吉田陽(yáng)介 2021年7月23日(金) 23時(shí)0分
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中國(guó)人民銀行は9日、預(yù)金準(zhǔn)備率を0.5%ポイント引き下げ、約1兆元の流動(dòng)性を放出すると発表した。これは一見(jiàn)、普通の金融関連ニュースだが、実は意味のある情報(bào)だ。資料寫(xiě)真。
中國(guó)の中央銀行の中國(guó)人民銀行は9日、預(yù)金準(zhǔn)備率を0.5%ポイント引き下げ、約1兆元の流動(dòng)性を放出すると発表した。これは一見(jiàn)、普通の金融関連ニュースで、ざっと見(jiàn)てすぐにスルーしてしまいがちだが、実は意味のある情報(bào)だ。この措置は金融緩和を意味するため、この1週間あまりで國(guó)內(nèi)外の多くの経済関連メディアが報(bào)道した。
今回の預(yù)金準(zhǔn)備率引き下げにについて、「予想外」と分析した報(bào)道が少なくなかった。つまり、中國(guó)の中央銀行と政府が今回の措置について、どういう意図で実施したのか分からないということだ。ただ、中國(guó)の公開(kāi)報(bào)道を見(jiàn)ると、もちろん全部ではないが、ある程度は見(jiàn)えてくる。ここでは、中國(guó)の預(yù)金準(zhǔn)備率引き下げの理由について述べたい。
■「カネ余り」なのに、刺激策?引き下げの意図は何か
今回の預(yù)金準(zhǔn)備率引き下げが「予想外」というコメントが少なくなかったのはなぜだろうか。
それを説明する前に、預(yù)金準(zhǔn)備率の引き上げについて簡(jiǎn)単に述べておく。
準(zhǔn)備預(yù)金とは、銀行の預(yù)金?貸出業(yè)務(wù)の健全性、預(yù)金者の預(yù)金のタイムリーな現(xiàn)金化を擔(dān)保するために、各商業(yè)銀行が中央銀行に預(yù)金することを法律で義務(wù)付けられている一定額の資金のことで、リスク予防措置の一つとされている。
預(yù)金準(zhǔn)備率が高いほど、各銀行が中央銀行に預(yù)金する資金が多くなり、貸出しに使える資金が少なくなる。逆に預(yù)金準(zhǔn)備率が低いほど、銀行が貸出しに回す資金が多くなることを意味する。つまり、今回、中國(guó)政府が預(yù)金準(zhǔn)備率の引き下げに踏み切ったということは、良好なパフォーマンスを呈していた中國(guó)経済が悪くなっていることを意味する。そのため、「予想外」という見(jiàn)方が少なくなかった。
昨年後半から、世界的な緩和政策の影響を受けて、大口商品の価格上昇が始まった。今年になって、米國(guó)政府は財(cái)政刺激を大いに行い、それに歐米諸國(guó)のワクチン接種率の上昇も相まって経済回復(fù)が始まった。その影響で大口商品の価格がものすごい勢(shì)いで上昇した。それにより、世界的なインフレが起こり、中國(guó)は輸入インフレの脅威にさらされている。
経済學(xué)的にいえば、インフレになっているということは、市場(chǎng)は「カネ余り」になっているため、中央銀行には資金を回収するために引き下げ策を講じる必要がある。
今回の預(yù)金準(zhǔn)備率引き下げは経済の理屈に反したものだったため、ロイター通信(中國(guó)語(yǔ)版)の12日付の記事は、今回の預(yù)金準(zhǔn)備率引き下げは「市場(chǎng)をびっくりさせた」と述べた。中國(guó)政府の今回の措置は、これまで見(jiàn)たことがないため、誰(shuí)もが首をかしげるもので、専門(mén)家の間で意見(jiàn)が分かれた。
■引き下げの裏側(cè)には中國(guó)経済の減速?
前出のロイター通信の記事の見(jiàn)出しは「中國(guó)の予想外の引き下げは逆に悲観的な予想をかき立てる」というものだった。中國(guó)人民銀行が同時(shí)に発表した6月の金融データが予想を上回るものだったにもかかわらず、穏健な金融政策の方向性は変わっていないと強(qiáng)調(diào)したが、一部の専門(mén)家は、その後発表される他のマクロデータは中國(guó)経済の回復(fù)があまり楽観できるものでないことを示している可能性があり、さらに言えば、大きなリスクイベントの懸念があることが、中央銀行が先手を打った主因ではないかと懸念する。
ロイター通信は、「私が懸念しているのは、今回の政策操作のペースや目的、タイミング、政策発表といった全般的な技術(shù)的処理からみると、市場(chǎng)では今回の政策に関する憶測(cè)が多いため、悲観的な方向に変わっていくことだ」という、ある政策ウォッチャーの話(huà)を伝えた。
同政策ウォッチャーは、「市場(chǎng)は経済成長(zhǎng)の見(jiàn)通しが予想以上に悪化したのではないかと推測(cè)するだろう。そうでなれば、引き下げ政策の著手ペースがこんなに早く、かつ斷固したものであるはずがない。景気の見(jiàn)通しが好転しなければ、大きなリスクイベントが『後追い』してくる恐れがあるかもしれない。この政策は、市場(chǎng)を安定させるために、あらかじめ流動(dòng)性を蓄えておくためのものだ」と指摘した。
多くの中國(guó)人研究者も同様の懸念を抱いている。金融研究院の管清友院長(zhǎng)も「微博(ウェイボー)」の中で、全面的な引き下げは中國(guó)の政策決定層が経済の下振れに対する懸念が深刻になっていることを物語(yǔ)っているとの見(jiàn)方を示した。
しかしその後の推移を見(jiàn)ると、上述の分析は必ずしもそうでないことが証明された。中國(guó)國(guó)家統(tǒng)計(jì)局が15日に発表したデータによると、今年の第2四半期(4~6月期)、中國(guó)の國(guó)內(nèi)総生産(GDP)は前年同期比7.9%増加し、予想を下回ったものの、予想(8.2%)との差は大きくなく、完全に許容範(fàn)囲內(nèi)であり、マクロデータのような突然の悪化は見(jiàn)られなかった。さらに言えば、今年前半の輸出などの指標(biāo)は予想を上回る強(qiáng)い伸びを示し、経済成長(zhǎng)を力強(qiáng)く支えた。
一部の識(shí)者は「政策決定者の景気下振れ懸念が深刻になっている」と主張するが、その懸念の根拠はいったい何だろうか。
■「お上しか知らない?」現(xiàn)在の中國(guó)経済の問(wèn)題點(diǎn)
「政策決定者は、民衆(zhòng)が知らないことを知っているに違いない。だからそうなっているのだ。」政府の行働が自分には理解できないとき、中國(guó)人はよくこう言う。
市場(chǎng)経済志向の政策をとる資本主義國(guó)の場(chǎng)合、経済に関する情報(bào)が不透明ということはあり得ないことだが、中國(guó)の市場(chǎng)経済は國(guó)が発展のレールを敷くもので、経済活動(dòng)における國(guó)の役割は大きい。
中國(guó)政府は社會(huì)の安定を重視しており、経済社會(huì)が混亂することを嫌う。だから、毎年3月に行われる全人代(全國(guó)人民代表大會(huì))で公表される「國(guó)民経済社會(huì)発展計(jì)畫(huà)(計(jì)畫(huà)報(bào)告)」には、よく「市場(chǎng)の期待を?qū)Г工趣いρ匀~が書(shū)かれている。これは、政府が現(xiàn)在直面する困難を乗り越え、安心して経済活動(dòng)ができるような環(huán)境を整えることだ。
だから、中國(guó)人このように言うのは、中國(guó)のこうした國(guó)情を踏まえてのことだ。
では、預(yù)金準(zhǔn)備率引き下げを中國(guó)政府に決斷させた困難とは一體どんなものか。
「財(cái)新網(wǎng)(財(cái)新ネット)」が14日に発表した「市場(chǎng)が軽視していたのは、一部の都市での消費(fèi)のマイナス成長(zhǎng)を政府が目にしたこと」と題する記事はすぐに広く転載された。
記事は、中國(guó)政府が預(yù)金準(zhǔn)備率を引き上げたことについて、「一部の省?市の経済減速の加速に大きな関わりがある」とし、一部の都市の消費(fèi)の伸びにばらつきがあると指摘したうえで、現(xiàn)在の中國(guó)経済の発展のばらつきは「過(guò)去數(shù)十年でなかったもの」としている。
この「財(cái)新網(wǎng)(財(cái)新ネット)」の記事は預(yù)金準(zhǔn)備率の引き下げの原因の一つだ。もちろん、それだけではないだろうが、「地域間のバランスのとれた発展」を謳う中國(guó)政府にとって、経済成長(zhǎng)、「成長(zhǎng)のエンジン」である消費(fèi)の伸びのアンバランスは無(wú)視できない大きな問(wèn)題だ。
今回の引き下げの目的について、中央財(cái)経大學(xué)國(guó)際金融研究センターの張啓迪?客員研究員は12日の「新浪財(cái)経」の記事で、「中央銀行(中國(guó)人民銀行)は2011年末から持続的に預(yù)金準(zhǔn)備率を引き下げており、大きな金融機(jī)関の預(yù)金準(zhǔn)備率は21.5%から12%に、中小の金融機(jī)関のそれは19.5%から9%に引き下げられており、今回の預(yù)金準(zhǔn)備率の引き下げは中長(zhǎng)期的な引き下げの一部分だ」と述べ、さらに、「2021年以降、経済が持続的に回復(fù)しており、とりわけ、第1四半期(1~4月期)の経済データが良好だったが、経済回復(fù)に陰りが見(jiàn)え始めている」とも述べ、今後経済が減速する可能性があり、その影響を緩和するためだと指摘した。
最?lèi)櫎韦长趣蛳攵à筏俊弗堀去啷楗ぅ笏伎肌工驁?jiān)持することは、現(xiàn)在の中國(guó)政府のスタンスだ。経済減速が深刻になる前に手を打つことは、この考え方に基づいたものだ。今回の預(yù)金準(zhǔn)備率引き下げは「今後の経済減速の影響を緩和する」ためのものという張啓迪氏の指摘は、現(xiàn)在の中國(guó)政府の姿勢(shì)を考えると的を射たものといえる。
全人代の文書(shū)には、「バラマキ」政策はしないと言明する一方で、「緩和と引き締め」の手段を狀況に応じてうまく使っていくと書(shū)かれている。つまり、経済減速と加熱を未然に防ぐというものだ。今回の預(yù)金準(zhǔn)備率引き上げは大規(guī)模な金融緩和政策の始まりではなく、現(xiàn)在見(jiàn)られている問(wèn)題が深刻化しないための調(diào)整政策の一環(huán)であるといえる。
■筆者プロフィール:吉田陽(yáng)介
1976年7月1日生まれ。福井県出身。2001年に福井県立大學(xué)大學(xué)院卒業(yè)後、北京に渡り、中國(guó)人民大學(xué)で中國(guó)語(yǔ)を一年學(xué)習(xí)。2002年から2006年まで同學(xué)國(guó)際関係學(xué)院博士課程で學(xué)ぶ。卒業(yè)後、日本語(yǔ)教師として北京の大學(xué)や語(yǔ)學(xué)學(xué)校で教鞭をとり、2012年から2019年まで中國(guó)共産黨の翻訳機(jī)関である中央編訳局で黨の指導(dǎo)者の著作などの翻訳に従事する。2019年9月より、フリーライターとして活動(dòng)。主に中國(guó)の政治や社會(huì)、中國(guó)人の習(xí)慣などについての評(píng)論を発表。代表作に「中國(guó)の『代行サービス』仰天事情、ゴミ分別?肥満?彼女追っかけまで代行?」、「中國(guó)でも『おひとりさま消費(fèi)』が過(guò)熱、若者が“愛(ài)”を信じなくなった理由」などがある。
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