中國(guó)の學(xué)校の冬休みは長(zhǎng)い。今年の北京大學(xué)の冬休みは28日、清華大學(xué)は35日だそうだが、公立小學(xué)校の1年生である僕ら日中のハーフの娘も37日の自宅學(xué)習(xí)の時(shí)期に突入した。

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これは日本の學(xué)校の夏休みにほぼ相當(dāng)する。日本では4月から7月末にかけて4カ月弱の學(xué)校の授業(yè)の後に1カ月強(qiáng)の夏休みがあるからだ。一方中國(guó)では9月から1月末にかけて5カ月弱の授業(yè)の後に1カ月強(qiáng)の冬休みがある。

それで學(xué)校からウィーチャット（中國(guó)版LINE）で冬休みの宿題が通知された。

宿題その1：三字経「育人篇」（全部）、「歴史篇」（一部）、「勤學(xué)篇」（一部）を暗記暗唱

「三字経」というのは「伝統(tǒng)的な中國(guó)の初學(xué)者用の學(xué)習(xí)書」のことで、「3文字で1句とし、偶數(shù)句末で韻を踏」み、「平明な文章で、學(xué)習(xí)の重要さや儒教の基本的な徳目?経典の概要?一般常識(shí)?中國(guó)の歴史などを盛り込んでいる」。

學(xué)校からの冬休み宿題一覧によれば、これを2月18日から20日までの3日間で集中的に暗記暗唱することになっているが、それはとても無(wú)理そうなので、冬休みの開(kāi)始と同時(shí)に中國(guó)人の僕の妻が娘につきっきりで教えることになる。

ちなみにこの冬休み宿題一覧で2月11日から2月17日までの春節(jié)前後は、家族団欒を想定し宿題ゼロである（春節(jié)期間中は子どもはともかく親が親族の接待やら親睦やらでほぼ何もできない）。

宿題その2：課題図書5冊(cè)（余力のある生徒は7冊(cè)）

5冊(cè)の課題図書とは「子供の詩(shī)の園（A Child’s Garden of Verses）」「蝶と豌豆（エンドウ）の花」「百歳童謡（全5巻）」「父さんギツネバンザイ（Fantastic Mr Fox）」「漢字王國(guó)の物語(yǔ)（全4巻）」の5冊(cè)である。

幸いなことに最初の本以外はすべてピンイン（日本のフリガナに相當(dāng)する中國(guó)語(yǔ)の発音記號(hào)）がふってあるため、最初の本以外は娘が自分で寢る前に読むことができる（小學(xué)校の入學(xué)と共にピンインの徹底的な教育が行われる）。とはいえ家族の日々の読書の計(jì)畫や僕との日本語(yǔ)の勉強(qiáng)もあるため余力はなく、後の2冊(cè)は見(jiàn)送らせていただく。

宿題その3：家事手伝い

自分の身の回りの世話、自分の部屋の片付け、掃除や皿洗いをしたり、一緒に買い物に行って絵入りの買い物リスト（名前と絵と費(fèi)用を記入）を作る。社區(qū)（日本の自治會(huì)のようなもの）のボランティア活動(dòng)に加わるか節(jié)水を呼び掛ける。

部屋の片付けをはじめ自分の世話を自分でするというのは日本人の僕的には大賛成なのだが（中國(guó)では食事の時(shí)にエビの殻を自分で剝けない子供が大多數(shù)というのがニュースになるぐらい祖父母や親が子供の身の回りの世話をする）、掃除や皿洗いはまあ事始め程度である。節(jié)水の呼び掛けのサインを浴室に掲げたりもする。

宿題その4：工作と絵畫

全家福つまり家族全員がそろった絵を描くという課題は分かるが、丑年にちなんで金の牛を粘土で作ってくださいというのはさすがにその通りにはできかねたので、紙粘土で普通の牛を作る。中國(guó)の伝統(tǒng)工蕓の一つである切り絵の課題などもある。

宿題その5：體育

中國(guó)にも日本と同じようなラジオ體操があるので、中國(guó)人の妻と共に體操。

宿題その6：植物観察

植えた植物に水をやり、芽が出るのを観察する。ほぼ真冬の1カ月のうちに花を咲かせなさいというような要求はもちろんなく、芽が出た時(shí)點(diǎn)で終了。

宿題その7：算數(shù)

小學(xué)校入學(xué)後に毎日のように數(shù)學(xué)（中國(guó)では小學(xué)校の算數(shù)を「數(shù)學(xué)」と呼ぶ）のプリントが宿題で出ていたので、日數(shù)からして少なくとも30枚程度は覚悟していたところ、自分で創(chuàng)意工夫して「數(shù)學(xué)絵本」を創(chuàng)作してくださいとのこと。

こう列挙してみると、これはもしかしたら中國(guó)式ゆとり教育なのでは？と思われた日本の読者の方がおられるかもしれない。というのも最近、「多すぎる中國(guó)の『宿題』、親にプレッシャー 政府も対応に乗り出す｜47NEWS」という記事の中で、中國(guó)の宿題事情がかなり詳しく報(bào)道されたばかりだからだ。

「人工知能を利用した小中學(xué)生向けの教育プラットフォームの『阿丹題』が発表した『中國(guó)小中學(xué)校宿題圧力報(bào)告』によると、中國(guó)では9割以上の小中學(xué)生の親が子どもの宿題に付き添ったことがあり、78％が毎日つきっきりで指導(dǎo)や添削などを行っている」というのはその通りで、ごくたまに宿題がないとこちらの方が逆に拍子抜けしてしまう。

「中國(guó)國(guó)內(nèi)の小中學(xué)生が宿題に要する時(shí)間は一日平均で2．8時(shí)間と世界一長(zhǎng)い。これは日本（0．76時(shí)間）の3．7倍に相當(dāng)する。その背景には、小學(xué)低學(xué)年からテストで良い點(diǎn)數(shù)を獲得する能力の養(yǎng)成が重視されていることがある。日本であれば、進(jìn)學(xué)塾などでやる內(nèi)容を?qū)W校で消化するので、宿題が増えてしまうのだ。」

「『中國(guó)小中學(xué)校宿題圧力報(bào)告』では、中國(guó)の教師が1週間におよそ54時(shí)間も働いていることも明らかになっている。長(zhǎng)時(shí)間に及ぶ労働時(shí)間の約4割を『宿題の添削』に使っている。先生からすると、作業(yè)量が多すぎるので親に頼らざるを得ない（つまり親が添削済みの宿題を先生が見(jiàn)る）という事情もある?！?/p>

「強(qiáng)い向上心と心配性が『同居』している1970年代から80年代生まれの親ならではの高い教育熱も影響している?！?/p>

この記事は日本の読者向けにこの中國(guó)の教育環(huán)境を「いびつとも言える現(xiàn)狀」と形容しているのだが、小學(xué)校1年生にして定期テストのための小テストが毎週のようにあり、教室の前に成績(jī)優(yōu)秀者が10人前後呼ばれてパチリと寫真を撮られ、ウィーチャットでクラスの父兄チャットグループに送信されるのだから、當(dāng)の子どもたちも父兄も待ったなしである。

それでどうなるかというと、親子ともに多大のプレッシャーが生じる。「『（小學(xué)生の）子どもの宿題の付き添いは本當(dāng)に辛抱できない』『子どもを怒鳴らない家なんてないわよ。うちのマンションでも下の階から毎日のように母親に怒鳴られて泣き叫ぶ子どもの聲が聞こえてくるわよ。この前なんて夜の11時(shí)に爆発していたわ』『今、夫が中學(xué)2年になる息子の宿題を見(jiàn)ているけど、また大聲で怒っている』」という狀況が、中國(guó)では日常茶飯事なのである。

どうしてそうなってしまうのか?！钢袊?guó)青少年研究センター少年児童研究所の孫宏艶所長(zhǎng)は『（親が宿題指導(dǎo)で怒鳴ってしまう）根本の原因は競(jìng)爭(zhēng)と評(píng)価システムがつくり出している』と指摘する。中國(guó)社會(huì)には激しすぎる競(jìng)爭(zhēng)圧力が厳然と存在する。その中で自分の子どもにだけは生き殘ってもらいたいと焦る親心が、宿題の際の怒鳴る聲を生んでいるのかもしれない?！核揞}問(wèn)題』の根は深い」

ここで日本人の読者の皆さんのため少し説明を加えると、「中國(guó)社會(huì)には激しすぎる競(jìng)爭(zhēng)圧力が厳然と存在する」ものの、弱者にはある意味でやさしい。

たとえば日本でホームレスになってしまった場(chǎng)合、衣食住はかろうじてなんとかなるかもしれないが、社會(huì)全體から日々蔑視されるのみならず、時(shí)には通報(bào)されたり襲撃されたりする恐れもあろう。

だが中國(guó)のホームレスは日本ほど衣食住のあてはないものの、社會(huì)全體から日々蔑視されたり通報(bào)されたり襲撃されたりすることがない。

警察も市民もそんなことにかまけている時(shí)間的余裕はないし、そもそも物乞いを生業(yè)とする一群の人々がいたり、そうでなくても生活に困って一時(shí)的にしろ常習(xí)的にしろレストランで客の食べ殘しの殘飯漁りをする（しかも結(jié)構(gòu)普通の恰好をしている）人などがいたりする。

だが自分や自分の子供がホームレスや物乞いや殘飯漁りに転落してしまうなどということは普通の中國(guó)人であれば當(dāng)然耐えられないから、中國(guó)語(yǔ)でよく言われる、不能輸在人生的起跑線上（「人生のスタートラインで負(fù)けてはいけない」）となる。

つまり小學(xué)校で宿題をやらない（やれない）などということは許されざることで、あなた人生のスタートラインで転落してもいいの？となってしまうのである。

それでこの機(jī)會(huì)に、脫ゆとり教育の今の日本はどうなのだろう？と思ってググり、絶句した。

その現(xiàn)狀は日本で普通に報(bào)道されているようだから、ここに再掲するまでもない。僕らとしてはこの機(jī)會(huì)に、日本の父兄と子弟の皆さんすべてに、ご挨拶と熱いエールとをお送りしたい。

ところで先の記事は続けて言う?！钢袊?guó)政府も動(dòng)き出している。2020年12月に開(kāi)いた會(huì)見(jiàn)で中國(guó)教育省は過(guò)去5年の義務(wù)教育事業(yè)についての評(píng)価を発表した。その中で同省は「教師が保護(hù)者に対して宿題の完成や添削を要求する違反行為に対しては厳格に対処する」と表明して、『宿題問(wèn)題』への関與を強(qiáng)める姿勢(shì)を示した?！?/p>

「19年6月に公表した『教育教學(xué)改革の深化と義務(wù)教育の質(zhì)向上に関する意見(jiàn)』の中で政府は『學(xué)生の宿題が親の宿題化すること。または、親に宿題の添削などを求める行為を根絶する』などと記して、親が子どもの宿題を手伝うことを禁止した?！?/p>

僕らはどうやら、中國(guó)の「教育教學(xué)改革」のちょうどはざまの時(shí)期に娘を小學(xué)校に行かせることになったようだ。

もちろん、中國(guó)の子供たちへの學(xué)業(yè)面でのプレッシャーはいまだ大きい。日本の中高生の課外活動(dòng)を描いた日本の漫畫やアニメは中國(guó)の彼らにとってあり得ない世界である。なぜなら來(lái)たる高考つまり大學(xué)入試まで延々と続く宿題漬けでそれどころではない。とはいえ、逆のベクトルも働き始めている。

その結(jié)果なのだろうか。中國(guó)の小學(xué)校1年生の娘の冬休みの宿題が多いとはいえ多すぎず、正直助かっている。父親である在中日本人な僕へのプレッシャーも、まあ普通である。

中國(guó)人の妻がつきっきりで娘の宿題を見(jiàn)る一方、僕は僕で日本語(yǔ)オンラインレッスンの合間をぬって掃除洗濯洗い物をし、必要なら食事も準(zhǔn)備する。妻は娘のために夜の中國(guó)語(yǔ)オンラインレッスンをできる限り早朝のレッスンに移し、僕もレッスンがなく手が空いていれば娘の相手をして寢かしつけ、家族で毎日読書をし、娘の日本語(yǔ)のレッスンをする。

成績(jī)優(yōu)秀者の「パチリ」の中に毎回のように娘が連なっているのを見(jiàn)るにつけ、妻を愛(ài)し感謝せずにはいられない。とはいえ當(dāng)然のことながら、母子のプレッシャーは相応である。

誰(shuí)もがプレッシャーを感じることのないような世界が、早々に実現(xiàn)すれば一番いいのだが。

今のところ「逃れ道」また「出口」があることに感謝しているものの、來(lái)る中國(guó)の夏休みは小學(xué)校でも丸々2カ月で日本の大學(xué)並みの長(zhǎng)さだし、別コラムでご紹介予定の算數(shù)の中華式スパルタ教育もまだまだ始まったばかりだ。

僕ら父兄と子弟が中國(guó)でも日本でも「宿題問(wèn)題」というプレッシャーのただ中にあって、それぞれ何らかの「逃れ道」また「出口」が設(shè)けられるよう、ただただ願(yuàn)うばかりである。

■筆者プロフィール：大串 富史

本業(yè)はITなんでも屋なフリーライター。各種メディアでゴーストライターをするかたわら、中國(guó)?北京に8年間、中國(guó)?青島に3年間滯在。中國(guó)人の妻の助けと支えのもと新HSK6級(jí)を取得後は、共にネット留學(xué)を旨とする「長(zhǎng)城中國(guó)語(yǔ)」にて中國(guó)語(yǔ)また日本語(yǔ)を教えつつ日中中日翻訳にもたずさわる。中國(guó)?中國(guó)人?中國(guó)語(yǔ)學(xué)習(xí)?中國(guó)ビジネスの真相を日本に紹介するコラムを執(zhí)筆中。

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