雙11獨身の日セールは死んだ?アリババは9.6兆円を売り上げるも、大きな曲がり角へ

高野悠介    2021年11月26日(金) 7時20分

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2021年の獨身の日セールが終わった。今年は開催前からいつもと違う空気が漂った。資料寫真。

2021年の第13回雙11(11月11日獨身の日セール)が終わった。今年は開催前からいつもと違う空気が漂った。原因の1つは、政府とのあつれきである。各社はどのように折り合いを付け、どういう結(jié)果をもたらしたのだろうか。

■雙11…アリババ奇跡の成長

雙11は小売業(yè)の奇跡であるとともに、中國DXの象徴でもある。2009年にスタートし、今年は13回目になる。GMV(成約総額)は5000萬元から2020年には4982億元(7兆円)、12年で約1000倍に成長した。

アリババはこの過程で、次々に襲ってくる難問のソリューションに挑んだ。その結(jié)果、決済(Alipay)、金融(花唄?借唄)、信用スコア(芝麻信用)…アントグループ、クラウドコンピューティング…阿里雲(yún)、物流…菜鳥網(wǎng)絡(luò)などの新しいサービスを生み、中國のDXを大きく前進(jìn)させた。

アリババの創(chuàng)業(yè)事業(yè)は、中小企業(yè)向けB2Bプラットフォームで、もともとB2Bに強い。それが今や、國有四大銀行を含む多數(shù)の金融機(jī)関の他、中國鉄道総公司、中國煙草総公司などの國有大企業(yè)とも提攜している、さらに創(chuàng)業(yè)者、ジャック?マーの國民的人気は引退後もなお健在だ。當(dāng)局は“対応”することにした。

最初は2020年11月のアントグループ上場中止命令だった。ここから政府の大手プラットフォーマーに対するスタンスは左旋回した。翌2021年4月には、アリババに対し獨占禁止法違反のかどで182億元の巨額罰金を課した。ネット通販2位の京東はアリババが出店業(yè)者に他プラットフォームに出店しないよう強制する「二選一((二者択一))」の慣行があるとして、數(shù)年前から獨占禁止法違反を當(dāng)局に訴えてきた。それを突然認(rèn)めた形である。アリババはひたすら恭順を示すとともに、政府の「共同富?!箻?gòu)想へ1000億元の投資を表明した。

■13年間で最低の伸長率…アリババは8.45%

そのため今年の雙11は、例年のようなイケイケどんどんの熱気はなかった。アリババは例年、特設(shè)會場を設(shè)定し、リアルタイムで成約額を報じていた。必ずニュースで取り上げられ、雙11セールの象徴にして風(fēng)物詩だった。それも今年は開催を取りやめた。結(jié)果は過去最低の伸び率とはいえ、各社のGMVは増加している。

アリババ 5403億元 8.45%増

京東 3491億元 28.58%増

全ネット通販計 9651億元 12.22%増

結(jié)果は過去最低の伸び率とはいえ、各社のGMVは増加した。注目を集めたのは、アリババの成約額発表が京東より遅れたことだ。これに関し、中國ネットでは憶測が飛びかった。今年は當(dāng)局のアシストにより、京東にとってようやく公正な雙11が実現(xiàn)した。京東の伸び率がアリババを大きく上回るのは當(dāng)然だ。こうしたストーリーから、京東の伸び率を上回るわけにはいかない。當(dāng)局に忖度し、あたりさわりのない“安全”な數(shù)字を考えて出したという見方だ。

雙11は統(tǒng)計方法を変えながら、毎年大幅な伸びを記録し続けた。それらをひねり出すネタも少なくなってきた。こんなこすからいことにエネルギーを消費するのはやめようという認(rèn)識もあったろう。

■雙11の問題點…出店業(yè)者を優(yōu)遇

そして「誰が雙11を殺したか」というショッキングなタイトルの記事も出た。それによれば、今回は雙11にとって3回目の危機(jī)だという。1回目は2012年、この時は偽ブランドや誇大広告が問題となった。プラットフォームに偽物があふれ返り、開催自體が危ぶまれた。

2回目は2016年、この時はトラフィックが限界に達(dá)した。出店業(yè)者たちは費用(プラットフォーム利用料、販売手?jǐn)?shù)料)の高さを嫌がり、雙11にNOを突きつけた。

今回は第3回目の危機(jī)だ。これは、2回目のソリューションとして、各プラットフォームが販促方法を出店業(yè)者寄りに変更したことにより発生した。2018年までは、値引き、プレゼント、超低価格などさまざまなプロモーションを採用していた。それが2018年以降、満額減免(例…買物額200元以上を満たせば20元値引き)+プリペイドのモデルに変わった。これによって出店業(yè)者はトラフィック利用料も値引きも抑えることができた。

しかし、ユーザーのワクワク感は低下した。確かに雙11の検索數(shù)は2017年にピークを付け、以後低下している。直播電商(ライブコマース)の興隆は、こうした狀況に対するソリューションでもあった。

■この先には何が

ショートビデオ2強、「抖音(海外名TikTok)」と「快手」は、ネット通販部門に力を入れている。雙11では、抖音224%、433%増と大きく伸びた。また、アリババのライブコマース「淘寶直播」の両エース、李佳[王奇](リー?ジアチー)は1日で115億元、薇婭(viya)は85億元を売り上げ、大きなニュースとなった。

また、アリババと京東は中小企業(yè)や農(nóng)家への支援をアピールした。京東は500萬農(nóng)家の増収に貢獻(xiàn)した。4萬3276の出店者が成約総額2倍以上を達(dá)成し、中小企業(yè)に限れば4倍になったという。アリババへの獨占禁止法適用が効いたのだろうか。

今年の雙11では、お祭り感はしぼんだ。某記事は、雙11に対する人々の思いは「お祭り」から「平常かつ重要」なものに変化したと結(jié)んでいる。當(dāng)局に忖度しなければならない一方、消費者は冷めてきた。この先に何があるのか。重大な曲がり角に至ったのは間違いない。

■筆者プロフィール:高野悠介

1956年生まれ、早稲田大學(xué)教育學(xué)部卒。ユニー株(現(xiàn)パンパシフィック)青島事務(wù)所長、上海事務(wù)所長を歴任、中國貿(mào)易の経験は四半世紀(jì)以上。現(xiàn)在は中國人妻と愛知県駐在。最先端のOMO、共同購入、ライブEコマースなど、中國最新のB2Cビジネスと中國人家族について、ディ-プな情報を提供。著書:2001年「繊維王國上海」東京図書出版會、2004年「新?繊維王國青島」東京図書出版會、2007年「中國の人々の中で」新風(fēng)舎、2014年「中國の一族の中で」Amazon Kindle。

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