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香港で先日、「愛(ài)國(guó)者による香港統(tǒng)治」の選挙制度に塗り替えられてから初の立法會(huì)選挙が実施され、予想通り親中派が圧勝した。寫真は香港各地の選挙案內(nèi)広告。
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香港で先日、「愛(ài)國(guó)者による香港統(tǒng)治」の選挙制度に塗り替えられてから初の立法會(huì)(議會(huì))選挙が実施され、予想通り親中派が圧勝した。この一年、中國(guó)政府と香港政府が「香港國(guó)家安全維持法(國(guó)安法)」を盾に繰り広げた、民主派勢(shì)力排除の最終章がこの議會(huì)選だったというわけだ。
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香港の2021年は、中國(guó)返還後、かつてないほど政治の嵐が吹き荒れた。中國(guó)と香港の両政府は、折に觸れて、昨夏に施行された「國(guó)安法」が「香港社會(huì)に平和と安定をもたらした」と稱賛。19年の反政府デモで街や立法會(huì)ビルが破壊される映像などを流しながら、「國(guó)安法」の重要性を宣伝するテレビ広告を頻繁に流した。一方で民主派勢(shì)力を「香港社會(huì)を混亂させた」と糾弾。街の平穏をよそに、民主派陣営を容赦なく追い込んでいったのだ。
まず年明け早々の1月6日、前立法會(huì)議員ら民主派の顔だった53人を「國(guó)安法」違反の容疑で一斉逮捕した。彼らは、昨年9月に予定されていた立法會(huì)選挙で、民主派が議席の過(guò)半數(shù)を獲得できるよう、あらかじめ立候補(bǔ)者を絞り込む予備選挙を行った人たちだ。この予備選には、議會(huì)から體制をひっくり返す計(jì)畫が含まれており國(guó)家転覆罪にあたるとされた。47人が起訴され(うち12月27日現(xiàn)在15人が保釈)、名だたる民主活動(dòng)家が一網(wǎng)打盡に排除された。
香港政府は、新型コロナを理由に立法會(huì)選挙を今年に延期するとともに、中國(guó)政府主導(dǎo)で、「愛(ài)國(guó)者」しか立候補(bǔ)を認(rèn)めない選挙制度に塗り替えた。
議席數(shù)は20議席増やして90議席にしたが、市民が直接選挙で選べる議員を35人から20人に減らした。職能別枠も35議席を30議席に減らす一方で、新たに選挙委員會(huì)枠を設(shè)けて、1500人の選挙委員から40人を選出する仕組みにした。新制度は、親中派に圧倒的に有利なうえ、民意が反映されにくい構(gòu)造になった。
この民主活動(dòng)家の一斉逮捕は、民主派排除の序章に過(guò)ぎなかった。
6月中旬、中國(guó)に批判的な報(bào)道で知られる大衆(zhòng)紙「蘋果日?qǐng)?bào)(アップル?デイリー)」を発行するネクスト?マガジン社の資産を「國(guó)安法」に基づき凍結(jié)。一気に同紙を廃刊に追い込んだ。創(chuàng)業(yè)者の黎智英(ジミー?ライ)氏は、無(wú)許可集會(huì)への參加を扇動(dòng)したなど、複數(shù)の罪で実刑判決を受けて服役中だが、「國(guó)安法」違反罪でも起訴されて裁判が続いている。編集幹部も逮捕?収監(jiān)された。ネクスト社は12月に會(huì)社清算手続きを申請(qǐng)した。
8月には香港最大の教職員組合「香港教育専業(yè)人員協(xié)會(huì)」(教協(xié))が、香港政府に関係を斷ち切ると宣告され、解散を余儀なくされた。教協(xié)は英植民地時(shí)代の1973年に設(shè)立され、教職員の労働條件改善や地位向上などに努め、9萬(wàn)人以上の現(xiàn)役や元教師らで組織していた。民主団體に加盟して、學(xué)生や教師に反政府デモ參加を促していたことなどを批判され、外部から大きな圧力も受けていたという。
さらに「言論や集會(huì)の自由」の下、民主活動(dòng)を推進(jìn)していた2大組織も解散に追い込まれた。1つは、天安門事件の翌年から、犠牲者を追悼する「6?4集會(huì)」を毎年主催した「香港市民支援愛(ài)國(guó)民主運(yùn)動(dòng)連合會(huì)(支連會(huì))」。もう1つは、03年に香港政府が法制化を急いだ「國(guó)家安全條例」案を撤回に追い込むきっかけとなった市民50萬(wàn)人のデモを主催し、その後も返還記念日の7月1日に、香港の民主化を訴えて平和的な「7?1デモ」を主催してきた「民間人権陣線」(民陣)だ。両組織の幹部らは不許可の集會(huì)の參加を呼び掛けたり、あの予備選挙に參加したりした罪などで収監(jiān)された。組織として外國(guó)と結(jié)託して國(guó)家を危険にさらそうとした嫌疑もかけられた。
一連の出來(lái)事はまず、親中派新聞「大公報(bào)」が組織や人物を問(wèn)題視する記事を掲載し、その後當(dāng)局の追求が始まり、アッという間に解散や逮捕に至るというスピード展開で、多くの香港市民を震撼させた。こうした中、他の民主派団體の自主解散や活動(dòng)家の海外移住が相次いだ。
「6?4集會(huì)」はもはや過(guò)去のものとなり、今後は本土と同じように事件はタブー視されていくだろう。返還記念日に、政府への不満や民主化を訴えたあの「7?1デモ」ももう望めない?!弗ⅴ氓抓?デイリー」のように、政府のチェック機(jī)能を果たすメディアは消えた。民主活動(dòng)を底辺で支えてきた組織も人物も根こそぎ排除された今、市民は「もはや口を閉ざすしかなくなった」(28歳男性)。
事実この一年、公の場(chǎng)で発言するのは、林鄭月娥行政長(zhǎng)官を筆頭にした香港政府高官、中國(guó)政府や中國(guó)政府の出先機(jī)関「中央駐香港連絡(luò)弁公室(中連弁)」の幹部、そして親中派の重鎮(zhèn)ばかりだ。行政長(zhǎng)官は中央政府への感謝を頻繁に口にするようになった。中央政府高官も公の場(chǎng)で、香港に指導(dǎo)的発言をするようになった。中連弁の高官が香港市民と直接対話をする光景をテレビで見(jiàn)るようにもなった。中央政府の香港での存在感は増し、これまで「小さい政府」と言われた香港政府が、「大きな政府」になったと感じた一年だった。
さて、こんな出來(lái)事を経て迎えた12月19日の立法會(huì)選挙。153人の立候補(bǔ)者が90議席を爭(zhēng)った。自稱民主派や中間派も10人余りいたが、「愛(ài)國(guó)者審査」を経ているから基本的に政府のお眼鏡にかなった人たちだ。
政府は「香港と自身のために1票を投じよう」という選挙広告で街を埋め盡くした。有権者の攜帯電話に、投票を呼び掛けるメッセージを送り、投票日は公共交通機(jī)関を終日無(wú)料にした。中國(guó)本土にいる有権者のために、初めて本土と隣接する広東省深センの3か所の稅関に投票所を設(shè)けるなど、選挙の盛り上げに躍起だった。
一方、民主派市民は、「(立候補(bǔ)者は親中派ばかりで)投票しても意味がない」「結(jié)果はすでに明らかだ」と冷めていた。政府の「投票率が低いとしたら、それは市民が政府に満足しているからだ」という発言も逆撫でした。選挙當(dāng)日は、無(wú)料の交通機(jī)関を利用して郊外に遊びに行く市民が少なくなかった。
果たして、前回(2016年)選挙で58.28%だった直接選挙枠の投票率は30.2%と過(guò)去最低を記録。89議席を親中派が占め、中間派はわずか1席だった。
林鄭長(zhǎng)官は、新制度での選挙の成功を強(qiáng)調(diào)し、03年に市民デモで阻まれた「國(guó)家安全條例」について、法制化の意欲を示した。最大與黨となった民主建港協(xié)進(jìn)連盟(民建連)も全面協(xié)力する姿勢(shì)を示した。
中國(guó)政府も「愛(ài)國(guó)者による香港統(tǒng)治」の選挙が実現(xiàn)できたと稱えるとともに、「『一國(guó)二制度』下の香港の民主発展」と題する白書も発表した。その中で、「香港は過(guò)去の長(zhǎng)い間、盲目的に西洋式民主を追求してきた。このため社會(huì)は分裂、秩序は亂れ、経済的な不均衡に陥り、統(tǒng)治はうまくいかず、香港市民は真の民主を享受できなかった」と斷じた。香港は今後、先に中國(guó)政府が主張した中國(guó)式民主の中で動(dòng)いていくことになる。
香港が返還後20余年歩んだ西洋式民主活動(dòng)を斷ち切り、新たに始める中國(guó)式民主がどういうものか、世界中がこれまで以上に香港を見(jiàn)つめるに違いない。(了)
■筆者プロフィール:野上和月
1995年から香港在住。日本で産業(yè)経済紙記者、香港で在港邦人向け出版社の副編集長(zhǎng)を経て、金融機(jī)関に勤務(wù)。1987年に中國(guó)と香港を旅行し、西洋文化と中國(guó)文化が共存する香港の魅力に取りつかれ、中國(guó)返還を見(jiàn)たくて來(lái)港した。新聞や雑誌に香港に関するコラムを執(zhí)筆。読売新聞の衛(wèi)星版(アジア圏向け紙面)では約20年間、寫真付きコラムを掲載した。2022年に電子書籍「香港街角ノート 日常から見(jiàn)つめた返還後25年の記録」(幻冬舎ルネッサンス刊)を出版。
ブログ:香港時(shí)間
インスタグラム:香港悠悠(ユーザー名)fudaole89
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