中國の産業(yè)政策からビジネスチャンスを見出す(4)內(nèi)需主導(dǎo)型経済の実現(xiàn)性

松野豊    2021年10月13日(水) 20時(shí)50分

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中國は、資産バブル対策や社會格差、環(huán)境問題など國內(nèi)に大きな課題を抱えているが、これを曲がりなりにも制御し、少しずつ解決をしていけているのは、高い経済成長率が持続しているからである。

中國は、資産バブル対策や社會格差、環(huán)境問題など國內(nèi)に大きな課題を抱えているが、これを曲がりなりにも制御し、少しずつ解決をしていけているのは、高い経済成長率が持続しているからである。

中國にとって「持続的経済成長」は最優(yōu)先の課題である。経済問題にとどまらず國家全體の問題解決に不可欠な要因であると言えるので、何としても継続していかなければならない。

また近年は、新たなリスクにも直面している。米中貿(mào)易摩擦や新型コロナ感染拡大である。歐米諸國等との摩擦が高まったため、経済成長の頼みの綱である貿(mào)易面にも少なからず影響が出てきており、好調(diào)だった貿(mào)易収支にも先行きの不透明感が出てきている。

中國政府は、持続的経済成長を継続していくため、第十四次五か年計(jì)畫の検討が始まった昨年から「雙循環(huán)(內(nèi)循環(huán)+外循環(huán))」と呼ぶ経済発展モデルを推進(jìn)し始めている。このモデルの示すところはかなり曖昧ではあるが、要するに「國內(nèi)市場の効率化と海外とのサプライチェーンの高度化によって、中國の市場拡大と産業(yè)競爭力の強(qiáng)化を図る」といった狙いを持つ政策だと筆者は理解している。

このうち「內(nèi)循環(huán)」による経済発展モデルというのは、すなわち「內(nèi)需主導(dǎo)型経済の拡大」ということであろう。中國は人口が多く幅広い産業(yè)構(gòu)造を持つため、中間所得層を中心とした個(gè)人消費(fèi)が拡大し、かつ製造業(yè)のサプライチェーンの自前化が確立されていくと、內(nèi)需経済だけでも十分に経済成長が可能な國である。

では現(xiàn)狀で中國の內(nèi)需主導(dǎo)型経済は、どの程度形成されつつあるのだろうか。GDPに占める支出構(gòu)成の推移をみると、內(nèi)需に相當(dāng)する個(gè)人消費(fèi)の比率はずっと50%強(qiáng)で推移し、ここ10年間ほとんど増加していない。GDPにおける支出の約40%は固定資産投資などの資本投資が占めている。

日歐米などの資本主義成熟國では、GDPの個(gè)人消費(fèi)比率が70~80%を占めている。しかし中國はその割合がまだ低く、いわゆる投資主導(dǎo)型の経済がずっと続いているため、數(shù)字の上では內(nèi)需主導(dǎo)型経済に向かっているとは言えない。

日本は日米貿(mào)易摩擦の時(shí)代、アメリカからの批判を受けて、企業(yè)の取引慣行や國內(nèi)の流通業(yè)の効率化に著手した。そのため市場の開放や効率化が進(jìn)み、國內(nèi)流通業(yè)の労働生産性が大きく改善され産業(yè)競爭力も強(qiáng)化されたという経験がある。內(nèi)需拡大のもっとも重要な要素は、國內(nèi)市場の効率化?高度化なのである。

さて、中國の現(xiàn)狀はどうであろうか。製造業(yè)の労働生産性は、旺盛な研究開発投資やデジタル技術(shù)の導(dǎo)入で順調(diào)に増加している。一方流通業(yè)も全體としては製造業(yè)と同じ程度伸びてはいるが、実際は小売業(yè)、特にEC関連が突出して生産性の伸びをけん引しているのが現(xiàn)狀である。

しかしEC企業(yè)は、配送員などの労働者數(shù)が実態(tài)より過小に申告されている可能性が指摘されており、流通業(yè)全體の労働生産性の數(shù)値は、少し割り引いて評価しなければならないのかもしれない。

筆者は、流通業(yè)の骨格をなす物流業(yè)を取り上げ、労働生産性を統(tǒng)計(jì)データから評価してみた。図1は近年の中國の物流業(yè)の生産性の推移を示したものである。ただし中國の統(tǒng)計(jì)年鑑には、物流業(yè)の付加価値を示すデータが記載されておらず、労働生産性の數(shù)値が計(jì)算できないので、ここでは付加価値に変えて輸送トンキロのデータを用いてみた。


この図は労働生産性を計(jì)算しているわけではないが、生産性についてのある程度の傾向はつかめるだろう。図1をみると、中國は近年インフラへの投資拡大が続くにもかかわらず、鉄道、運(yùn)送のどちらも生産性はやや伸び悩んでいるようにみえる。內(nèi)需拡大の鍵となる中國の流通業(yè)の効率化は、まだまだ手を付ける余地がありそうだ。

次回は、國際分業(yè)という別の切り口からも、中國の內(nèi)需拡大を評価してみたい。

■筆者プロフィール:松野豊

大阪市生まれ。京都大學(xué)大學(xué)院衛(wèi)生工學(xué)課程修了後、1981年野村総合研究所入社。環(huán)境政策研究や企業(yè)の技術(shù)戦略、経営システムのコンサルティングに従事。2002年、同社の中國上海法人を設(shè)立し、05年まで総経理(社長)。07年、北京の清華大學(xué)に同社との共同研究センターを設(shè)立して理事?副センター長。 14年間の中國駐在を終えて18年に帰國、日中産業(yè)研究院を設(shè)立し代表取締役(院長)。清華大學(xué)招請専門家、上海交通大學(xué)客員研究員を兼務(wù)。中國の改革?産業(yè)政策等の研究を行い、日中で講演活動(dòng)やメディアでの記事執(zhí)筆を行っている。主な著書は、『參考と転換-中日産業(yè)政策比較研究』(清華大學(xué)出版社)、『2020年の中國』(東洋経済新報(bào)社)など。

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