<コロナ禍が「京都の伝統(tǒng)」を直撃>葵祭、祇園祭の2年連続中止は殘念―立石信雄オムロン元會長

立石信雄    2021年5月9日(日) 5時0分

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京都で育った私は、京の町並みや風情に溫かさを感じる。京都はお寺や神社が多い。そのためか四季を愛でることがたやすくできるのがうれしい。寫真は祇園祭。

京都で育った私は、京の町並みや風情に溫かさを感じる。新幹線が東山トンネルから出た途端に広がる瓦屋根の民家の風景にやすらぎを憶える。京都はお寺や神社が多い。そのためか四季を愛でることがたやすくできるのがうれしい。

1月は初詣、2月は節(jié)分、天神の梅花祭、3月は涅槃會、4月は都をどり、5月は葵祭、7月は祇園祭、8月は大文字、10月は時代祭、12月は顔見世で始まり、最後は大晦日(31日)のお寺參りで新しい年を迎える。まさに文化の凝縮した町なのである。ところが昨年來新型コロナウイルスの直撃を受けて、伝統(tǒng)的な行事が中止に追い込まれている。

京都三大祭の一つ、葵祭について、葵祭行列保存會と葵祭行列協(xié)賛會は、昨年に続いて5月15日の「路頭の儀」(行列巡行)を中止すると発表した。同保存會は「新型コロナウイルス感染拡大防止に向け、行列の參加者や沿道の観覧者への対応が困難なこと」を理由に挙げ、「関係者が安心して臨める狀況に至らないと判斷した」と説明している。

斎王代列による「禊(みそぎ)の儀」も行わない。下鴨神社(京都市左京區(qū))と上賀茂神社(同市北區(qū))の「社頭の儀」など関連神事は神社関係者が行うという。

京都を舞臺に繰り広げられる伝統(tǒng)行事の中でも、葵祭りは京都3大祭りの中心的な存在。日本で最古の祭りで、飛鳥時代の舒明天皇の御代に始まった。毎年、都大路を行く牛車の音ものどかに華やかな行列が練る。斎王さまをはじめ女人列の優(yōu)雅さはまさに王朝絵巻さながらである。

7月の祇園祭は平安時代の869年に疫病退散を祈った祇園御霊會が起源とされる。京都三大祭りの一つで、ハイライトとなる山鉾巡行には例年多くの観光客が訪れるが、この華やかな祭りも、昨年に続き中止すると発表された。殘念なことだが、致し方ない。

京都の伝統(tǒng)行事は8月の大文字焼き、10月の時代祭、12月の顔見世と続く。慎重に狀況を分析し、リスクが少ない形で実現(xiàn)できればと願うが、ウイルス感染拡大が憂慮される中、こればかりは「無理は禁物」なのかもしれない。

有數(shù)の観光地を抱える京都には年間約8500萬人の観光客が訪れ、日本人を含む観光客が市內で支払った宿泊代や飲食費などの「観光消費額」は2018年には約1兆3000億円以上に達した。コロナ禍で訪日客や県外客は激減し、ホテル旅館や土産、飲食店は大きなダメージに見舞われている。

コロナ禍で激減した內外の観光客が戻ることを切望したい。四季折々におりなす文化をいつまでも抱擁する京都であってほしいものである。

<羅針盤篇63>

■筆者プロフィール:立石信雄

1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現(xiàn)オムロン株式會社)取締役。1995年代表取締役會長。2003年相談役。 日本経団連?國際労働委員長、海外事業(yè)活動関連協(xié)議會(CBCC)會長など歴任。「マネジメントのノーベル賞」といわれるSAM(Society for Advancement of Management)『The Taylor Key Award』受賞。同志社大名譽文化博士。中國?北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協(xié)會)名譽會長。エッセイスト。

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