2014年4月20日、中國(guó)で活躍している俳優(yōu)?矢野浩二が日本人が中國(guó)で活動(dòng)する意味についてつづっている。

【その他の寫(xiě)真】

現(xiàn)在中國(guó)で公開(kāi)中の映畫(huà)「最佳嫌疑人」では、私はドジでまぬけな日本人のキャラクターを演じている。悪のイメージとはかけ離れた、ユーモアのある日本人キャラクターだ。

しかしこのような日本人のキャラクターは中國(guó)では多くはない。日本人の役はほとんどが軍人で悪役が多い。そういう中で人間としてきちんと描寫(xiě)されている役やユーモア性のある日本人の役だけを模索してくのは大変だ。そういう役は決して多くないからだ。ここでステレオタイプの日本軍人役ばかりを追及したら、いくらでも仕事はあると思う。でも、そういう役ばかり演じていては、役者としてプラスにはならない。

私は2006年以降から、新しい役を模索するよう方向転換をした。覚悟がいる決斷であったが、常に挑戦することが自分を成長(zhǎng)させるという思いがあったので、その気持ちのまま前へ進(jìn)んだ。

それまでステレオタイプばかり演じていた。そういう境遇にいる自分に「これでいいのか？」という葛藤、矛盾そして疑問(wèn)を感じた。それに悩み苦しみ、ある監(jiān)督の前で辛さのあまり自分のその苦痛や弱みを涙を流して露呈したこともあった。弱みを人に出したことによってすぐに決心がついた。心のどん底から吹っ切れた。それ以降、コメディーの役や現(xiàn)代ドラマの會(huì)社社長(zhǎng)役など多彩な役を挑戦することができた。軍人の役でも以前のような血も涙もない勧善懲悪な日本軍人ではなく、心の中で葛藤、矛盾を抱いている軍人の役を演じるようになった。

すべてではないが、中國(guó)の中年層以上の人たちが「日本」や「日本人」と聞いて連想するのは悲しいかな「戦爭(zhēng)」「日本鬼子」というイメージが多い。役者が頑張ってこのイメージを払拭するなどと途方もない理想を掲げるつもりは毛頭ない。ただ自分が演じる日本人によってこういう日本人もいるんだという日本人に対する新しい印象を感じてくれる中國(guó)人が1人でも増えればという小さな願(yuàn)いは持っている。そしてそういう日本人の思いを役を通して伝えていければと思う。

昨年、ドラマ「烽火雙雄」で演じたのは、日本人の弱い部分を描寫(xiě)した役。今までの中國(guó)ドラマにあまりなかったタイプかもしれない。戦爭(zhēng)時(shí)代のドラマであるが、日本人であろうが、中國(guó)人であろうが、人を傷つけたくない、そういう人物。武器を一切持たないそんな弱い人物を演じた。

この作品は年內(nèi)、検閲が順調(diào)に通れば放送されるが、あまりにも人間的に描かれている日本人の役なので、正直放送されるか少し心配だ（笑）。願(yuàn)わくば放送されて欲しいが。

話(huà)を戻して、弱さをいかにして表現(xiàn)するか。現(xiàn)実も架空の世界も、そこが大事だと思う。弱さを自ら露呈すれば何も怖いものはない。中國(guó)では、そういう弱さを自ら見(jiàn)せるというのは御法度とされている部分もあるかもしれない。だからこそ、そういう態(tài)度を見(jiàn)せていくことが大事になってくると思う。

弱さを自らさらけ出すことが真の強(qiáng)さであると、私はそう信じている。今後中國(guó)の映像界でも、弱さの中に見(jiàn)える強(qiáng)さが垣間見(jiàn)られるそういう日本人の役が増えればと願(yuàn)うばかりだ。

●矢野浩二（やの?こうじ）

バーテンダー、俳優(yōu)の運(yùn)転手兼付き人を経てTVドラマのエキストラに。2000年、中國(guó)ドラマ「永遠(yuǎn)の戀人（原題：永恒戀人）」に出演し、翌年に渡中。中國(guó)現(xiàn)地のドラマや映畫(huà)に多數(shù)出演するほか、トップ人気のバラエティー番組「天天向上」レギュラーを務(wù)める?，F(xiàn)在、中國(guó)で最も有名な日本人俳優(yōu)。2011年、中國(guó)共産黨機(jī)関紙?人民日?qǐng)?bào)傘下の「環(huán)球時(shí)報(bào)」主催「2010 Awards of the year」で最優(yōu)秀外國(guó)人俳優(yōu)賞を日本人として初受賞。中國(guó)での活動(dòng)10年となる同年10月、自敘伝「大陸俳優(yōu) 中國(guó)に愛(ài)された男」（ヨシモトブックス）を出版。