5月2日以降、西沙諸島（パラセル）近海で、中國(guó)海警の大型船舶がベトナム警察の巡視船に體當(dāng)たりする狀況が繰り返されている。

【その他の寫真】

これに関し「中國(guó)の內(nèi)部権力抗?fàn)帳伪恧臁工趣筏啤糕煹啦郡涫烷yだけでなく電力閥をもターゲットとし始めたので、その利益集団が（腐敗を撲滅しようとする）習(xí)近平政権に対して、いやがらせをしている」という趣旨のコメントが複數(shù)のテレビ番組で見られた。

　あまりの方向違いの解説を座視することができず、今回はベトナム船と中國(guó)海警の衝突から、中國(guó)の海洋戦略を読み解くこととする。

　ベトナムと中國(guó)の海洋対立は16世紀(jì)まで遡るものの、直近の中國(guó)の海洋戦略から見るなら、1992年に制定された中國(guó)の「領(lǐng)海法」（正確には「領(lǐng)海および接続水域法」）に求めることができる。

　江沢民はこの「領(lǐng)海法」第二條で、「中華人民共和國(guó)の陸地領(lǐng)土は、中華人民共和國(guó)大陸およびその沿海島嶼、臺(tái)灣および釣魚島（尖閣諸島）を含む附屬各島、澎湖列島、東沙群島、西沙群島、中沙群島、南沙群島およびその他すべての中華人民共和國(guó)に屬する島嶼を包括する」と規(guī)定している。

　この條文にある領(lǐng)域をつなげていくと、いわゆる「中國(guó)の赤い舌」と呼ばれる、中國(guó)が主権を主張する領(lǐng)海領(lǐng)土となる。この領(lǐng)海內(nèi)に侵入した外國(guó)船舶を「違法」とみなして領(lǐng)海外に駆逐することも、「領(lǐng)海法」は定めている。

◆沖縄返還が絡(luò)む「大陸棚」主張

　なぜこのような一方的な主張が可能になったかと言えば、一つには91年末のソ連崩壊があり、もう一つは92年（実際は91年から）におけるアメリカ軍のフィリピンからの撤退がある。

　このタイミングに合わせて、中國(guó)は「自國(guó)の領(lǐng)土の大陸棚は全て中國(guó)の領(lǐng)土領(lǐng)?！工趣いλ枷毪嘶扭い啤讣tい舌」を設(shè)定した?！复箨懪铩工趣い激ǚ饯稀_縄返還時(shí)（71?72年）の釣魚臺(tái)（尖閣諸島）に対する、當(dāng)時(shí)の「中華民國(guó)」総統(tǒng)、蔣介石のブレインが編み出した主張を受け継いだものである。

　中國(guó)が海底資源の掘削を具體化し始めたのは1982年。「中國(guó)海底石油総公司（CNOOC、クヌーク）」を設(shè)立し、大陸における石油掘削から海底の石油や天然ガス掘削に移っていく。

拙著『中國(guó)人が選んだワースト中國(guó)人番付』の37頁(yè)前後で詳述したように、たしかにCNOOCを含めたこんにちの石油閥を形成してきたのは周永康だ。また本コラム第31回『＜遠(yuǎn)藤譽(yù)が斬る＞次のターゲットは李鵬元首相系列――「石油閥」から「電力閥」に進(jìn)む中國(guó)の虎退治』（ 4月22日）でも觸れたように、腐敗撲滅の次のターゲットは電力閥（李鵬ファミリー）に移っている。

しかし、だからと言って、今般の中國(guó)海警の行動(dòng)の背景が、中國(guó)內(nèi)部の権力抗?fàn)帳摔ⅳ毪胜嗓趣いΨ治訾蛄鞑激丹护毪韦蠈gに危険だ。

そのような甘いものではない。

そもそも「中國(guó)海警」は習(xí)近平肝いりの組織で、習(xí)近平政権が誕生した最初の全人代（2013年3月）で正式に再編成されている。習(xí)近平の腹心が並ぶその組織が、なにゆえ習(xí)近平政権に嫌がらせをするためにベトナム船と衝突しなければならないのか。

また現(xiàn)在の中共中央指導(dǎo)部（政治局常務(wù)委員）に軍隊(duì)経験者がいないので「軍の統(tǒng)率が出來ていない」などという解説も日本では見られるが、これも違う。胡錦濤政権の時(shí)の中共中央政治局常務(wù)委員にも軍隊(duì)経験者はいない。

毛沢東やトウ小平時(shí)代ならまだしも、軍隊(duì)は中共中央軍事委員會(huì)が統(tǒng)括し、その最高司令官は軍事委員會(huì)主席（今は習(xí)近平）が擔(dān)い、同時(shí)に中共中央総書記を兼任する。現(xiàn)在の軍事委員會(huì)副主席は習(xí)近平の腹心。人民解放軍は、すべてこの軍事委員會(huì)の管轄下にある。

つまり、今般の中國(guó)海警の動(dòng)きは、一部の軍の暴発でもなければ、政権內(nèi)部の権力爭(zhēng)いでもないということだ。

◆米比軍事同盟に反発

ならば、何が原因か――。

それは取りも直さず、オバマ大統(tǒng)領(lǐng)が4月のアジア歴訪でフィリピンとの軍事同盟を再締結(jié)して、「力による現(xiàn)狀変更は認(rèn)めない」と宣言したことにある。

「領(lǐng)海法」は米軍がフィリピンから引き揚(yáng)げた92年に制定されている。

その米軍が再びフィリピンと軍事同盟を結(jié)ぶことは、中國(guó)にとっては絶対に許されないことだ。

中國(guó)側(cè)は「力による変更ではなく、領(lǐng)海法で決まっている中國(guó)の領(lǐng)土領(lǐng)海を守っているだけ」と主張したい。

特に中國(guó)は「二國(guó)間」の話し合いを主張し、第三國(guó)が介入することを極端に嫌っている。國(guó)際法に持って行かれると弱いことを自ら知っているからだろう。

米中では「新型大國(guó)関係」を誓いながら、一方では海洋権益は一歩も譲らない?！割I(lǐng)海法」を正當(dāng)化し、あくまでも海上海底権益を死守するつもりだ。それは「領(lǐng)海法」で中國(guó)が一方的に定めた「赤い舌」の中の一つである「尖閣諸島」に対しても、同様の主張と行動(dòng)を続けることを意味している。

政権內(nèi)部の権力抗?fàn)帳趣?、軍を掌握しきれていないなどという「希望的観測(cè)」により、日本の國(guó)策を見誤らせてはならない。

＜遠(yuǎn)藤譽(yù)が斬る＞第34回）

遠(yuǎn)藤譽(yù)（えんどう?ほまれ）

筑波大學(xué)名譽(yù)教授、東京福祉大學(xué)國(guó)際交流センター長(zhǎng)。1941年に中國(guó)で生まれ、53年、日本帰國(guó)。著書に『ネット大國(guó)中國(guó)―言論をめぐる攻防』『チャイナ?ナイン―中國(guó)を動(dòng) かす9人の男たち』『チャイナ?ジャッジ毛沢東になれなかった男』『チャイナ?ギャップ―噛み合わない日中の歯車』、『●（上下を縦に重ねる）子（チャーズ）―中國(guó)建國(guó)の殘火』『完全解読「中國(guó)外交戦略」の狙い』、『中國(guó)人が選んだワースト中國(guó)人番付』など多數(shù)。