山本勝 2022年1月25日(火) 8時(shí)20分
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スエズ運(yùn)河でおきた巨大コンテナ船の座礁事故は世界に衝撃を與えた。超大型コンテナ船は世界の海で増大する海上物流を支えているが、海上物流インフラが追い付いていない??? 寫真はスエズ運(yùn)河の大型コンテナ船。
2021年3月、スエズ運(yùn)河でおきた巨大コンテナ船の座礁事故は世界に衝撃を與えた。コンテナ船は世界最大クラスの原油タンカーを追い越して超大型化。世界の海を高速で動(dòng)き回り、増大する海上物流を支えている。
世界の港灣、水路、運(yùn)河などこうした船を受け入れる海上物流のインフラは、とどまることを知らない船の巨大化に追いついていけるのか?これら巨大船を操る船長(zhǎng)、乗組員にしわ寄せが及んでいないか? 學(xué)ぶべき教訓(xùn)を明らかにすべきである。
◆「動(dòng)く小山」=全長(zhǎng)400メートル、幅60メートル、海面から50メートル
巨大な船といっても最近はこうした船を間近で見る機(jī)會(huì)が少なくなった読者諸氏にはなかなか想像がしがたいと思う。 今回の事故を起こしたコンテナ船は全長(zhǎng)が400メートル、幅が60メートルで、海面から50メートルを超える高さまでデッキ上ぎっしりコンテナが積まれた姿はさながら動(dòng)く小山といったところ。よく大きさの比較に使われる東京タワー(333メートルの塔)よりも、同時(shí)多発テロで消失したN.Yのワールドトレードセンタービル(屋上高411m、外壁の一辺長(zhǎng)63mの箱型)が橫倒しになって海上を走っているのを想像してもらった方が分かりやすい。
かつては巨大な船というと原油を運(yùn)ぶタンカーと相場(chǎng)が決まっていた。このタンカーも一時(shí)は大型化が進(jìn)んで50萬(wàn)トンを超える巨大船が出現(xiàn)したが、経済合理性などから今では30萬(wàn)トンクラス、全長(zhǎng)約330m、幅約60mが最大級(jí)で、コンテナ船がこれを追い越して巨大化したということだ。
貨物をコンテナに収める方式は、陸上ではさまざまな輸送手段でおこなわれていたが、これを本格的に海上輸送に導(dǎo)入したのは戦後も20年すぎてから。わが國(guó)でコンテナ専用船が初めて就航したのは1968年、日本郵船の「箱根丸」で、全長(zhǎng)187m、コンテナの積載能力は752個(gè)だった。
◆巨大船運(yùn)航はスペシャリストの仕事
電気製品、機(jī)械、衣類、食料などなどいわゆる雑貨は、長(zhǎng)い間船倉(cāng)に本船のデリック(貨物を吊り上げて移動(dòng)させるクレーンの一種)を使って積み下ろしする昔ながらのやり方で運(yùn)ばれていたが、コンテナ専用につくられた船で規(guī)格化された箱を陸上のクレーンを使って上げ下ろしする方式の導(dǎo)入は革命的な輸送効率の向上をもたらし、數(shù)年で在來タイプの貨物船はコンテナ船に置き換わっていった。
各國(guó)の経済成長(zhǎng)とともに國(guó)際間の海上貨物輸送は年率數(shù)%をこえる勢(shì)いで拡大するなか、21世紀(jì)に入って燃料費(fèi)の高騰もあって輸送コストの低減を目的にコンテナ船の巨大化に拍車がかかる。2005年に1萬(wàn)個(gè)、2012年には1萬(wàn)5千個(gè)、2018年についに2萬(wàn)個(gè)の積載能力を持つ巨大コンテナ船が出現(xiàn)、今回のスエズ運(yùn)河で事故を起こしたのはまさにこの最大級(jí)の船ということになる。
船は大型になるほど風(fēng)や波といった外力の影響を受けやすく、港內(nèi)や水路、運(yùn)河などを航行するときには水深や水路の可航幅に制限を受けるなど、乗組員にとって巨大船の扱いは知識(shí)と技術(shù)に加え経験を必要とするスペシャリストの仕事である。
◆入港可能な港、世界的に限られる
コンテナ船の巨大化がどこまで進(jìn)むかは種々の議論がある。船の大型化は同時(shí)に受け入れる港灣のインフラへの投資、すなわち十分な水深のある埠頭の整備や船型に合わせた岸壁クレーンの設(shè)備などを必要とする?,F(xiàn)在でも最大級(jí)のコンテナ船が入港できる港が世界的に限られるなど、原油タンカーと同じように経済合理性から歯止めがかかるという見方もある。
今回のスエズ運(yùn)河での事故の原因は砂嵐をともなう強(qiáng)風(fēng)によるものとか、パイロット、乗組員の判斷ミスともいわれているが、事故地點(diǎn)の運(yùn)河の水路の幅は150mで、座礁によって長(zhǎng)さ400mの船が運(yùn)河を完全にふさいでしまったように、スエズ運(yùn)河という國(guó)際的サプライチェーンの重要インフラが船の大型化に追いついていない(あるいは船の大型化が先に進(jìn)み過ぎた?)という側(cè)面があることも忘れてはならない。
船は事故のあと、原因調(diào)査という名目で運(yùn)河の中間にある湖で停め置かれ、ほぼ100日後の21年7月7日に600億円ともいわれる損害賠償額を支払うことで解放されたが、いまだに調(diào)査結(jié)果、事故原因についてつまびらかにされていない。
船長(zhǎng)以下25名のインド人乗組員がどのように開放までの期間を過ごしたのか、またパイロットを含む事故當(dāng)事者の法的な処置はどうなったのか、ともすれば大きな事故を起こした船の船長(zhǎng)、乗組員がみせしめ的に重い責(zé)任を負(fù)わされ、當(dāng)局から不當(dāng)な扱いを受けるケースもあり、気になるところだ。
事故の再発、物流の混亂をおこさないためにも今回の事故から學(xué)ぶべき教訓(xùn)を明らかにすべき時(shí)である。
■筆者プロフィール:山本勝
1944年靜岡市生まれ。東京商船大學(xué)航??谱?、日本郵船入社。同社船長(zhǎng)を経て2002年(代表)専務(wù)取締役。退任後JAMSTEC(海洋研究開発機(jī)構(gòu))の海洋研究船「みらい」「ちきゅう」の運(yùn)航に攜わる。一般社団法人海洋會(huì)の會(huì)長(zhǎng)を経て現(xiàn)在同相談役?,F(xiàn)役時(shí)代南極を除く世界各地の海域、水路、港を巡り見聞を広める。
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