松野豊 2021年4月16日(金) 7時(shí)50分
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ここまで日本と中國の貿(mào)易品目の分析等を通じて、日本の中國依存度をマクロにとらえてみた。現(xiàn)時(shí)點(diǎn)で日本経済のいわゆる「中國リスク」としてとりあげるべき要因としては、大きく3つが考えられるだろう。資料寫真。
ここまで日本と中國の貿(mào)易品目の分析等を通じて、日本の中國依存度をマクロにとらえてみた?,F(xiàn)時(shí)點(diǎn)で日本経済のいわゆる「中國リスク」としてとりあげるべき要因としては、大きく以下の3つが考えられるだろう。こうした要因は、主に世界における政治経済的なポリティクスによって顕在化していく。なお本稿では、主に製造業(yè)を中心に論じている。
「中國リスク」
1.中國が日本からの「中間財(cái)」調(diào)達(dá)を減少させる。
2.中國が日本への原料品や原料製品の輸出に制限を加える。
3.日本から中國への技術(shù)輸出が制限される。
1については前回までに示したように、日本と中國の間には、「日本(中間財(cái))→中國(消費(fèi)財(cái))→米國?EU」という構(gòu)図の國際分業(yè)が存在する。そして何らかの要因で中國が日本からの中間財(cái)輸入を意図的に減少しようとしたとき、この分業(yè)バランスは崩れる。
このリスクが生じるのは、中國が日本以外から同等の中間財(cái)を輸入できるか、もしくは自國生産が可能になるケースである。実は近年、中國が日本から輸入する中間財(cái)はあまり増加していないにも関わらず、中國から米國?EUへの最終財(cái)輸出は大きく伸びている。
このことは、マクロ的にみれば、中國が最終製品組立に必要な部品や素材などの中間財(cái)を既に自國で生産できる、もしくは國內(nèi)にある外資企業(yè)から調(diào)達(dá)できるようになってきていることを示している可能性がある。
この場合は中國リスクというより、日本の産業(yè)競爭力低下に関する問題にもなる。いずれにしろ1のリスクを回避するためには、日本は中國との間の國際分業(yè)を中國にとっても不可欠なものに更新していく必要がある。
中國は、先の全人代(全國人民代表大會(huì))で採択した「第十四次五か年計(jì)畫」においては、従來までの量を追う経済成長から質(zhì)的?効率的な成長へシフトさせることを明確にしている。ここでいう質(zhì)的な成長とは、例えば各産業(yè)が「付加価値」を高めることによって生産性向上等により経済成長をしていくことを意味する。
付加価値向上を目指す中國の製造業(yè)に対し、日本企業(yè)が提供できるものとしては、例えば工場のFA機(jī)器や製造ライン設(shè)備などの製造設(shè)備?機(jī)器が挙げられる。これらは現(xiàn)在でも対中ビジネスの主力の一部ではあるが、中國製造業(yè)の自國生産拡大指向を商機(jī)と捉えれば、これらの輸出が新たな日中産業(yè)補(bǔ)完の形成に繋げられる可能性がありそうだ。
2のリスク、すなわち中國からの原料品、原料製品の輸入制限については、前稿の図1で示したように近年、食料品や化學(xué)製品の中國依存は高まっておらず、また衣類?同附屬品などは製造拠點(diǎn)の移転が進(jìn)んでいるため、中國依存が大きく減少している。
重要となるのは、レアアースなどの鉱物資源の中國依存である。しかしこれは日本だけでの問題ではなく、米國を始めとする世界の先進(jìn)工業(yè)國に共通の課題でもある。
鉱物資源問題については、日本政府も國家戦略として詳細(xì)な調(diào)査実施や戦略立案を行い、企業(yè)サイドでは原料転換などの対応が進(jìn)みつつあるので、一定のリスク対応が進(jìn)んでおり、ここではこれ以上は觸れないこととする。
3の技術(shù)輸出制限問題の原因は、米中摩擦の激化に伴うものであったり、また中國の知財(cái)保護(hù)の課題に関わるものでもあるが、最近では前者が大きな要因となっている。現(xiàn)在日本企業(yè)は、中國企業(yè)に対する商機(jī)拡大と米國からの技術(shù)輸出制限要請の狹間に位置し、今後は難しい対応を迫られそうである。
しかし1で考察したように、中國企業(yè)の現(xiàn)地での中間財(cái)調(diào)達(dá)力の向上を鑑みれば、日本企業(yè)の戦略はおのずと見えてくる。一つ考えられる戦略は、中國での生産におけるサプライチェーンの現(xiàn)地化を一層進(jìn)めることである。つまり中國で製造する製品は、中國國內(nèi)で完結(jié)させ、また必要な製品の研究開発も中國現(xiàn)地で獨(dú)自に進(jìn)めるという戦略である。
現(xiàn)在、中國現(xiàn)地で生産を行う外國企業(yè)は、収益に伴う配當(dāng)?shù)趣伪緡透钉摔匣镜膜酥葡蓼胜い嚷劋?。また中國が現(xiàn)在の資本輸出規(guī)制をさらに厳格化していくことも考えにくい。中國ビジネスを物品貿(mào)易から資本貿(mào)易へのシフトさせていくことは、一つのリスク軽減戦略になる。
世界での製造ビジネスを中國地域とその他に分ける戦略は、金融の世界でいう「リング?フェンシング」のような考え方に基づくもので、中國當(dāng)局の恣意的な規(guī)制強(qiáng)化に対応するひとつの対応策になりうるのではないかと思われる。
以上、本稿では日本経済の中國依存度とリスク対応について、貿(mào)易狀況等から現(xiàn)狀を把握しつつ、リスク対応のためのいくつかの視點(diǎn)を示した。日中ビジネスは、定期的に政治経済的なリスクに直面することが避けられないので、日本企業(yè)は「政経分離」的な発想を持ち、したたかに対応していくことが求められる。
■筆者プロフィール:松野豊
大阪市生まれ。京都大學(xué)大學(xué)院衛(wèi)生工學(xué)課程修了後、1981年野村総合研究所入社。環(huán)境政策研究や企業(yè)の技術(shù)戦略、経営システムのコンサルティングに従事。2002年、同社の中國上海法人を設(shè)立し、05年まで総経理(社長)。07年、北京の清華大學(xué)に同社との共同研究センターを設(shè)立して理事?副センター長。 14年間の中國駐在を終えて18年に帰國、日中産業(yè)研究院を設(shè)立し代表取締役(院長)。清華大學(xué)招請専門家、上海交通大學(xué)客員研究員を兼務(wù)。中國の改革?産業(yè)政策等の研究を行い、日中で講演活動(dòng)やメディアでの記事執(zhí)筆を行っている。主な著書は、『參考と転換-中日産業(yè)政策比較研究』(清華大學(xué)出版社)、『2020年の中國』(東洋経済新報(bào)社)など。
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