八牧浩行 2021年1月1日(金) 5時(shí)0分
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米國と中國との対立はバイデン新政権になっても継続する。多くの米國情報(bào)が溢れる日本では、米國が「対中包囲」を仕掛け、中國が防戦に追われる図式が強(qiáng)調(diào)されるが、実態(tài)を探ると「逆回転」の様相を呈している。
米國と中國との対立はバイデン新政権になっても継続する。多くの米國情報(bào)が溢れる日本では、米國が「対中包囲」を仕掛け、中國が防戦に追われる図式が強(qiáng)調(diào)されるが、実態(tài)を探ると「逆回転」の様相を呈している。日中韓豪ニュージーランドと東南アジア諸國連合(ASEAN)の15カ國は20年11月、東アジア地域包括的経済連攜(RCEP)に署名した。関稅の引き下げや貿(mào)易投資ルールの改善により、域內(nèi)の経済力の著しい増強(qiáng)につながり、日本の経済界も歓迎している。習(xí)近平國家主席が企てる「米國排除によるアジア諸國の囲い込み」が著々と進(jìn)行する。
◆「経済パワー」の吸引力
「中國崩壊の序章」「中國経済、破たんへ」…。日本の書籍や雑誌などの多くは、中國経済の先行きについて「破たん」「崩壊」といった一方的な見通しを強(qiáng)調(diào)し、否定的な面をクローズアップする傾向が鮮明である。ところが中國経済は崩壊どころかこの20年間に急拡大。2000年に日本の4分の1に過ぎなかった中國の経済規(guī)模は今や3倍以上に急拡大。実態(tài)に近い購買力平価(PPP)方式によるGDPで2014年に米國を追い抜き、世界1位になった。
コロナ禍への対応の差で中國優(yōu)位の流れがさらに早まる。日本経済研究センターはこのほど名目GDPでも「28~29年」に米中が逆転するとの見通しを発表した。英國のシンクタンク、経済ビジネス?リサーチセンター(CEBR)は20年12月下旬に発表した世界各國の経済狀況の比較報(bào)告の中で、中國の経済規(guī)模が2028年に米國を抜いて世界最大の経済大國になり、従來の予測よりも米中逆転のタイミングが5年前倒しになるとの予測を示した。
同報(bào)告によると、中國の21~25年の年間平均GDP伸び率が5.7%、26~30年が4.5%に達(dá)する一方で、米國は21~25年が1.9%、26~30年が1.6%にとどまる見込みだ。さらにIMF、OECDなど有力國際機(jī)関の予測分析でも、米中経済のGDP経済規(guī)模は20年代に逆転する見通しだ。
◆世界シェア3割のRCEPに続き、対EU投資協(xié)定で合意
中國習(xí)近平政権は、世界最大の14億人の人口パワーと世界最大の消費(fèi)市場をテコに、コロナ禍による経済低迷にあえぐ世界各國を尻目に、國家資本主義と計(jì)畫経済を融合する、したたかで野心的な中長期戦略を?qū)g現(xiàn)しようとしている。
習(xí)近平戦略の第一弾が東アジア地域包括的経済連攜(RCEP)の締結(jié)だ。RCEPはGDP、貿(mào)易額ともに、世界の約3割を占める世界最大のFTA。加盟國のうち中國のGDPの割合は3分の1以上を占め、ほぼすべての加盟國にとって最大の貿(mào)易相手である。10~60%課せられている関稅が徐々にゼロ~數(shù)%に縮小するため、加盟國にとって対中輸出が増大するメリットは甚大だ。これは人口減少と潛在的成長率低下に陥っている日本にとっても同様である。
自由貿(mào)易圏の拡大は加盟各國の中國依存をさらに加速させる。米シンクタンクによると、RCEPの関稅削減の効果で世界の輸出額は2030年に現(xiàn)在より約5000億ドル(約55兆円)増える。その半分の2480億ドルは中國向けになるという。國際通貨危機(jī)(IMF)、経済協(xié)力開発機(jī)構(gòu)(OECD)などの経済成長率見通しによると、今年、20カ國?地域(G20)でコロナ感染からいち早く脫した中國だけがプラス成長(1.8%)を確保する。21年は中國の成長率は8.0%に拡大する見通しだ。
インドがRCEPから離脫したが、東南アジア各國は「地域の繁栄につながる」(マレーシア企業(yè)首脳)「関稅が引き下げられるのは大きい」(フィリピン企業(yè)幹部)などと早期の締結(jié)を促した。
日本の貿(mào)易総額に占めるFTAのカバー率は、RCEPの署名で8割近くに達(dá)する。一方でデジタルや人工知能(AI)、気候変動(dòng)など既存の協(xié)定で対応しきれない分野も増えている。ルールの構(gòu)築や更新に力を注ぐ必要があり、アジアで圧倒的な経済規(guī)模を持つ中國に向き合うとき、多國間の枠組みで関與することの重みは増している。
こうした中、中國と歐州連合(EU)は20年12月30日、投資協(xié)定を結(jié)ぶことで大筋合意した。世界2位と3位の経済規(guī)模を持つ國と地域の結(jié)び付きが一段と強(qiáng)まる。EU企業(yè)は中國市場への參入に弾みがつく一方、中國にとってもRCEPに続く大型協(xié)定で存在感を高める狙いがある。30日の中國?EUテレビ會(huì)議には中國から習(xí)近平國家主席、EUからミシェル大統(tǒng)領(lǐng)とフォンデアライエン歐州委員長、ドイツのメルケル首相、フランスのマクロン大統(tǒng)領(lǐng)らが出席した。習(xí)主席は「世界経済の回復(fù)をけん引し、グローバル貿(mào)易や投資の自由化を促す」と強(qiáng)調(diào)。同歐州委員長は聲明で「EUの中國との経済関係のバランスを取り戻すものだ」と訴えた。
大筋合意したのは「包括的投資協(xié)定」(CAI)。2021年1月20日に米國のバイデン次期政権が発足する前の駆け込み合意となった。新型コロナの打撃を受けた経済を再生させたいEUと、米國との対立の長期化をにらみ、獨(dú)自の経済圏づくりを急ぐ中國の思惑が一致した。
EUが発表した合意文書によると、EU企業(yè)の中國への參入制限が緩和される。例えば、自動(dòng)車産業(yè)では合弁會(huì)社の要件を段階的に廃止するほか、新エネルギー車の市場が開放される。私立病院事業(yè)の合弁要件が緩和されてEU企業(yè)が北京など主要都市に進(jìn)出できるようになる。また現(xiàn)在は禁止されているクラウドサービスへの參入が50%の株式取得を上限に認(rèn)められるという。
◆3期目へ「貧困ゼロ」豪語
習(xí)近平政権が特に注力するのは「脫貧困」。経済力を背景に「2020年末までに歴代のどの中國王朝も達(dá)成できなかった貧困ゼロを?qū)g現(xiàn)する」との公約を掲げ、達(dá)成を宣言した。政権幹部は「4億人を貧困から救済した」と豪語している。2021年に中國共産黨創(chuàng)建100周年を迎える共産黨の正統(tǒng)性の証(あかし)とすることを狙っている。22年に到來する習(xí)主席の2期目の任期も延長され、3期目に突入する見込みだ。
(つづく)
■筆者プロフィール:八牧浩行
1971年時(shí)事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務(wù)取締役編集局長等を歴任。この間、財(cái)界、大蔵省、日銀キャップを務(wù)めたほか、歐州、米國、アフリカ、中東、アジア諸國を取材。英國?サッチャー首相、中國?李鵬首相をはじめ多くの首脳と會(huì)見。東京都日中友好協(xié)會(huì)特任顧問。時(shí)事総合研究所客員研究員。著?共著に「中國危機(jī)ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外國為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。
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