<コラム>中國人が引っ越したい國ランキング、日本は何位?

大串 富史    2021年2月12日(金) 10時20分

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「中國國際移民報告2020」ブルーブック?!钢袊螄H移民の流出先は主要三カ國である米國?日本?カナダ」とあり、「中國人が引っ越したい國人気ランキング」に大きな変動が生じ、日本は2位となった。

最近「世界の引っ越したい國人気ランキング、日本は2位、1位は…| ニューズウィーク日本版」という記事を読んで、ちょっと気になってしまった。

一體何が気になったのか。それは中國人が引っ越したい國人気ランキングで、日本は一體何位なのかということである。

3年前であれば、答えは非常に明快だ?!钢袊摔巳藲荬我泼裣?、トップはこの國-米華字メディア|レコードチャイナ」という記事にもあるように、2018年時點では中國人が引っ越したい國人気ランキング1位は米國(79%)、2位はカナダ(25%)、3位はオーストラリア(15%)と続く。

一方でこの記事にある「中國の民間シンクタンク胡潤研究院」の「2018胡潤中國投資移民白書」を見ると、1位は米國、2位は英國、3位はアイルランド、4位はカナダ、5位はオーストラリア、6位はギリシャ、7位はポルトガル、8位はスペイン、9位はマルタ、10位はキプロスとある。

だから數(shù)年前であれば、日本はベスト3でもベスト10でもない。簡単な話をすれば、移民を「投資」の一手段とみなす中國人にとって、日本はあまり魅力的な國ではなかった。

ところが「日本で暮らす中國人が増え続けるのはなぜ?『日本にはたくさんの魅力』=中國メディア|サーチナ」(2019年)や「『移住先は間違いなく日本』そのわけは=中國メディア|サーチナ」(2020年)また「多くの中國人が考える『移住するならやっぱり日本…』その理由は=中國メディア」(2020年)という記事を見つけてしまった。

最初の記事には「日本人は他人に迷惑をかけることを避けると同時に他人を尊重するゆえ、中國よりも生活していて心地良いのは事実」「日本は工業(yè)の発達している國であるが青空が広がっていて、中國のように常にスモッグがかかっているわけではないことや、治安が良いことを紹介」「最も大きな理由は日本の福利厚生が良いことにある」「日本では義務(wù)教育が無料で受けられることや、保険制度が完備されているため進んだ醫(yī)療を安く受けられることは、大きな魅力となっている」とある。まあ、その通りではある。

次の記事によると「中國人にとって同じアジアの國である日本の文化は比較的なじみやすい」「日本には漢字が使われており一目見ただけで意味が伝わることも多い」「日本には中國人も多く本格的な中華料理店も多く、食べなれた食事をすることもできる。場合によっては日本在住の中國人とも交流でき、ホームシック問題は少ないはず」「日本にも中華街があり中華食材は何でも入手することができる」とのこと。まあ、そんな風に考えてしまうのは分からなくもない。

最後の記事では「日本と中國の文化は近く、しかも文化レベルが高い」「日本では誰でも平等に接する文化があるため、人種差別がない」「日本では簡単な日本語會話ができれば、生活の面で差別を受けることはほぼない」「日本人は民度が高く、助け合いの精神があることも日本での生活がより快適だと感じる理由の一つ」「中國國內(nèi)で移住した場合、広い國土を持つ中國ではどこでも長距離の移動が必要。その點、飛行機で移動する必要があるなら、日本に移住しても距離は変わらない」「日本は高齢者が多く、そのためのサービスもインフラも行き屆いている。醫(yī)療や福祉も発達しており、高齢者も安心して過ごすことができる」「超高齢化社會に向け加速している日本に、さらに國外から高齢者が移住してくる可能性がある」とあった。おうおう、そう來たか。

上述の全くもってその通りである部分もそうでない部分もひっくるめて、ここ數(shù)年で日本の人気が急上昇し、中國人が引っ越したい國人気ランキングに変動が生じているのか?と思い、さっそく百度してみる。

だが、いくら探しても何もそれらしいものが引っかからない。その代わりに「引っ越したい國人気ランキング最後尾の日本、いかにして外國人を逃げ去らせているか|個人図書館」(2021年1月25日付)という記事に行き著いた。それでこの中國語の記事をざっと訳してご紹介したい。

「全世界で宣伝されている日本文化の真相を一目見ようと日本に來る旅行客は失望を味わうことなく、世界最高水準と言われる日本の衛(wèi)生およびサービス精神にどの國の旅行客も素晴らしいひと時を過ごし、帰ることも忘れ、帰れば日本の素晴らしさを躍起になって宣伝する」

「そんな日本ではあるが、旅行観光の対象國として大歓迎されているのみで、移民先としては人気があるようには見受けられない」

「二重の最後尾:英金融企業(yè)のHSBCホールディングスによる外國人が働きたい國ランキングのアンケート調(diào)査で、日本は外國人高學(xué)歴者が働きたいと思う國の最下位から2番目(32位)だった。歐米人によるアジア11カ國の就業(yè)移民希望先として、日本はやはり最下位(11位)だった」

「仕事時間の長さで仕事を選ぶ日本の若者たち:非常に驚くべきこととして、日本には休みも殘業(yè)代もあるホワイト企業(yè)と、かわいそうな社畜がしまいには過労死するブラック企業(yè)とがある。日本社會の不思議な點は、そんなブラック企業(yè)を容易に辭められないことにある。『信用社會』とも稱される日本において、辭めた後に『責任感の欠けた使い物にならない人間』とみなされた中途退職者は新卒者とは異なり、基本的に仕事にありつけずホームレスになるしかない」

「新卒者である大學(xué)生らも戦々恐々で、試用期間が始まったなら『調(diào)査』が入る。そんなブラック企業(yè)に入ってしまわないようにと、彼らはなんと夜中の3時に電話をかけて誰も出ないかどうかを確かめるのだが、殘念なことに10社中恐らく8社が電話に出る」

「つまり求人広告通りの就業(yè)時間の會社というのは本當に稀で、これは歐米人からすれば耐え難い地獄である」

「外國人労働者は『消耗品』?:日本の企業(yè)は外國人の目から見ると、非常に閉鎖的で、歓迎されていない感じがする。人種差別や偏見、性差別、いじめがあり、排斥的で外國人嫌いだ。また、外國人スタッフに対して、職業(yè)保障、報酬、訓(xùn)練、キャリア昇進の機會などをほとんど與えない。そして、外國人は常に『二流の消耗品』の扱いを受ける。そして、給與は日本の生活コストを考えると、その他の発展途上國にも劣るレベルだ(原文ママ)」

「『身內(nèi)』ではない外國人労働者は冷たいあしらいを受け、しまいにはパワハラを受けるが、これはチームとして働けない日本人でも同じだから、まして外國人はなおさらだ。日本企業(yè)のチームの『身內(nèi)』の雰囲気は良好だが、『身內(nèi)』でない、あるいは異質(zhì)であるとみなされた人間が歓迎されることはない」

「これは技能実習生を見れば分かる。日本は少子高齢化で人手不足だから外國の労働力を引き入れているが、技能実習生としてわが國(中國)や東南アジア諸國を?qū)澫螭说退疁胜蝿簝P力を引き入れ、企業(yè)で実習させる一方で技能と日本語を?qū)Wばせ、最終的に試験に受かれば日本で生活する正社員となれる。とはいえブラック企業(yè)が技能実習生を社畜とし搾り取ったという報道が無數(shù)にある」

「もともと自國で高等教育を受けられず、自らの命運を変えるべく日本行きの飛行機に乗り込んだ彼らは、日本に著いてから晝夜問わずの殘業(yè)と強奪とに直面する。これは確かに現(xiàn)代の奴隷制度であろう」

「こんなことが起きれば、外國人は自然と『日本企業(yè)はどこも竜淵虎穴(極めて危険な場所)』であるとの印象を持つことだろう。往々にしてそうだから、日本企業(yè)に対し一定の認識がある人は一般的に日本企業(yè)に就職しないし、何も知らずに入り込んでしまった人は身をもってそのつらさを知ることになる」

「最後に日本企業(yè)の給與と日本での生活費について。東京でワンルームを借りれば最低月7~8萬は必要で、交通費は安くても月1萬円、光熱費も大體月1萬円、通信費も1萬円、食費は毎日2000円だとして月6萬円前後、合計1カ月に17~18萬円。これは他に何も買わなかったらの話で、普通のサラリーマンの初任給は20萬円ちょっと、外國人ならもっと少ないかもしれず、こんな生活狀況に直面するのだから、故郷で悠々自適だった外國人なら自然と『わざわざけがをしたくない』と思うだろう」

これは一體どういうことなのか。上述の全くもってその通りである部分もそうでない部分も、ネット上の文字情報は日中間でほぼ共有されているということに他ならない。というか、すべて筒抜けなのである。

前のコラムでも書いたが、あの有名な「バベルの混亂」よろしく、恐らくはどの言語であっても「話す」ことと「聞く」ことは大多數(shù)の「外國人」にとって非常に難しい。脳の言語領(lǐng)域のシナプスを一瞬にして形成するなどという神業(yè)は、文字通り奇跡の領(lǐng)域である。

ところが人類史が數(shù)千年経過し、「書く」ことと「読む」ことにより情報がそれなり蓄積?共有されていき、交通手段の発達により國際間交流が以前より容易になり、ここ數(shù)十年の間にインターネットで世界中が結(jié)び合わされ、文字情報の共有が相応に達成された結(jié)果、今では上述のような中國語の記事を中國の人々が読めるようになっている。

加えて中國では、日本語學(xué)習者がすでに100萬人に達している。世界の日本語學(xué)習者の4人に1人は中國人というこのご時世にあって、十分と言うにはまだほど遠いものの、中國人の日本語學(xué)習と日本人の中國語學(xué)習による日中両國の相互理解の程度は過去最高レベルにある。

そんな中で「世界の引っ越したい國人気ランキング2位」を見事獲得した日本を、日本人の一人としてまず素直に喜びたい。何事も筒抜けな現(xiàn)代社會における日本の第一印象的な評判は、國際的にはそれほど悪くないらしい。

その一方で実際の「引っ越し」つまり外國人の移住については、日本の外國人住民の30%すなわち3人に1人弱が中國人(と臺灣人)で最多を占めているという點をかんがみ、中國人の日本語學(xué)習と日本人の中國語學(xué)習による日中両國の相互理解を引き続き深めるのがよろしかろう。

それはなぜか。全世界で移民數(shù)3位の中國人移民1100萬人のうち、76萬人余りが移民先として日本を選んだ。10人中1人に満たないが、それでも日本の外國人住民の中ではダントツである。

一方で移民國家として知られるインド(1800萬人)、メキシコ(1200萬人)、ロシア(1000萬人)、シリア-アラブ共和國(800萬人)のほとんどの人は、移民先として日本を選んでいない。

日本にいる外國人というのは実際のところ、法務(wù)省の2020年12月の在留外國人統(tǒng)計によると、中國人(78萬6830人)、韓國人(43萬5459人)、ベトナム人(42萬415人)、フィリピン人(28萬2023人)、ブラジル人(21萬1178人)らであって、日本が「世界の引っ越したい國人気ランキング2位」を獲得した今もそれは変わらない。

それで最後に、このコラムの推敲がてら関連記事を再度ググってみると、なんと「中國だけでなく世界の人びとが日本に移住したいと考える理由|サーチナ」という記事が數(shù)日前に出ているではないか。

しかも「中國の移民に関する報告書でも日本が中國人にとって2番めの移民目的國であることが示された」って、なんだ中國でも2位だったんですね。

すべて筒抜けで「どこも竜淵虎穴」だとご存知なのに、それでもおいでになりたいとは。數(shù)年前とはえらい違いだなーともう少し百度して、ついに中國語の元ソースを見つけてしまう。

題して「『中國國際移民報告2020』ブルーブック刊行-日本は第二の移民目的國となる | 捜狗」(2021年1月18日付)。ちなみにブルーブックというのは、國會または政府の報告書のこと。

「『中國國際移民報告2020』を根拠に得られるのは、中國の國際移民の流出先は主要三カ國である米國?日本?カナダであり、これらの國はおしなべて世界でも発展した國家として國際的に認められている?!?/p>

この記事は続いて、日本の法務(wù)省による「高度人材ポイント制による出入國管理上の優(yōu)遇制度」を紹介。うーん、さすがです。

こちらのお國はどうやら、もうスタンバイしている。そちらのお國もどうやら、準備萬端だ。さて皆さんは、どうでしたか?

■筆者プロフィール:大串 富史

本業(yè)はITなんでも屋なフリーライター。各種メディアでゴーストライターをするかたわら、中國?北京に8年間、中國?青島に3年間滯在。中國人の妻の助けと支えのもと新HSK6級を取得後は、共にネット留學(xué)を旨とする「長城中國語」にて中國語また日本語を教えつつ日中中日翻訳にもたずさわる。中國?中國人?中國語學(xué)習?中國ビジネスの真相を日本に紹介するコラムを執(zhí)筆中。

関連サイト「長城中國語」はこちら

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