<書(shū)評(píng)>富坂聰著『「反中」亡國(guó)論』=日本に今必要なのは「感情論」ではなく「冷徹な現(xiàn)狀分析」

八牧浩行    2021年9月11日(土) 20時(shí)0分

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「“チャイナvs.世界"で得するのは誰(shuí)か?」―が本書(shū)の主要なテーマ。「中國(guó)崩壊論」の根拠のなさが解明される。日本に今、必要なのは「思い込み」や「感情論」ではなく「冷徹な現(xiàn)狀分析」であると本書(shū)は説く。

富坂聰著『「反中」亡國(guó)論―日本が中國(guó)抜きでは生きていけない真の理由』

米國(guó)と中國(guó)との対立が世界を覆っている。同盟國(guó)?米國(guó)と最大の貿(mào)易?投資相手國(guó)?中國(guó)との狹間で、日本は難しい選択を迫られる。多くの米國(guó)情報(bào)が溢れる日本では、米國(guó)が「対中包囲」を仕掛け、中國(guó)が防戦に追われる図式が強(qiáng)調(diào)されるが、実態(tài)を探ると異なる実態(tài)が拡がる。

「“チャイナvs.世界"で得するのは誰(shuí)か?」―が本書(shū)の主要なテーマ。日本で30年前から吹聴されてきた「中國(guó)崩壊論」の根拠のなさが解明される。日本に今、必要なのは「思い込み」や「感情論」ではなく「冷徹な現(xiàn)狀分析」であると本書(shū)は説く。豊富な統(tǒng)計(jì)や事実に基づいた冷靜な筆致で綴られる。

米中対立が進(jìn)めば従來(lái)の覇権國(guó)家と新興の2番手國(guó)家が衝突する「トゥキディデスの罠」に陥る懸念も根強(qiáng)いが、今の米中は深い相互依存関係にあるのが米ソ冷戦時(shí)代との決定的な違いだ。

本書(shū)によると、中國(guó)にとっての至上命題は「経済発展」。米中対立の長(zhǎng)期化を覚悟し、広域経済圏構(gòu)想「一帯一路」を前面に押し立て、アジア、中南米、中東、アフリカを中心に支持を固めている。低成長(zhǎng)に苦しむ國(guó)々にとって、中國(guó)の巨額投資や巨大市場(chǎng)は魅力的だ。

中國(guó)とEU(歐州連合)の貿(mào)易量は21年、コロナ禍の逆風(fēng)をはね返し、対前年比で5.3%も増加し、EUにとって初めて中國(guó)が最大の貿(mào)易相手となった。21年にASEAN(東南アジア諸國(guó)連合)との貿(mào)易額も21年にプラスを維持し、國(guó)?地域別で歐州を抜いてトップになった。

第4章で詳述されている「ウイグルと香港の『不都合な真実』」も興味深い。(1)インドも抜け出した「反中クラブ」(2)日本がウイグル族のために立ち上がる意味(3)日本、中國(guó)、ロシアも射程に入るミサイル開(kāi)発に道を開(kāi)いた韓國(guó)(3)アメリカと國(guó)連がウイグル人団體をテロ組織に認(rèn)定した理由―なども類(lèi)書(shū)にない視點(diǎn)だ。確たる証拠もないのに、外國(guó)にいる反體制勢(shì)力の政治的かつ感情的な主張を鵜吞みにし、自らの目で確かめないメディアが多いと問(wèn)題提起している。

さらに米國(guó)政権が中國(guó)叩きの材料として持ち出した「権威主義対民主主義」のイデオロギー対立図式がダブルスタンダード(二重基準(zhǔn))であることや、ウイグルへの「ジェノサイド」認(rèn)定が米國(guó)務(wù)省法律顧問(wèn)室によって否定された事実などが列挙される。「ウイグル族を“駒"として考えていたCIA」、「香港民主化運(yùn)動(dòng)の裏で暗躍するNED(全米民主主義基金)の存在」「香港警察を主導(dǎo)したのは中國(guó)人ではなくイギリス人」「民主化の遅れた國(guó)々の支持獲得を目指す外交シフト」など、通り一遍の西側(cè)報(bào)道にはない裏事情も興味深い。中國(guó)経済に大きく依存している日本が配慮すべきメッセージとして掲げる(1)中國(guó)に向けた中距離ミサイルを米國(guó)の意向を受け配備することを避ける(2)臺(tái)灣、香港問(wèn)題に踏み込むこと(3)「経済発展」を阻害すること―の3點(diǎn)も有用だろう。

日本の中國(guó)関連ビジネス企業(yè)は3萬(wàn)社以上。人口減と低潛在成長(zhǎng)率にあえぐ日本にとって、中國(guó)は最大の貿(mào)易投資國(guó)であり、中國(guó)人訪(fǎng)日客へのコロナ後の期待も大きい。

著者は1964年生まれ。北京大學(xué)中文系に留學(xué)した後、週刊誌記者などを経てフリージャーナリストに。1994年『龍の伝人たち』で21世紀(jì)國(guó)際ノンフィクション大賞優(yōu)秀賞。2014年より拓殖大學(xué)海外事情研究所教授。

(評(píng)者?八牧浩行

◆富坂聰著『「反中」亡國(guó)論―日本が中國(guó)抜きでは生きていけない真の理由』

(ビジネス社、1540円)

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時(shí)事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長(zhǎng)、常務(wù)取締役編集局長(zhǎng)等を歴任。この間、財(cái)界、大蔵省、日銀キャップを務(wù)めたほか、歐州、米國(guó)、アフリカ、中東、アジア諸國(guó)を取材。英國(guó)?サッチャー首相、中國(guó)?李鵬首相をはじめ多くの首脳と會(huì)見(jiàn)。東京都日中友好協(xié)會(huì)特任顧問(wèn)。時(shí)事総合研究所客員研究員。著?共著に「中國(guó)危機(jī)ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外國(guó)為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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