八牧浩行 2022年1月24日(月) 6時(shí)50分
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世界的にインフレへの警戒感が高まっている。長(zhǎng)期のデフレに慣れた國(guó)民や企業(yè)は金利上昇への心構(gòu)えができていない。利上げすれば國(guó)の借金がさらに増え、財(cái)政も悪化してしまう。悪い物価上昇にどう備えるのか。
世界的にインフレへの警戒感が高まっている。歐米の中央銀行は物価高に対応し、金融政策の軸足を引き締めモードに転換した。一方で日本銀行は市場(chǎng)に大量に資金を供給する「異次元緩和」を継続。他の主要國(guó)との相違が際立っている。
◆歐米は金融引き締めに転換
新型コロナウイルス禍で滯った経済活動(dòng)が再開(kāi)された中で、原材料供給や流通體制などへの対応が立ち遅れていることが、物価上昇の要因となっている。
米國(guó)の消費(fèi)者物価は昨年5月以降、7カ月連続で前年を5%超上回り、11月は6?8%と約39年ぶりの水準(zhǔn)になった。連邦準(zhǔn)備制度理事會(huì)(FRB)が量的緩和の終了時(shí)期を前倒しし、今年前半にも利上げに踏み切る見(jiàn)通し。歐州中央銀行(ECB)も、新型コロナに対応するため実施した國(guó)債買(mǎi)い入れを終了するという。物価上昇傾向が強(qiáng)まるとの判斷から、正常化を急いでいるようだ。英國(guó)では、物価上昇率が約10年ぶりの高水準(zhǔn)となり、イングランド銀行が利上げに踏み切った。コロナ禍が始まって以降、主要國(guó)では初めてである。
◆食品は値上げラッシュー日本
日本では円安も重なり、輸入に頼る原油や食材など、企業(yè)の間で取引されるモノの価格は歴史的な高値水準(zhǔn)になっている。その値動(dòng)きを示す國(guó)內(nèi)企業(yè)物価指數(shù)は昨年、前年比4.8%上昇と、過(guò)去最大の伸びとなった。
高まった仕入れコストを、消費(fèi)者が手に取る商品に転嫁する動(dòng)きも拡大。牛丼やマヨネーズなどの食品に加えて、ティッシュペーパーといった日用品にも値上げの波が押し寄せている。低価格路線で「デフレ」の象徴とされてきた牛丼も、大手3社が昨年9月以降、立て続けに並盛りの価格を引き上げた。すき家が50円高い400円、吉野家が39円高い426円、松屋が関東以外を中心に60~90円高い380円になった。中國(guó)の需要拡大などにより米國(guó)産の牛肉価格が上がり、原油高で物流コストや容器代もかさむという。コーヒーのネスレ日本は1月に、家庭向けの56製品の価格を1~22割ほど引き上げた。メーカー各社は原料を輸入に頼り、円安の影響を受けやすい。このほか、2月以降、しょうゆや冷凍食品、ハム?ソーセージなど、身近な食品について値上げすることを大手各社が決めている。
消費(fèi)者物価指數(shù)(生鮮食品を除く)は昨年9月から3カ月連続で前年を上回り、11月は上昇幅が0.5%に拡大した。輸入に頼る原材料費(fèi)の高騰に拍車(chē)がかかり、コロナ禍もあり飲食店などの體力も限界に近い。日銀が昨年11~12月に行った生活意識(shí)に関するアンケートでは、物価が1年前と比べて「上がった」と答えた人の割合が77%となり、15年以來(lái)の高い水準(zhǔn)となった。
こうした狀況を踏まえ、日銀は18日、22年度の物価上昇率の見(jiàn)通しを前回(21年10月)より0.2ポイント引き上げ、前年度比1.1%とした。攜帯電話(huà)通信料の値下げによる物価押し下げ効果がなくなる今春、一時(shí)的に政策目標(biāo)の2%に達(dá)する可能性があるという。
ただ、実際に今起きているのは、消費(fèi)が活発になったり、経済が成長(zhǎng)したりすることに伴う物価上昇ではなく、コストが膨らんだことによる上昇に過(guò)ぎない。黒田東彥総裁は「強(qiáng)力な金融緩和を粘り強(qiáng)く続け、企業(yè)収益の増加や賃金の上昇を伴いながら物価上昇率が緩やかに高まる好循環(huán)をめざす」と言明?,F(xiàn)行の金融政策の維持により理想とする物価上昇をめざす従來(lái)方針を強(qiáng)調(diào)している。
◆物価上昇上回る賃上げ、望み薄
「春闘で新しい資本主義の時(shí)代にふさわしい賃上げが実現(xiàn)することを期待する」―。賃上げを促す稅制優(yōu)遇策などを掲げる岸田文雄首相は1月17日の施政方針演説で訴えたが、物価上昇を上回る賃上げは望み薄である。仕入れ価格の上昇で収益を悪化させている企業(yè)も多く、大幅な賃上げは見(jiàn)通しにくいためだ。
厚労省の集計(jì)では2014~19年に2%臺(tái)前半で推移していた春闘での賃上げ率は、コロナ禍が始まった20年は2.0%、21年は1.86%と、伸びが鈍化。物価上昇に賃金の上昇が追いつかず、実質(zhì)賃金指數(shù)は昨年11月まで3カ月連続で前年を下回っている狀況だ。
1月の為替市場(chǎng)では一時(shí)1ドル=116円臺(tái)を付け、約5年ぶりの円安水準(zhǔn)となった。今後、米の利上げで日米の金利差が開(kāi)けば、円安に拍車(chē)がかかると指摘されている。
◆大きな円安効果見(jiàn)込めず
円安が進(jìn)むと、輸出や外國(guó)人観光客が増えたり、海外での円換算のもうけが膨らんだりすることで、日本経済へのいい影響もある。ただ、海外への工場(chǎng)移転が進(jìn)んだことなどで輸出の伸びは限られ、コロナ禍で訪日客の増加も望みにくい。東京商工リサーチが行ったアンケートでは、円安が経営に「有利」と答えた企業(yè)は4.9%だったのに対し、「不利」は29.2%と多數(shù)を占めた。
市場(chǎng)関係者の間では今後も円安傾向が続くとの見(jiàn)方も多い。賃上げが思うように進(jìn)まず家計(jì)所得が低迷すれば、家計(jì)を苦しめる「悪い物価上昇」に陥る懸念もある。そうなれば消費(fèi)が冷え込み、さらに景気が悪化する悪循環(huán)を招いてしまう。
日銀のインフレへの対応は、他の中央銀行より難しい。長(zhǎng)期のデフレに慣れた國(guó)民や企業(yè)は、金利上昇への心構(gòu)えができていない。また利上げすれば國(guó)の借金がさらに増え、財(cái)政も悪化してしまう。悪い物価上昇に、どう備えるのか?!溉浙y金融緩和は限界」(シンクタンク幹部)との聲も聞こえてくる。
■筆者プロフィール:八牧浩行
1971年時(shí)事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長(zhǎng)、常務(wù)取締役編集局長(zhǎng)等を歴任。この間、財(cái)界、大蔵省、日銀キャップを務(wù)めたほか、歐州、米國(guó)、アフリカ、中東、アジア諸國(guó)を取材。英國(guó)?サッチャー首相、中國(guó)?李鵬首相をはじめ多くの首脳と會(huì)見(jiàn)。東京都日中友好協(xié)會(huì)特任顧問(wèn)。時(shí)事総合研究所客員研究員。著?共著に「中國(guó)危機(jī)ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外國(guó)為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。
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