米國のネット関連會社Cloudflareのデータによれば、2021年の世界最多アクセスのWebサイトはTikTokである。GoogleやFacebook、Microsoft、Appleを打ち負(fù)かした。

そしてトップ10では唯一の米國外企業(yè)でもある。ニューヨーク?タイムズによると、米國の広告主の関心は低迷するケーブルTV広告からTikTok利用のマーケティングへ移っているという。素晴らしい成功である。しかし中國國內(nèi)ではさまざまな問題が持ち上がっている。

■短視頻…スマホ利用時間の70％

中國インターネット情報センターによると、中國の2021年6月時點(diǎn)のネットユーザー數(shù)は10億1100萬人で、人口の71．6％に及ぶ。

注目は、抖音（海外名?TikTok）と「快手」に代表される短視頻（ショートビデオ）アプリだ。ユーザー數(shù)は8億8000萬人に上り、初めてネット通販の8億1200萬人を上回った。さらに衝撃的なのは、その利用実態(tài)である。

2020年、中國成人の1日當(dāng)たり平均スマホ利用時間は100．75分だった。そしてその70％以上をショートビデオに費(fèi)やしている。その他アプリのトータル利用時間は30％にも満たない。TikTokや快手は中國人の時間を圧倒的に支配しているのだ。

しかし11月中旬、バイトダンス國內(nèi)事業(yè)の成長鈍化が伝えられる。証券時報によると、2021年上半期、広告収入の伸びが止まった。これは2013年の事業(yè)開始以來、初めての事態(tài)である。広告収入は全収入の77％を占める生命線だ。さらに、もう1つの看板事業(yè)、ニュースサイト「今日頭條」も損益ギリギリにあるという。バイトダンスはどうなっていくのだろうか。

■事業(yè)の調(diào)整…積極的なスクラップ＆ビルド

5月、抖音を運(yùn)営するバイトダンス創(chuàng)業(yè)者?張一鳴氏はCEOを退き、後任に共同創(chuàng)業(yè)者で學(xué)友の梁汝波氏を當(dāng)てると発表した。日常の管理業(yè)務(wù)から退き、バイトダンスの新戦略探究、研究開発、社會的責(zé)任など、より大きな方向性、長期戦略に専念するという。

バイトダンスは、これまでも事業(yè)のスクラップ＆ビルドを繰り返してきた。スクラップでは、2021年、張一鳴氏の退任前に、有料知識提供プラットフォーム「好好學(xué)習(xí)」、問答プラットフォーム「悟空問答」、買収した「堅果手機(jī)」のスマホ事業(yè)などを停止した。また9月末、傘下の不動産プラットフォーム「幸福里」がリストラに入った。同社の新築営業(yè)はほとんどの地區(qū)が損失を計上、成都、重慶、蘇州、福州のチームは解散に追い込まれた。11月には、北京の営業(yè)チームにも解雇通知を出した。

ビルトでは越境EC「Fanno」、ゲーム「朝夕光年」、ショートビデオ「小趣星」、フードデリバリー「心頭外売」、教育事業(yè)「大力教育」、オフィスツール「飛書」、広告投稿ツール「巨量引撃」、技術(shù)サービスプラットフォーム「火山引撃」、醫(yī)學(xué)知識普及プラットフォーム「百科名醫(yī)網(wǎng)」、國內(nèi)版音楽配信アプリ「汽水音楽」などを新規(guī)投入または強(qiáng)化した。

■內(nèi)部調(diào)整…人事、教育部門で減員

11月からは、正式に梁汝波體制に移行すると、內(nèi)部調(diào)整に著手した。話題を集めたのは、人材育成部門「人材発展部」の廃止である。これは職業(yè)教育界全體に大きな波紋を投げかけた?！笜I(yè)績低迷により、人員整理の憂き目にあうのは、まず人事?教育部門」「大企業(yè)の主流は、頻繁な採用と配置の最適化により、社內(nèi)人材育成の遅さをカバーすること」などの議論を巻き起こした。

さらに、人事調(diào)整に聖域はないというメッセージとしても受け取られた。実際に最高幹部クラスの刷新も行われた。また、當(dāng)局のIT企業(yè)への逆風(fēng)により、教育、ゲーム関連は縮小モードだ。「大力教育」は“雙減”政策（宿題、塾の雙方を減らす）を受けて、すでに大幅な減員に入った。當(dāng)局によるライセンス発行停止の続くゲーム部門も厳しい。今後の見通しを、抖音とグループ全體に分けて考えてみよう。

■抖音…高齢者市場開拓の余地

抖音の今後の注目は高齢者の動向だ。2021年4月における60歳以上のクリエーターの出品したコンテンツは6億に及んだ。100歳のお婆さんクリエーター「蔡●恩（●は俊のにんべんを日へんに）」には700萬のファンが、お爺さんクリエーター「済公爺爺游本晶」には1100萬のファンがいる。しかし抖音の50歳以上ユーザー比率は8％だ。

ネットユーザーの総數(shù)では、50歳以上は28％を占めている。これは1年前に比べ5．2％もアップした。しかし抖音ではまだ8％に過ぎず、20％ものギャップがある。ここに大きな市場開拓余地が殘っている。限界にはまだ間がありそうだ。

■グループ戦略…直営から投資へシフト

グループ戦略の今後は、直営でフルラインをまかなうのではなく、投資へのシフトが進(jìn)むとみられる。2021年には、VR機(jī)器の「Pico」、コーヒーの「Manner珈琲」、酒類の「厚雪酒」、広告サービスの「微念」「懶熊火鍋」「鯊魚菲特」、スマートホーム「喵兜兜」など、多彩な企業(yè)へ投資した。テンセントグループのように、緩やかな企業(yè)連合を目指すのかもしれない。

內(nèi)部調(diào)整が進(jìn)み、正面からアリババ、テンセントに挑む野心的企業(yè)から、普通の事業(yè)會社化し、少し大人しくなりそうだ。そうは言っても、現(xiàn)在のバイトダンスは、そのあらゆる動向がニュースバリューを持つ、一時のアリババのような存在である。抖音の世界的影響力は大きく、2022年もIT界の主役を張るのは間違いない。

■筆者プロフィール：高野悠介

1956年生まれ、早稲田大學(xué)教育學(xué)部卒。ユニー株（現(xiàn)パンパシフィック）青島事務(wù)所長、上海事務(wù)所長を歴任、中國貿(mào)易の経験は四半世紀(jì)以上?，F(xiàn)在は中國人妻と愛知県駐在。最先端のOMO、共同購入、ライブEコマースなど、中國最新のB2Cビジネスと中國人家族について、ディ－プな情報を提供。著書：2001年「繊維王國上?！箹|京図書出版會、2004年「新?繊維王國青島」東京図書出版會、2007年「中國の人々の中で」新風(fēng)舎、2014年「中國の一族の中で」Amazon Kindle。