で、2020年代に気候変動対策で協(xié)力関係を強(qiáng)化することを盛り込んだ共同宣言を発表した。対立してきた米中の共同宣言は異例。米中が融和に向かうきっかけになる可能性もある。
バイデン米大統(tǒng)領(lǐng)と中國の習(xí)近平國家主席は來週にもオンライン形式で首脳會談を行う予定である。
■筆者プロフィール:八牧浩行
1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務(wù)取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務(wù)めたほか、歐州、米國、アフリカ、中東、アジア諸國を取材。英國?サッチャー首相、中國?李鵬首相をはじめ多くの首脳と會見。東京都日中友好協(xié)會特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著?共著に「中國危機(jī)ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外國為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。
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小島康譽(yù)
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