<中國の行方>習近平「終身國家主席」も浮上―「感染収束」「GDP?米中逆転」追い風に

八牧浩行    2020年12月14日(月) 7時0分

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中國の習近平國家主席は表向き盤石の體制を固めている。2022年に到來する2期10年の任期が延長されるのは確実視され、毛沢東以來の「終身國家主席」も視野に入ったとの見方もで出ている。寫真は北京?天安門。

中國は2035年に「1人當たり國內(nèi)総生産(GDP)を中等先進國並みにする」との目標の下、世界最大の14億人の人口パワーをテコに、國家資本主義と計畫経済を融合する野心的なシナリオを掲げる。

不本意な選挙結(jié)果となった米トランプ大統(tǒng)領(lǐng)と異なり、中國の習近平國家主席(共産黨総書記)は表向き盤石の體制を固めている。22年に到來する2期10年の習近平氏の任期が延長されるのは確実視されている。さらに毛沢東以來の「終身國家主席」を志向しているとの憶測まで出ている。

◆2035年に「1人當たりGDPを中等先進國並みに」

今年10月下旬に開催された「5中全會」のコミュニケは、國際秩序が流動化しても自力で安定成長できる経済をめざすとし、「內(nèi)需の拡大を急ぎ消費を全面的に促進し、投資の余地を切り開く」と明記。さらに「科學技術(shù)を自力で強化する」と強調(diào)し、先端技術(shù)の內(nèi)製化を進める。米國の対中禁輸も意識し「サプライチェーンの水準を明らかに高める」と強調(diào)した。

習氏は2012年に総書記に就任して以來、毛沢東以來といわれる権力の集中をめざしてきた?!弗膝à饣ⅳ猡郡郡工趣いΨ锤瘮∵\動で幹部を締め付けながら求心力を高め、黨の「核心」の地位についた。就任當初は最高実力者のトウ小平のお墨付きがあった江沢民、胡錦濤元國家主席と異なり、地方の省長から抜擢されたため、「最弱の皇帝」と揶揄する見方もあったが、一期目の5年間で、友人も出身派閥である太子黨(共産黨幹部の係累グループ)の區(qū)別もなく不正を暴く冷徹な方針を貫いた。政敵追い落としと國民の支持を得るという一石二鳥の効果をもたらした。一般庶民からは“腐敗官僚”を次々に摘発したため「習おじさん」と親しまれている一面もある。

前任の國家主席?胡錦濤氏は「核心」と位置づけられなかった。そのため、幹部がそれぞれ勝手に指示を出し、規(guī)律が緩んだ。習氏はその轍を踏むまいとの意識が強く、権力集中はその反省に基づく。國家主席の2期10年の任期制限も18年に撤廃された。22年秋に予定される第20回黨大會での習氏3選は既定路線とみられている。

◆コロナ収束で「社會主義の優(yōu)位性」アピール

5中全會コミュニケは「新型コロナウイルス防止と経済社會発展の活動をコントロールし、人民の生命安全と身體健康を第一に置き、內(nèi)需拡大の戦略的基點を把握した」と強調(diào)?!溉嗣瘠紊瞍嫌辛Δ时U悉虻盲?、社會の大局は安定を保持した」「中國の特色ある大國外交を積極的に推進し、黨と國家の各項目の事業(yè)は新たな重大な成果を取得した」と自畫自賛のオンパレードである。

中國ではコロナ新規(guī)感染者數(shù)がほぼゼロに近い水準まで減少?!甘澜绀蝿伽两M」と誇り、コロナ禍が収まらない歐米に比べ「克服した」実態(tài)をアピール。社會主義のスピードと強制力がコロナを封じ込めたとし、21世紀に勝ち殘る人類の統(tǒng)治システムとして、「社會主義の優(yōu)位性」が証明されたと強調(diào)した。

習近平主席の強気の源泉はコロナ対応と並んで「経済」である。今年4~6月期の中國GDPは前年同期比3.2%増と先進國に先駆けてプラス成長を確保。コロナ感染者増で景気急下降の米歐日を尻目にいち早くプラスを確保した。今年7~9月のGDPも前年同4.9%プラスと拡大。経済は正常化しつつある。

國際通貨基金(IMF)など有力國際機関の予測を分析すると、2021年に8%成長となり、米中経済のGDP経済規(guī)模は30年までに逆転する見通しだ。日本経済研究センターは、米中のGDPが逆転する時期について、コロナ収束「標準シナリオ」で29年、「深刻化シナリオ」の場合は28年になると予測した。経済力の実態(tài)を示す購買力平価方式では14年に米中が逆転している。

◆82歳までの任期も視野

習近平政権が特に注力するのは「脫貧困」。経済力を背景に「2020年末までに、歴代のどの中國王朝も達成できなかった貧困ゼロを?qū)g現(xiàn)する」との公約を掲げる。それによって來年に中國共産黨創(chuàng)建100周年を迎える共産黨の正統(tǒng)性の証(あかし)とすることを狙っている。政権幹部は「4億人を貧困から救済した」と豪語。早晩「貧困ゼロ達成」を華々しく宣言する構(gòu)えだ。

今回の5中全會では、35年までの15カ年計畫を策定。その中に21~25年の次期5カ年計畫を置く。あくまで目標は35年。習近平時代の最終成果は、15年後までに米國に追い付き、追い越せるかで評価され、必ず達成しなくてはならない?!该讎俗筏い膜趣长恧蓼前k展したのは共産黨政権だから」との喧伝も浸透しやすい。このシナリオから習氏は15年後までトップを務(wù)めると読み取れないこともない。その時習氏は82歳になる。

ただ経済動向の不確実性もあり前途は多難である。タガの緩みを防ぐため、締め付けも強まっている。

◆盟友?王岐山氏の大物秘書役が失腳

王岐山國家副主席に長年付き従ってきた秘書役?董宏が10月上旬に當局の調(diào)査対象になり失腳した。王岐山の秘密を最もよく知る人物の失腳は衝撃的だった。

習氏と王岐山の親交は半世紀前から続く。文革期、2人は陝西省延安近くに「下放」され知り合い、洞窟式の住居で寢食を共にした。王岐山は2012年から5年間、黨政治局常務(wù)委員として中央規(guī)律検査委員會トップを務(wù)め、「反腐敗」運動を主導した。

董宏の失腳が発覚する前の9月下旬、不動産王と呼ばれた任志強が懲役18年の重刑に処された。鋭く體制を批判してきた著名なネット言論人でもあった。このような事例が続出している。

これまでトップ後継者を數(shù)年前に最高幹部クラスである常務(wù)委員に抜擢してきたが、習氏はこの慣例を退けてきた。17年の黨大會で有力トップ候補が示されるとの見方もあったが、最右翼にいると目された當時の重慶市黨書記、孫政才を失腳させ、後継者選定は白紙に戻った。その後、19年の4中全會の際は、後継者候補2人(陳敏爾?重慶市黨書記と、副首相の胡春華?副首相)の最高指導部入りが取り沙汰されたが、それもなかった。

毛沢東に與えられた「共産黨主席」をいずれ復(fù)活させ習氏が就任するとの見方も根強い。この肩書は文化大革命(1966~76年)の混亂と権力集中への反省から、82年の黨規(guī)約改正で廃止され、集団指導制下の黨最高位として総書記の職が置かれた。黨主席制の復(fù)活には「時代の流れに逆行する」という反対論が多いが、習氏は「一強継続」への道筋をひた走っている。

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務(wù)取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務(wù)めたほか、歐州、米國、アフリカ、中東、アジア諸國を取材。英國?サッチャー首相、中國?李鵬首相をはじめ多くの首脳と會見。東京都日中友好協(xié)會特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著?共著に「中國危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外國為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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