<大型連休に考える>スピードだけでない「日本の余韻」を楽しもう―立石信雄オムロン元會長

立石信雄    2021年5月2日(日) 7時(shí)20分

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移動(dòng)する時(shí)間を縮めスピードを追い求めるのは、決して悪いことではないが、それ故に忘れ去られていく真の日本の優(yōu)れた要素(日本人、風(fēng)景、風(fēng)習(xí)、伝統(tǒng)など)が生み出す余韻を楽しむ余地を殘すことも必要であろう。

ゴールデンウィーク(大型連休)真っただ中。新型コロナ感染の蔓延で気ままな旅はお預(yù)けであるが、以下「夢想」した。

昔、現(xiàn)役時(shí)代に、仕事に追われ世界を懸け巡っていた時(shí)、帰國して息抜きに小旅行を楽しんだ。新幹線に乗ったのち、在來線に乗り換えて風(fēng)景や風(fēng)情を満喫した。今でもそうであるが、新幹線の移動(dòng)では、車窓から見る間近の風(fēng)景はあっという間に消え去り、まるでそのスピードを感じさせる対象物でしかありえない。空気の澄みきった冬の空にそびえ立ち、雪を頂いた大きな富士山はさすがに堂々とし、その美しい出で立ちを誇らしく見せてくれるのは、一時(shí)(いっとき)の清涼剤である。

そういう時(shí)期、在來線に乗り、日帰りで軽井沢に行く機(jī)會あった。仕事を兼ねていたとはいえ、軽井沢というだけで何か心が躍り、車窓から見える田園風(fēng)景や、新緑に覆われた美しいアルプスの山々がゆっくりと流れていくのを見ていると、なにか心が和み、つい隣の人に話しかけたい気持ちになるのが不思議である。

車窓からの風(fēng)景や、車內(nèi)の語らいを楽しんでいるうちに橫川の駅に著いた。いっせいに走ってあの有名な「峠の釜めし」を買い急ぐ人たちのざわめく姿が一段落し、ふと眺めると、線路のむこうの石垣に整然とへばりついて咲いている深紅のバラがあった。駅の真ん中には駅員さんが手ずから思いのままに植えたのだろう、バラが美しく咲き、駅員さんの優(yōu)しい気持ちが伝わってくる。

郷愁を感じさせる古めかしい駅舎をあとに走り始めた列車に心をこめて深々と頭を下げる売り子さんの姿など、すべてが忙しさにかまけて忘れかけていた日本の美しさ、良さを思い起こさせてくれ、スピードを競う新幹線では味わえない楽しさである。

わが國の経済も戦後の混亂から立ち直って以來、歐米に追い付け追い越せでモーレツに突っ走ってきた。資源に恵まれない中で、日本人の勤勉さと自由貿(mào)易體制をフルに享受しえたからであるが、片や肥満體質(zhì)になり多くの問題を抱えてしまったのも事実である。

今、リニア新幹線まで巨費(fèi)を投じて建設(shè)中であるが、ほとんどがトンネルの中とか。移動(dòng)する時(shí)間を縮めスピードを追い求めるのは、決して悪いことではないが、それ故に忘れ去られていく真の日本の優(yōu)れた要素(日本人、風(fēng)景、風(fēng)習(xí)、伝統(tǒng)など)が生み出す余韻を楽しむ余地を殘すことも必要であろう。

<羅針盤篇62>

■筆者プロフィール:立石信雄

1959年立石電機(jī)販売に入社。1965年立石電機(jī)(現(xiàn)オムロン株式會社)取締役。1995年代表取締役會長。2003年相談役。 日本経団連?國際労働委員長、海外事業(yè)活動(dòng)関連協(xié)議會(CBCC)會長など歴任?!弗蕙庭弗幞螗趣?a target='_blank' href='http://www.wenhuatang.com/search.php?filter=ノーベル賞'>ノーベル賞」といわれるSAM(Society for Advancement of Management)『The Taylor Key Award』受賞。同志社大名譽(yù)文化博士。中國?北京大、南開大、上海交通大、復(fù)旦大などの顧問教授や顧問を務(wù)めている。SAM(日本経営近代化協(xié)會)名譽(yù)會長。エッセイスト。

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