米GAFAに対する國際課稅ルール作り加速=米が協(xié)調(diào)に転換、法人減稅競爭に歯止め―中國BATHにも注目

八牧浩行    2021年4月20日(火) 6時0分

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GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンなど)への最適な課稅を目指し、國家間の法人稅率引き下げ競爭に終止符を打つべきだとの議論が世界で盛んになっている。寫真はアップルショップ。

巨大IT(情報技術(shù))企業(yè)に対する國際課稅のルールづくりが加速している。米國バイデン政権に変わり協(xié)調(diào)姿勢に転じたためだ。4月上旬に開催された主要20カ國?地域(G20)財務(wù)相?中央銀行総裁會議は、今年半ばの合意をめざす共同聲明を採択したが、実効性の確保など課題は山積している。

グローバルに活動する多國籍企業(yè)や高収益の米巨大IT企業(yè)グループGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンなど)への最適な課稅を目指し、國家間の法人稅率引き下げ競爭に終止符を打つべきだとの議論が世界で盛んになっている。新型コロナウイルス禍の長期化に伴う、財政赤字の拡大が危機感につながっている。

GAFAに続き中國IT大手BATH(バイドゥ、アリババ、テンセント、ファーウェイ)と新興IT群TMDP(バイトダンス、美団、DD、拼多多)などIT企業(yè)の動向も注目されている。

G20が財務(wù)相?中銀総裁會議で採択した共同聲明は「保護主義と闘う」と明記し、米國の國際協(xié)調(diào)への回帰を印象づけた。同會議の議長國イタリアのフランコ経済財務(wù)相は記者會見で「進展は加速しており、7月にベネチアで開かれる會合で合意できる」と期待した。G20のテレビ會議を終えて記者會見した麻生太郎財務(wù)相は「合意へのコミットメントを改めてG20で示すことができ大きな成果だ」と強調(diào)した。

◆米政権、増稅によるインフラ投資に転換

イエレン財務(wù)長官は記者団に「稅収の低下が続けば、インフラや研究開発への投資が減る」と危機感を露わにし増稅の必要性をアピール。世界各國で最低稅率を設(shè)けて法人稅の引き下げ競爭を終わらせることに改めて意欲を示した。

近年、國家間の法人稅率引き下げ競爭が繰り広げられ、財政赤字の急拡大など弊害が目立った。その潮目が変わったのは米國の方針転換による。米バイデン政権は大幅減稅に動いたトランプ前政権の路線から一転、増稅でインフラ投資などを推進する政策に舵を切った。

バイデン政権は新型コロナウイルス禍に対応した財政出動を賄うため、法人稅率を21%から28%に引き上げた上で、大企業(yè)に限って會計上の利益に最低15%を課す「ミニマム稅」を?qū)毪工雺埗愑嫯嫟驋鳏菠俊?/p>

背景にはトランプ前政権による政策の行き詰まりがある。米法人稅収は國內(nèi)総生産(GDP)比で2%程度で推移していたが、大型減稅によって2018~19年は約1%まで低下。OECDの平均値の3%を大幅に下回る。コロナ禍もあり財政赤字の急劇な膨張が続いている。

バイデン大統(tǒng)領(lǐng)は3月末にインフラや環(huán)境、研究開発に投資する「米國雇用計畫」を発表した。総額2兆ドル超の大規(guī)模計畫だが「何もしない選択肢はない」と実現(xiàn)に強い意欲を表明?!笇恧丐瓮顿Yをやめれば、世界を主導(dǎo)できなくなる」と力説している。ただ、共和黨はバイデン氏の計畫は経済成長の妨げになると反対している。バイデン政権は法人増稅案が実現(xiàn)すれば、約2?5兆ドル(約275兆円)稅収が増えると指摘。インフラ投資計畫などの財源になると強調(diào)しているが、民主黨內(nèi)にも法人稅率の引き上げを25%にとどめるべきだとの聲もあり実現(xiàn)まで曲折がありそうだ。

◆グローバル企業(yè)100社が課稅対象

米國の復(fù)帰を受け、各國?地域は減稅に歯止めをかけるため、最低稅率とデジタル課稅を一體として、7月までの合意を目指すことを再確認した。今後は最低稅率の水準や新たな稅の枠組みの対象範囲が焦點だ。

こうした中、バイデン政権がOECDを中心とした國際課稅交渉を進展させるための新提案を各國に送った。多國籍企業(yè)の利益に対し、各國がそれぞれの國內(nèi)の売上高に応じて課稅する。特定の売上高や高い利益率を持つ企業(yè)が課稅対象で、米巨大ITを含むグローバル企業(yè)を中心に100社にのぼるという。

米國が希望する法人稅の最低稅率と歐州や新興國が求めるデジタル課稅の導(dǎo)入が一體で合意できれば國際社會の協(xié)調(diào)は大きく前進する。デジタル課稅の新たな枠組みが固まれば、世界中でサービスを展開するグーグルなどに対して主に米國しか課稅できない狀況が是正される。國際交渉が滯る間にフランスやインドなどが獨自の課稅を始め、米通商代表部(USTR)が批判するといった対立も解消に近づくと期待されている。

◆日本が國際課稅ルールづくりを主導(dǎo)

日本は國際課稅ルールづくりと法人稅減稅競爭に歯止めをかける動きを歓迎。加藤勝信官房長官は主要國間での法人稅率の引き下げ競爭を防ぐための最低稅率の設(shè)定について「議論に積極的に貢獻したい」と指摘。國際課稅ルールの設(shè)定は「日本としても重要だと考えている」と期待している。

経済協(xié)力開発機構(gòu)(OECD)租稅委員會議長を務(wù)めた淺川雅嗣財務(wù)官(當時=現(xiàn)アジア開発銀行総裁)はOECD租稅委員會議長として、多國籍企業(yè)による課稅逃れや過度の節(jié)稅を防ぐための新たな國際共通課稅ルールを15年にまとめた。このルールが巨大IT企業(yè)などに対する國際課稅のルールづくりの基盤となっており、淺川氏の貢獻が評価されている。

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務(wù)取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務(wù)めたほか、歐州、米國、アフリカ、中東、アジア諸國を取材。英國?サッチャー首相、中國?李鵬首相をはじめ多くの首脳と會見。東京都日中友好協(xié)會特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著?共著に「中國危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外國為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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