米國と中國の軍制服組トップの交流が活発化している。中國人民解放軍の房峰輝総參謀長が米國を訪問、15日に米デンプシー統(tǒng)合參謀本部議長と會談する。會談では、米中軍事交流の促進が話し合われる。今週財務(wù)大臣會合も開かれ、今夏に北京で開催されるの戦略?経済対話について協(xié)議する。

【その他の寫真】

　中國は西沙諸島付近で石油採掘作業(yè)を強行し、中國船とベトナム船が衝突するなど緊迫化している。米國は領(lǐng)有権問題には中立の立場を堅持しており、會談では中國に対話による解決を呼び掛けるものとみられる。

オバマ米大統(tǒng)領(lǐng)は4月末のアジア訪問で外交の軸足をアジアに移すリバランス（再均衡）政策の推進をアピールしたが、これは中國も含めた関係各國で地域の安定を図ろうというものだ。

米太平洋艦隊は、今年6月26日から8月1日にかけ米ハワイ諸島沖で行われる環(huán)太平洋合同演習(xí)（リムパック）に中國を初めて招待、同國は駆逐艦や病院船など4隻を派遣することになっている。

◆「米中日で新たな関係づくりを」元米高官が提言

米國の外交防衛(wèi)政策に長年攜わったモートン?ハルペリン元米大統(tǒng)領(lǐng)特別補佐官?國家安全保障會議メンバーは5月9日、日本記者クラブで記者會見し、「中國と協(xié)力していく方法を見いだすとか、新たな関係を持つ術(shù)（すべ）を見いだすことも考えられる。米中日に他の國も交えた新たな関係づくりも必要だ」と強調(diào)、中國と協(xié)力していく方法を見いだすべきだとの考えを示した。ハルペリン氏は外交?安保問題の専門家で、生き字引的な存在だけに、その発言は重い。

対中融和姿勢は現(xiàn)役の米軍幹部も同様である。今年2月、サルバトーレ?アンジェレラ在日米軍司令官は日本記者クラブで記者會見し、「中國は脅威をもたらす國ではなく、我々と地域の安全を共有、責任の一端を擔うことが可能だ」と明言。その上で、「米國は中國とは常に対話しており、日本と中國ができるだけ胸きんを開いて対話できる時が來ることを望んでいる」と強調(diào)、日中が早期に対話のテーブルに著くよう求めた。

これら一連の発言にはオバマ大統(tǒng)領(lǐng)の考え方が反映されている。同大統(tǒng)領(lǐng)は4月に訪日した際の記者會見でも、「人口が多く、経済発展している中國はアジアだけでなく世界全體で貿(mào)易、経済、気候変動などの分野で大きな役割を擔っている。國際的な秩序を重視、平和的に臺頭し今後も成功してほしい」と言明。さらに、「米國としても積極的に中國と協(xié)調(diào)していく。日本と中國も平和的に話し合い協(xié)力していくことを望む」と語っている。

オバマ氏が中國との協(xié)調(diào)に腐心するのは、シリアの化學(xué)兵器問題やイランの核問題などを通じて、米國に相対的な力の陰りがみえる中、世界第2位の経済大國となった中國との協(xié)力が欠かせないためだ。

◆進展する「新たな大國関係」

米國にとって最大の課題は巨額の米政府債務(wù)と経常赤字の削減。経済の破綻を避けるためには軍事費の削減と、世界最大の中國消費市場のさらなる取り込みが不可欠だからだ。

なお、米中の閣僚同士の會談は頻繁に開かれ、今週もルー米財務(wù)長官が訪中しており、13日に樓継偉中國財務(wù)部長と會談。今夏北京で開催する米中戦略?経済対話の具體的な內(nèi)容について協(xié)議する。

米中戦略?経済対話は米中両國の閣僚多數(shù)が政治や安全保障、経済、金融と、幅広い領(lǐng)域にわたる両國関係の諸課題を協(xié)議。昨年は6月にワシントンで開かれた。一見対立しているかに見える米中だが、実際はがっちりと手を握り合っているのが実情。軍トップが対話し合同演習(xí)を行うのも「戦火は絶対交えず何事も平和的に解決するため」という。米中首脳が合意した「新たな大國関係」に向け両國のパイプは太くなるばかりだ。（八牧浩行）

■筆者プロフィール：八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務(wù)取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務(wù)めたほか、歐州、米國、アフリカ、中東、アジア諸國を取材。英國?サッチャー首相、中國?李鵬首相をはじめ多くの首脳と會見。東京都日中友好協(xié)會特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著?共著に「中國危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外國為替ハンドブック」など。趣味はマラソン（フルマラソン12回完走＝東京マラソン4回）、ヴァイオリン演奏。