01 中國の工業(yè)発展と廃水排出の現(xiàn)狀

中國の工業(yè)廃水の排出は、主に石油化學(xué)、石炭、製紙、冶金、繊維、製薬、食品およびその他の産業(yè)に集中している。なかでも、製紙と紙製品業(yè)の廃水排出量が製造業(yè)廃水総排出量の16．4％、化學(xué)原料?化學(xué)製品製造業(yè)が15．8％、石炭採掘?洗炭業(yè)が8．7％を占めている。中國政府は、工業(yè)廃水処理技術(shù)の研究、開発、応用を重視し、1970 年代以降、中國は科學(xué)研究機(jī)関、大學(xué)等に多くの人的資源、材料資源、財(cái)源を投入し工業(yè)廃水処理技術(shù)の研究と國民経済で比重が高まる廃水処理技術(shù)的問題の解決に注力している。

工業(yè)廃水処理力の強(qiáng)化と生態(tài)環(huán)境保護(hù)のために、中國政府の政策は、工業(yè)企業(yè)を比較的完全な廃水処理施設(shè)を備えた工業(yè)園區(qū)に移し、工業(yè)廃水の集中収集と統(tǒng)一処理を?qū)g施している。生態(tài)環(huán)境の現(xiàn)狀に関する公報(bào)データによると、2018 年、97．8％の各省が工業(yè)園區(qū)で集中型汚水処理施設(shè)を建設(shè)し、自動(dòng)オンライン監(jiān)視裝置を設(shè)置している。

革新的な生産技術(shù)、時(shí)代遅れの生産能力の排除、廃水のリサイクルの重視、単位製品の水消費(fèi)量の削減などの一連の措置が採用され、中國の工業(yè)廃水排出量は 2011 年以降年々減少している。「中國環(huán)境統(tǒng)計(jì)年鑑」のデータによると、2009 年の中國の工業(yè)廃水排出量は 234 億4000萬m3で、國全體の約 40％を占めた。2010 年の工業(yè)廃水排出量は 237 億5000萬m3で、その後、工業(yè)廃水排出量は下降期に入り、 2015 年の工業(yè)廃水排出量は 199億5000萬m3で、2017 年には 181億6000萬m3に減少し、全國の廃水排出量の 23．55％を占める。

「中國製造 2025」戦略の進(jìn)展に伴い、中國の工業(yè)生産技術(shù)は更新され、人々の物質(zhì)的および文化的ニーズを満たす工業(yè)製品は多様であるだけでなく、生産量も膨大となった。その結(jié)果、工業(yè)廃水は、水中の汚染物質(zhì)の新しい特性とタイプ及び処理難度の高い物となり、排出後は環(huán)境に対する危害と耐久性が増している。

02 中國の工業(yè)廃水の処理現(xiàn)狀

中國は工業(yè)廃水処理の分野で一連の工業(yè)廃水処理技術(shù)が研究開発され、実踐したことで、排出量は年々減少し、処理率も年々上昇している。しかし、工業(yè)廃水はタイプ數(shù)が多く、技術(shù)的要件が高いため、 管理が難しくなっており、そのため多くの問題が浮かび上がった。以下にその問題を要約する。

（1）一部の第 2 線都市と中小都市の工業(yè)廃水処理率は、依然として低いレベルにある。大都市中、特に特大都市は環(huán)境汚染の大きなプレッシャーにさらされており、管轄の政府部門は強(qiáng)力なイニシアチブと厳格な監(jiān)督により、廃水処理率とコンプライアンス率を高くしている。しかし、一部の第 2 線都市や一部の中小都市は、経済成長へのプレッシャーが高まっている。第 1 線都市の工業(yè)生産能力の移転に伴い、工業(yè)廃水汚染は徐々に中小都市にシフトし、汚染問題はますます顕著になっている、こうした背景から工業(yè)汚染解決への需要が高まっている。

各地の工業(yè)廃水処理施設(shè)への投資は非常にアンバランスである。投資は主に山東、江蘇、浙江などの経済的に発展し、水が豊富な沿岸地域に集中し、北東部と中西部へのプロジェクト投資は少ないと言う不均衡にある。特に、まだ工業(yè)園區(qū)に入っておらず分散する工業(yè)企業(yè)からの廃水排出は、効果的に処理されておらず、処理率を改善する必要がある。また、石油化學(xué)産業(yè)の洗浄生産ライン廃水、原油タンク沈殿高濃度塩分廃水、鋼冷間圧延冷卻剤などの廃水は、排出規(guī)制が弱いため、監(jiān)視も容易ではなく、さらに個(gè)々の企業(yè)の責(zé)任感が極めて少ないことから、一部の廃水は適性時(shí)間に効果的に処理されておらず、その排出と汚染は楽観できない。

（2）既存の汚水処理施設(shè)は負(fù)荷率が低く、排水基準(zhǔn)値達(dá)成率も低い。「水十條」対策の公布と政府の環(huán)境ガバナンスで、企業(yè)は規(guī)制により廃水処理施設(shè)を建設(shè)する必要が生じた。新規(guī)制でのほとんどの新規(guī)、拡張プロジェクトで廃水処理施設(shè)が整備されている。しかし、統(tǒng)計(jì)によると、2015 年の中國の工業(yè)廃水処理施設(shè)の平均負(fù)荷率は約 49．3％と負(fù)荷率は偏低している。廃水処理技術(shù)の研究に多額の投資をしている企業(yè)もあるが、排出基準(zhǔn)の改善や排出要件の改善により、運(yùn)営費(fèi)が大幅に増加し、企業(yè)の運(yùn)営意欲に大きな影響を與えている。

（3）工業(yè)園區(qū)の廃水処理プロセスは、適応性や運(yùn)用効率も低い。さまざまな企業(yè)の廃水は、通常、工業(yè)園區(qū)で集中処理施設(shè)に排出される前に一定の前処理がされる。経済的な理由から、生化學(xué)的処理プロセスが好ましく、pH、溫度、塩分、有毒物質(zhì)、難分解性汚染物質(zhì)などがある。生化學(xué)的処理ができない廃水の要因は、主に物理的および化學(xué)的処理プロセスを採用する。前処理後、工業(yè)園區(qū)の廃水処理施設(shè)に入る水質(zhì)指標(biāo)を満たさない廃水のほとんどは、生化學(xué)的方法で再処理される。工業(yè)園區(qū)內(nèi)の廃水処理施設(shè)に排出される廃水は、生物分解で処理される。汚染物質(zhì)は基本的にほぼ分解され、殘りの大部分は難分解性汚染物質(zhì)である。工業(yè)園區(qū)內(nèi)の廃水処理施設(shè)は主に生化學(xué)的処理プロセスで設(shè)計(jì)されており、処理効果は當(dāng)然良くない。これは企業(yè)と工業(yè)園區(qū)における汚水処理プロセス設(shè)計(jì)で統(tǒng)一された調(diào)整と最適化が欠如している。調(diào)査した工業(yè)園區(qū)內(nèi)の汚水処理事業(yè)では、流入 COD が約 200mg / L、処理水 COD が約 100mg /L であり、生化システムの除去率が約 50％である、上記の分析から得られた結(jié)論では、企業(yè)の廃水処理方法と工業(yè)園區(qū)の総合廃水処理方法は、計(jì)畫と全體的な最適化が不足しているため、非効率となっている。

（4）排出基準(zhǔn)と評(píng)価指標(biāo)は科學(xué)的合理性を欠いている。中國の工業(yè)廃水排出基準(zhǔn)には、主に「統(tǒng)合廃水排出基準(zhǔn)」（GB 8978）、「都市汚水水質(zhì)基準(zhǔn)に排出される汚水」（GB / T 31962）、工業(yè)排出基準(zhǔn)、地方または河川流域の排出基準(zhǔn)、および地方の環(huán)境保護(hù)機(jī)関が含まれている。管理監(jiān)督要件など國の総合排出基準(zhǔn)と業(yè)界排出基準(zhǔn)は相互実施しないという原則に従い、通常は現(xiàn)行の狀況下で厳格に施行されている。環(huán)境基準(zhǔn)制度の改善と排出水質(zhì)要件の段階的な改善により、一方で包括的な排出基準(zhǔn)を?qū)g施するシナリオが少なくなり、他方で個(gè)別の排出に関する業(yè)界の排出基準(zhǔn)または地方の基準(zhǔn)が増えている。

工業(yè)園區(qū)內(nèi)の企業(yè)は、都市下水に汚水水質(zhì)基準(zhǔn)で実施している。都市下水に排出される汚水に関する國家一級(jí) B 基準(zhǔn)と汚水総合排出 III 基準(zhǔn)は、どちらも二次汚水処理施設(shè)を備えた都市下水の水質(zhì)要件である。前者は業(yè)界標(biāo)準(zhǔn)に準(zhǔn)拠し、一部の業(yè)界の BOD5 指標(biāo)の緩和を除いて、優(yōu)先的に実施する必要がある。一般に、後者よりも要件が厳しく、アンモニア窒素、全窒素、溶解性総個(gè)體等要件が引き上げられている。溶解性総個(gè)體は 2000 mg / L 以下である必要があり、多くの産業(yè)における工業(yè)廃水の溶解性総個(gè)體は 2000mg / L を超えており、化學(xué)、冶金、食品、その他の産業(yè)などの一部の廃水は 10000 mg / L をさらに超えている。この要件によれば、溶解性総個(gè)體の合計(jì)は 2000 mg / L を超える事は不可で、達(dá)成するのは極めて困難である。また、規(guī)格で溶解性総個(gè)體の目標(biāo)値が提案されていても、実際の監(jiān)督管理?評(píng)価では、廃水排出口に溶解性総個(gè)體や導(dǎo)電率などのオンライン監(jiān)視裝置が設(shè)置されていること皆無である。さらに、業(yè)界標(biāo)準(zhǔn)に記載されていない一部の企業(yè)に対し、地域の環(huán)境保護(hù)部門は一般に厳しい條件を要求し、「都市廃水処理施設(shè)汚染物質(zhì)排出基準(zhǔn)」（GB18918）または「表流水質(zhì)基準(zhǔn)」（GB3838）を參照としる実施を要求している。

そのような慣行は、盲目的に高い基準(zhǔn)を追求し、適切性を欠き、主要で特徴的な汚染物質(zhì)の不十分な管理につながる。さらに、工業(yè)廃水は複雑な成分を含むことが多く、一部の成分はまだに不明なため、排出口のオンライン監(jiān)視機(jī)器に特定の干渉を引き起こし、データの精度に影響を與えることが頻繁にある。汚水処理施設(shè)の COD 基準(zhǔn)を満たしていることを確認(rèn)するために、一部のユニットはサンプリングの前にそれを追加している。特殊な酸化剤狀態(tài)では、有機(jī)物を酸化する能力は非常に弱く、COD除去には影響しないものの、サンプルがオンライン監(jiān)視裝置に入り、重クロム酸カリウム法を使用して CODを測定する、反応は強(qiáng)酸性條件下で進(jìn)行する。添加した酸化剤と有機(jī)物との反応は大きく、二クロム酸カリウムの消費(fèi)量は比較的少ないため、排水のCOD が大幅に減少しているように見える。環(huán)境への大きな被害を防ぐため、この現(xiàn)象の拡大を防ぐため、厳重な監(jiān)視と法執(zhí)行を行う必要がある。製薬、化學(xué)、その他の工業(yè)園區(qū)の汚水処理施設(shè)は、多くの場合、塩化物イオンの濃度が高いことが原因で、COD オンラインモニターは実際のデータを測定できないため、施設(shè)の運(yùn)用と監(jiān)視に一定の困難をもたらしている。

（5）技術(shù)の研究開発への投資不足が、技術(shù)の進(jìn)歩を遅らせている。中國における工業(yè)廃水処理の市場化程度は低く、技術(shù)を通じて市場での認(rèn)知を得るのは容易ではない。多くの環(huán)境保護(hù)企業(yè)は、技術(shù)研究開発を?qū)g施する動(dòng)機(jī)が不十分で、投資意欲が不十分であり、処理技術(shù)の進(jìn)歩は、工業(yè)廃水汚染防止の要件に遅れをとっている。多くの場合、新しいタイプの工業(yè)廃水処理のニーズが発生すると、現(xiàn)行処理技術(shù)では対応と実踐がされていな。ここ數(shù)年人目を引く高度な技術(shù)やプロセスなどは全く無く、獨(dú)自のハイテクを持つ大規(guī)模環(huán)境保護(hù)會(huì)社は少なく、既存の汚染防止技術(shù)のアップグレードは遅れている。主要な國家投資プロジェクトの研究資金は少なくないが、それらはすべて集中しており、一般の中小環(huán)境保護(hù)會(huì)社が申請(qǐng)することは難しい。化學(xué)工業(yè)やゴミ浸出液など、高濃度、高塩分、難分解性廃水の既存高度処理技術(shù)では解決されていない?，F(xiàn)有の処理技術(shù)は、多額の投資、高い運(yùn)用コスト、不十分な安定性で、このタイプの廃水処理には最適なソリューションとなっていない。

（6）工業(yè)廃水再生の総合利用率は高くない。 廃水は見當(dāng)違いの資源であり、中國政府は資源の利用率の改善をする必要性を繰り返し強(qiáng)調(diào)しているが、実際、中國の廃水のリサイクル率はまだ高くなく、先進(jìn)國の 70％のリサイクル率と比べると大きなギャップがある。その理由は、人々の水利用の概念が時(shí)代に追いついておらず、「淡水であれば問題ないが、再生水は問題がある」との認(rèn)識(shí)を持っている、第二に、中國政府は再生水重視を改善する必要がある。リサイクルを促進(jìn)するための一連の方針が発表されているが、効果的なインセンティブがないため、再生水を使用できる業(yè)界を明確に定義する必要がある。再生水の使用基準(zhǔn)をさらに細(xì)分化することが必要である?，F(xiàn)在は「都市汚水再生利用」系列の基準(zhǔn)のみである。工業(yè)企業(yè)の再利用基準(zhǔn)は業(yè)界によって大きく異なり、分類し法制化と管理を強(qiáng)化する必要がある。

03 工業(yè)廃水処理に求められる対策

工業(yè)廃水処理の過程における一連の問題に対応して、汚染物質(zhì)排出の単一濃度制御から濃度と総量制御の組み合わせへの変換を加速するために、汚染物質(zhì)排出の最終処理から完全プロセス制御への変換を加速し、大幅に削減することが迫られている。中國は廃水の生産と排出の強(qiáng)度について、「政策の優(yōu)先順位、発生源の防止、プロセス管理、最終処理、リサイクル、厳格な監(jiān)督、基準(zhǔn)に従った汚染排出」の戦略を策定する必要がある。

■筆者プロフィール：內(nèi)藤 康行

1950年生まれ。橫浜在住。中學(xué)生時(shí)代、図書館で「西遊記」を読後、中國に興味を持ち、臺(tái)灣で中國語を?qū)Wぶ。以來40年近く中國との関わりを持ち現(xiàn)在に至る。中國の環(huán)境全般と環(huán)境（水、大気、土壌）に関わるビジネスを?qū)熼Tとするコンサルタント、中國環(huán)境事情リサーチャーとして情報(bào)を発信している。著書に「中國水ビジネス市場における水ビジネスメジャーの現(xiàn)狀」（用水と廃水2016?9）、「中國水ビジネス産業(yè)の現(xiàn)狀と今後の方向性」（用水と廃水2016?3）、「中國の農(nóng)村汚染の現(xiàn)狀と対策」（CWR定期レポ）など。