八牧浩行 2014年5月4日(日) 7時16分
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本書は中國報道の最前線で取材し報道する日本のメディア特派員の率直な告白集。すべて実名による執(zhí)筆だ。自省し悩みながら中國の真実を追求している記者たちの真摯な姿勢が浮かび上がる。
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日本と中國の関係は1972年の國交正常化以來最大の危機的狀態(tài)にあり、日本國民の「嫌中感情」が高まっている。反日デモ、共産黨獨裁、深刻な公害、経済崩壊論、格差?腐敗などが大げさに報じられる。斷片的に切り取られたニュース記事や映像が派手に伝えられ日本國民の嫌中感情を煽っているのではないか、ことさら日本國民に「中國脅威論」を植え付けているのでないか、との聲もある。本書は中國報道の最前線で取材し報道する日本のメディア特派員の率直な告白集。すべて実名による執(zhí)筆だ。自省し悩みながら中國の真実を追求している記者たちの真摯な姿勢が浮かび上がる。
【その他の寫真】
「反日デモや大気汚染など注目されるテーマでは衝撃的な場面や深刻な內(nèi)容について詳しく報じている。だが、ストレートなニュースにならない等身大の中國、そして中國人の姿を伝える機會は非常に限られている」(大手新聞社元特派員)。
「尖閣諸島の問題について、日本メディアは『歴史的にも國際法的にも日本固有の領(lǐng)土で領(lǐng)有権問題は存在しない』との日本政府の立場に立っている。しかし日本政府の対応が硬直化した時、メディアが政府の立場に立つだけでは、解決の糸口は見えてこない。政府の立場に縛られない多様な歴史的、戦略的視野を提供することにより解決の選択肢も広がる。もちろんそれは、中國側(cè)も同様である」(通信社元特派員)」
ある全國紙記者は「中國崩壊論」がこの10年余り日本のメディアに浮上しては消えている現(xiàn)実を紹介した上でこう著述する。
「こうした中國崩壊論はどうしてたびたび浮上してくるのか。自分ではよく分からないが、恐らく『中國が崩壊したら嬉しい』という日本國民のニーズがあるからではないか、と最近では思っている。そんな記事や本を読みたいという欲求が日本人の潛在意識の中にあるのかもしれない」。
◆中國経済「好調(diào)」は短く「不調(diào)」は長く書け!
こうした日本の読者?視聴者の「ニーズ」を受けて、最前線の経済記者は本書の中で、東京のデスクの「中國経済好調(diào)の記事は短く、不調(diào)の記事は長く書け」との要求に悩まされると明かす。その結(jié)果として、紙面を飾る中國関連記事のほとんどは「中國経済不調(diào)」のトーンになりがちという。確かにGDP7%臺の伸びを「中國7%臺に減速、外需低迷響く」「力強さ欠く」といった見出しが躍る。ちなみに日本は1%前後に低迷しているにもかかわらず、である。昨年春には「シャドーバンキング(影の銀行)崩壊」を理由とした「7月危機説」喧伝され、日本の新聞、雑誌に大見出しが繰り返し躍ったが、結(jié)局杞憂に終わった。
こうした中でも、「矛盾だらけの中國という國家と、文化や知恵に富み義理人情に厚い中國人とを混同しない」(新聞社特派員)、「善悪二元論的報道を避け、領(lǐng)土問題も政府の立場に縛られない多様な視野を提供する」(通信社特派員)、「インタビューで中國人の率直な意見を紹介する」(新聞社特派員)など、公正?客観報道に向け懸命に努力している姿も浮かび上がる。
ここに登場する記者たちは中國報道のプロだけに、どの論考も示唆に富み參考になるが、第3章にある「中國に傾斜するアメリカ」(通信社現(xiàn)ニューヨーク総局長、元中國総局長)は特筆に値する?!该字肖悉膜扭皮皮い毪人激?。(中略)自己主張が強く、それを押し通そうとする。通らなければ別の方法を考える。一度や二度失敗しても失敗しても決してめげない。こうした中國人の行動パターンはアメリカ人にはとても理解しやすいかもしれない」との分析は、米中事情に精通したベテラン記者ならではの卓見だ。
さらに同論考は「中國は世界最大のスーパーパワーとしてアメリカにとって代わるか」との質(zhì)問に対する米世論調(diào)査結(jié)果を紹介。それによると、日本人の回答は「そうはならない」が72%。ところがアメリカでは「取って代わった」「取って代わる」が47%と約過半數(shù)に達した?!弗ⅴ幞辚现袊纬髧颏い氦毂埭堡椁欷胜がF(xiàn)実として、既に受け入れているのだ。日本はそうではない」というわけである?!溉彰驻Y(jié)束して中國に対抗する」という構(gòu)図は揺るぎないという思い込みが、日本で強いように感じられる」と斷じ、「アメリカは日中関係における巨大なファクター。その動向は日中の將來に決定的作用を及ぼすだろう。國益を守るため中國といかにうまくやっていくか。アメリカの徹底した現(xiàn)実主義は參考になると思われる」と指摘している。
◆「見たくない現(xiàn)実」にどう向き合うか
折から、世界銀行國際比較プログラムが5月初め、最新の購買力平価換算(モノやサービスのコストで換算する、実態(tài)に近い數(shù)値)GDP(國內(nèi)総生産)で、中國が今年、米國を抜いて世界最大の経済大國になる見通しを示した。多くのエコノミストは中國が米國を抜くのは2019年になるとみていたが、大幅に前倒しとなった。歐米では「中國の経済規(guī)模、米國を上回る」と大々的に報じられているが日本メディアではほとんど觸れられていない。日本の読者にとって、「見たくない現(xiàn)実」「不都合な真実」でも正確に伝えることが必要だろう。
本書を読み進むうちに、中國報道に攜わる記者たちの、熱い思いがひしひしと伝わってきた。國內(nèi)に難題を多く抱える中國政府も、うっ積する民衆(zhòng)の不満をメディアによる「反日」報道を利用して抑え込んでいるとの見方も多い。多くの中國メディア関係者の本音も聞いてみたいものだ。(評?八牧浩行)
<日本僑報社刊、稅抜1350円>
■筆者プロフィール:八牧浩行
1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務(wù)取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務(wù)めたほか、歐州、米國、アフリカ、中東、アジア諸國を取材。英國?サッチャー首相、中國?李鵬首相をはじめ多くの首脳と會見。東京都日中友好協(xié)會特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著?共著に「中國危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外國為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。
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