ドイツメディアのドイチェ?ヴェレは2日、「東京五輪：五輪精神と民族主義」と題する記事を掲載した。

記事はまず、米ロサンゼルスの大學(xué)に通う河南省出身の張（ジャン）さんを紹介。張さんはもともと五輪にあまり関心を抱いていなかった。開(kāi)幕の數(shù)日前から米國(guó)で新型コロナウイルスの感染者が増加し始めたことや、故郷が水害に見(jiàn)舞われたことなどが理由だった。しかし、ここ數(shù)日は留學(xué)生のSNSグループでも五輪に関する話題が増えており、自身も注目するようになったという。

張さんは「もともと中國(guó)が金メダルをいくつ取るかということは大事だと思っていませんでした。ここ數(shù)年、中國(guó)は発展しましたし、五輪のメダルによって自分を証明する必要もないと思っていました」と語(yǔ)った。一方で、チャットグループの中で「日本鬼子」「韓國(guó)棒子」「米國(guó)人は醜い」「臺(tái)灣人はカエル」といった罵聲を最初は眉をひそめて見(jiàn)ていたものの、「ここ數(shù)日は私自身も『小日本』『日本鬼子』と叫んでいることに気付きました」という。

記事によると、張さんは體操男子個(gè)人総合の決勝戦で橋本大輝が中國(guó)の肖若騰（シャオ?ルオテン）を抑えて金メダルを獲得したことに憤慨していた。留學(xué)生の間でもこの話題だけで數(shù)百の書(shū)き込みがあったという。張さんは「中國(guó)が世界での発言力に乏しく、歐米諸國(guó)からいじめられたり、圧迫されたりしている証拠」と考えた。國(guó)際體操連盟（FIG）が採(cǎi)點(diǎn)の詳細(xì)を説明したことについても、「歐米諸國(guó)が結(jié)託して発言権を獨(dú)占している」という認(rèn)識(shí)で、「中國(guó)が世界の強(qiáng)國(guó)になるのは本當(dāng)に難しい」と嘆いたという。

一方で、張さんは周?chē)欷蚊讎?guó)人たちが自分たちとは異なる見(jiàn)方をしていることにも気付いた。米國(guó)人のルームメイト2人は五輪にあまり関心がなく、米國(guó)が金メダルをいくつ獲得していたかも知らなかった。「リビングにはテレビがありますが、彼女たちは興味があるいくつかの競(jìng)技しか見(jiàn)ません」とのこと。

米國(guó)の女子體操選手のシモーネ?バイルズが団體戦決勝で途中棄権したことについても、意見(jiàn)が違った。中國(guó)のネット上では多くが「理解できない」という考えで、「彼女は自分勝手」「集団主義の精神を持たない選手は中國(guó)には絶対に現(xiàn)れない」などの聲が出ていたという。張さんが後日、米國(guó)人のルームメイトにこの件について尋ねると、「バイルズの自由」「メンタルが整わないのなら棄権すべき」「誰(shuí)にも彼女を非難する権利はないし、彼女は謝る必要もない」などの言葉が返ってきた。米メディアでもバイルズの選択を支持する報(bào)道が多かった。

張さんは「ここ數(shù)日、中國(guó)のネット上で多くの人が負(fù)けた選手に罵詈（ばり）雑言を浴びせるのを見(jiàn)ました。特に日本に負(fù)けた卓球の劉詩(shī)雯選手や、臺(tái)灣選手に負(fù)けたバドミントン男子ダブルスの選手。彼らにもバイルズのような苦しみがあるのではないでしょうか。彼らには試合を棄権する権利があるでしょうか？。私は今のところ、中國(guó)選手は勝手に棄権することはできないと思います。2008年に（ハードル選手の）劉翔（リウ?シアン）が（棄権して）ネットでたたかれたことを覚えていると思います。ですが、徐々に良い方向に向かうと思います」と語(yǔ)ったという。

テキサス州で學(xué)んでいる李さんも、五輪をめぐって米國(guó)籍の夫と意見(jiàn)の相違が生じた。李さんは當(dāng)初、「私と一緒に中國(guó)チームを応援してほしい」と夫に頼んだ。米國(guó)が中國(guó)に勝利すると、夫を責(zé)めた。しかし、夫は試合の勝ち負(fù)けをあまり気にしておらず、自國(guó)選手が金メダルを獲得して國(guó)歌を聞いても胸が熱くなるということはなかったという。

李さんはここ數(shù)日、五輪をめぐるネット世論に恐怖を感じるようになってきたという。今回の五輪でネット上に漂う愛(ài)國(guó)感情、民族主義的な感情が例年に比べて多くなっていると李さんは感じている。リオデジャネイロ五輪に比べて今大會(huì)の中國(guó)のパフォーマンスは出だしから良かったが、他國(guó)の選手を嘲笑したり、中傷したりする行為が続出した。橋本大輝や國(guó)際體操連盟の審判員、伊藤美誠(chéng)らがターゲットになり、侮辱的な畫(huà)像加工も相次いだ。

李さんは「普段は優(yōu)しい話し方をするクラスメイトがSNSで『抗日感情に火がついた』とつぶやいているのを見(jiàn)てぞっとしました」と話した?！笎?ài)國(guó)不十分」と批判される自國(guó)のネットユーザーやメディアも目にした。そこには、體操の採(cǎi)點(diǎn)基準(zhǔn)を説明して「肖若騰は減點(diǎn)されてしかるべき」と主張したネットユーザーも含まれている。射撃女子10メートルエアライフルで金メダルを獲得した楊倩（ヤン?チエン）も、かつてナイキの靴を愛(ài)用していたとして罵聲を浴びた。

李さんは、「ネットユーザーはおかしくなっています。このような感情は危険です。彼らの基準(zhǔn)では、私も『愛(ài)國(guó)でない』発言をしている可能性があります。私はもうネット上で発言する勇気がありません」と語(yǔ)っているという。（翻訳?編集/北田）